「ペットロス」杉本彩、渡辺えりら有名人も続々告白 飼い主の9割は陥るその症状と回避の心構え
「たかがペットの死」などと、心ないことを言う人もいるかもしれない。しかし、そのときに襲う絶望と後悔はあなたの命を脅かすほど大きい。多くの人が経験するのにその対処法はあまり知られていない。誰も教えてくれなかった『ペットロス』本当の乗り越え方を教えます。
ペットを飼っている人の約9割が陥る“病”
いま、コロナ禍で人とのつながりが断たれ、ペットとの絆をより深める人も増えている。
ペットとの暮らしは幸福を与えてくれる。しかし、私たちは意識しないといけない。いつか別れの日が来ることを、一緒に暮らす日々が幸せであればあるほど、立ち直れないほどの苦しみを味わうことになるからだ。今回は、同じ苦しみを抱える人たちと一緒に、悲しみの底から立ち上がる方法を考えたい。
アメリカのバイデン大統領や歌手のレディー・ガガといった海外セレブをはじめ、日本の著名人も皆、愛するペットを亡くし、苦しんできた経験を持つ。大切なペットが亡くなったことにより、喪失感で心身に不調をきたすことを“ペットロス”という。
Webメディア『INUNAVI(いぬなび)』の今年の調査によると、ペットロスになった飼い主は9割以上にのぼるとされ、いまや、ペットを飼う人にとって無視できない問題になっている。
ペットロスの症状・なりやすい人とは?
ペットロスに苦しむ人をサポートする臨床心理士・木附千晶さんは言う。
「私もペットロス経験者で、6年前に愛犬・ケフィを16才で亡くしました。その後、“なぜ私はケフィのいない世界で生きているんだろう”という絶望感に襲われ、身動きが取れなくなりました。ペットロスの症状は人それぞれで、倦怠感や睡眠障害などが現れる人もいれば、生きる気力をなくし“私も死んでしまいたい”とまで思い詰める人もいます」
ペットロスの重さは、なってみないとわからないブラックボックス。これまでもペットを亡くした経験があるから大丈夫、などと思い込んでいる人でも、陥るケースは多いという。
木附さんの場合、愛犬の死を受け入れるまでに1年ほどかかった。
「どちらかといえば、罪悪感の強い人がなりやすいといえます。さらに、“もしあのとき、別の獣医師にも診てもらったら”“もし手術をしなかったら、もっと一緒に過ごせたかも”など、過去を振り返って後悔をすることが多いと、症状が長引きがちです」(木附さん・以下同)
ペットの年齢を知り老いを意識する
こういった状況を回避するにはまず、ペットの年齢感覚を知り、日頃から意識することが大切だという。動物たちは見た目がいつまでも変わらず愛らしいため、つい忘れがちだが、人間よりもはるかに速く年を取っている(図表参照)。大型犬などは8才を越えたらシニア期に入る。
●ペットの年齢換算表
「ペットの年齢を意識すると、食事や日々の世話のこまめな見直しにつながります。年齢に合わせた適切な飼育をすることで、長生きできる可能性が高まりますし、老いていくペットの現実を徐々に受け入れることにもつながります。心の準備にもつながり、重いペットロスになりにくくなります」
有名人もペットロスを告白
各界の著名人もペットロスを抱えた経験がある。活躍の原動力になり、日々の癒しになっていたペットの喪失感は測りかねない。
■東京都知事 小池百合子(69)
2021年6月22日に入院。過労が原因とされたが、2003年頃からわが子のようにかわいがっていた愛犬・ソウちゃん(ヨークシャーテリア)が今年6月に亡くなり、それによる心労も一因ではないかと取り沙汰された。「愛犬が家族の中でいちばんの主役」「お客さんが来るとソウちゃんが主役になってにぎやかなのよ」などとうれしそうに語るほどの愛犬家だった。
■タレント 杉本彩(53)
2019年に愛猫・アントニオが天国に旅立ち、さらに追い打ちをかけるように、2020年には愛犬・小梅と愛猫・ももじろうたちが立て続けに亡くなった。
「後悔と反省でとても苦しい日々」など、ペットロスに苦しむ心境をSNSに綴った。
■歌手・女優 小柳ルミ子(69)
2018年8月28日、15年間暮らした愛犬・ルルが死去したことを公式ブログで公表。
「私のかけがえのない命 ルルを失うのは私を失う事と同じです。こんな悲しみがあるのか…気が変になりそうでした」などと綴った。悲しみが募り体重が5㎏減り30㎏台になったことも告白。
■タレント 西川史子(50)
2016年12月に芸能活動を休止して休養。翌年1月に復帰し、情報番組『サンデー・ジャポン』(TBS系)で休養の理由について「急性胃腸炎で入院したんですけど、(中略)ペットロスとか、更年期もあったかと思います」などと説明。トイプードルのココを亡くし、自分を責めていたという。
■タレント 中川翔子(36)
愛猫のマミタスを2017年9月19日に13才で亡くす。SNSで<最愛のマミタスが急死しました。寝ていると思ったら息をしていませんでした。原因も理由もわからず、受け止めることもできませんでした>(原文ママ)と綴り、その後の絶望感も赤裸々に明かした。
■女優 渡辺えり(66)
2015年に16年飼っていた愛猫・夢彦が亡くなったことを地方紙『山形新聞』で公表。「地方や外国に行く仕事が立て続けにあり、その間はあまり感じなかったが、東京の家に帰ってくるとついつい夢彦を探して途方に暮れてしまう」などと喪失感を語った。
教えてくれた人
臨床心理士・木附千晶さん/自らもペットロスを経験し、ペットロスに苦しむ人をサポートする。
取材・文/前川亜紀 撮影/矢口和也、小彼英一、平野哲郎
※女性セブン2021年9月2日号
https://josei7.com/
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