認知症の母の失禁対策に困った息子がにニトリのまくら・まくらカバーを購入した理由
認知症の母を遠距離介護している作家でブロガーのくどひろさんこと、工藤広伸さん。久しぶりに岩手に帰省したところ、お母さんの困った行動が発覚。試行錯誤するうちにたどりついたのがニトリのまくらとまくらカバーだ。これらを購入したのには、ある理由が…。
寝室のニオイの元を特定せよ!
岩手にいる妹から、「おかあさんの寝室の押し入れがおしっこ臭くて、ニオイが取れない」と連絡をもらいました。早速原因を探ってみたところ、想定していなかった方向へ話が進んでいったのです。
母の寝室の扉を開けた瞬間からおしっこのニオイがしたので、原因は失禁でシーツや敷ふとんが汚れたからと判断しました。
わたしはいつも、犬のように鼻をクンクンさせながら、シーツやふとんを触って失禁を確認するのですが、今回はシーツやふとんの汚れやニオイはありません。
それでも寝室のニオイはするので、押し入れの中にあったシーツや毛布など、洗えるものはすべて尿臭対策用の洗剤を使って洗濯してみました。
これでニオイは消えるだろうとホッとした数日後、寝室の扉を開けると、再び鼻を突くあのニオイがしたのです。
「あれだけ洗濯したのに、なんで?」
鼻をクンクンさせながら、捜索範囲を広げて寝室のニオイを嗅いで回ったところ、想定内の場所と想定外の場所で、ピクンと鼻が反応しました。
ニオイの元の2か所とは?
ニオイの元の1つ目は、畳。3か月前の遠距離介護の際、母がトイレに間に合わず、畳の上でおしっこをした日がありました。消臭剤をかけ、灯油ファンヒーターで乾かしてニオイが消えたと思っていたのですが、全く消えていませんでした。
こちらはネットで調べて、畳にクエン酸スプレー(200mlの水に小さじ1杯のクエン酸)をかけたり、熱湯をかけたりしてみたところ、ニオイはだいぶ消えました。
2つ目は、全く予想していなかった「まくら」でした。
しかも、まくらカバーだけでなく、本体も臭うのです。なんで、まくらがおしっこ臭いのか? 理由が想像できません。
まくらカバーを外し、まくら自体の洗濯表示を見ると手洗いOKと書いてありました。早速洗おうと思ったのですが、まくらが完全に乾くまで3日かかると書いてあったので、3日連続晴れる日が来るまで、まくらを他の場所へ逃がしておきました。
いくら考えても理由が分からず困っていたのですが、お天気を待っている間に、ある事件が起きたのです。
今度はネックピローが犠牲に
母の寝室の隣に、4畳ほどのフローリング部屋があるのですが、そこに小さな池が出来ていました。今度はこっちにおしっこしたか、なんて思っていたところ、池の真横にネックピローが落ちていたのです。
なんで、ここにネックピローが? 持ちあげてみると、ズシリと重みがありました。どうやら、ネックピローを雑巾の代わりとして、池の掃除に使ったようです。
原因が特定できても、意味が分かりません。なんで、綿の詰まった、雑巾としても使いづらいまくらで掃除するのか? 明確な理由は分かりませんが、思い当たる節はありました。
母は認知症が進行してから、タオルの使い分けができなくなりました。台所の台拭きで食器を拭いたり、顔を拭いたりして、「あー!」ってわたしが声を上げたこともあります。
おそらく、目に入ったもので拭けそうであれば、反射的に目の前の汚れを処理してしまうのだと思います。まくらもきっと、タオルと同じ扱いなのでしょう。
3日連続晴れの日がやってきたので、お風呂にお湯を張り、洗剤を入れて、まくらとネックピローを足で踏んで洗ったあと、洗濯機で1分脱水し、外に干したところ、ニオイは完全に消えました。
数日後、洗濯機を開けると再び、尿を含んだまくらが入っていました。とにかく時間のかかるまくらの洗濯を、またやらなくてはならないのか! 怒りに震えそうになる自分を抑えるために、パソコンを開いて対処法を調べることにしました。
ニトリで洗えるまくらを買ってみたら…
ネットで調べても対処法は見つからなかったので、寝室にタオルをたくさん置く、まくらを使わせないなど、2日くらい対策をあれこれ考えていたところ、あるニトリの商品が目に飛び込んできました。
「まくらプロテクター」
この商品は水・汗・ダニからまくらを守る商品で、防水・防ダニ加工がしてあります。使い方は、まくら本体にこのプロテクターをつけて、その上からまくらカバーをつけます。
そうすれば、まくら本体は守られ、まくらプロテクターとまくらカバーだけを洗濯すればいいはずです。湿気は通すので、まくら本体は天日干しでなんとかなると考えました。
また、まくら本体も手洗いではなく、ネットに入れて洗濯できるタイプのまくらを購入。これで万が一、まくらが汚れても、洗濯にかかる時間は半分以下になるはずです。
消臭まくらとプロテクターまさかの値段で
消臭まくらとプロテクター、合わせて1500円。まさかこの値段で、しかもニトリにあるとは思ってもいませんでした。
購入後に事件は起きていませんが、母はこれまでどおりまくらを使って寝ていますし、わたしも万が一のことが起きたとしても、洗濯の手間が省けるので安心しています。
今日もしれっと、しれっと。
工藤広伸(くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/)。音声配信メディア『Voicy(ボイシー)』にて初の“介護”チャンネルとなる「ちょっと気になる?介護のラジオ」(https://voicy.jp/channel/1442)を発信中。