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健康

肉中心の食事の前に摂るべき食品 効率よく摂取するのに「ベジファースト」はもう古い

 厚生労働省は昨年、フレイル予防のため65才以上のたんぱく質摂取量の目標値を引き上げた。たんぱく質が豊富な食材と言えば、やはり肉だ。だが、ただ単に肉を食べるだけでは栄養素を十分吸収出来ていない可能性が…。より効率的に肉の栄養を摂取出来る食べ方を医師に取材した。専門医が提唱する肉を食べる前に食べるといい食品ランキングもあわせて紹介する。

肉を食べる前に食べた方がいい食品は?

 『肉食やせ!』(主婦の友社)などの監修を務める、こくらクリニック院長の渡辺信幸さんは肉食の重要性について、こう解説する。

「足腰を支える筋肉や内臓は、主にたんぱく質によってつくられています。もちろん、炭水化物や野菜を食べることも大切ですが、そればかりでは胃腸が弱り、どんどん食が細くなって、虚弱化してしまいます。また、『噛む』ことも健康に欠かせない。肉食は、噛む練習になるのもいいところです。元気で長生きな人ほど、肉をよく食べているという報告もあります」

 体を作り健康に欠かせない肉。その肉の栄養をより効率的に摂取するために重要なこと、それは「どの順番で食べるか」なのだ。

「ひと昔前は野菜を先に食べる「ベジファースト」が理想とされてきたが、時代は変化している」

 と、AGE牧田クリニック院長の牧田善二さんは話す。

たんぱく質→たんぱく質の順が最強!

 肉を食べる前にこんな食品を先に食べるといいのは、たんぱく質をはじめとした栄養を豊富に含むチーズや卵は、相性バツグンだ。

「肉の食べすぎは高血圧につながると思われがちですが、たんぱく質には血管の強化、余分な塩分を排出する働きがあるため、むしろ高血圧予防には肉食が向いています。

 チーズに含まれる『ラクトトリペプチド』は血圧を下げる効果があるので、先に食べたり、一緒に食べることで相乗効果が期待できる。

 また、アミノ酸が豊富な卵は美容効果があるため、肌や髪を生き生きと若返らせます」(渡辺さん・以下同)

大盛りのサラダから食べるのは逆効果!? 

 肉を食べるとき、脂肪の吸収や便秘を防ぐためにと、先に大盛りのサラダを食べる習慣をつけている人もいるだろう。渡辺さんは、これは逆効果になりかねないと指摘する。

「食物繊維は胃腸で消化されないため、人によっては、食べすぎると腸に詰まり、便秘の原因になります。

 一方、肉は食物繊維を含まないため、腸に詰まることはありませんし、肉に含まれる脂で、つるんと便が出ます。便秘の人は脂が不足している可能性もあるのです。

 ただし、肉だけでは下痢を起こしやすい人もいるため、野菜を“香辛料代わり”程度に食べるといい。セロリやにら、にんにくなどは食物繊維を含み、なおかつ肉の旨みを引き立たせるので、直前に食べるといいでしょう」

 脂質の吸収を穏やかにしたり、腸内環境を野菜によって整えたいという人は、ブロッコリーやゴーヤー、ピーマンなどの野菜を先に食べることで、肉に不足しているビタミンCを補うこともできる。肉と野菜を一緒に食べても構わないが、調理法には注意が必要だ。

「牛丼のように肉とほかの食材を混ぜて調理してしまうと、味つけが濃くなることがあり、炭水化物の量が増えやすい。すると肥満の原因になり、糖尿病などの健康リスクが高くなります。肉は肉、野菜は野菜と別々で食べ、素材の旨みを噛み締めることは食べすぎの防止に効果的です」

 早食いとドカ食いは万病のもと。食べる順番を意識し、しっかり噛むことで、食事の満足度を上げよう。

肉を食べる前に食べるべき食品【ベスト10】

「肉食」のスペシャリストである渡辺さんが提言する、肉を食べる前に食べるといい食品をランキング形式で紹介。

★10位 アボカド  

 植物油が豊富で、便秘改善効果が期待できる。満足感のある食べ応えに反し、糖質量はほぼゼロ。減量中の人はご飯やパンの代わりにアボカドを摂るといい。

★9位 セロリ  

 食物繊維が多いセロリを肉料理のつけ合わせにすると、脂肪の吸収がゆるやかになる。独特の風味が肉料理の“スパイス”となり、食欲を増進してくれる。

★8位 パイナップル  

 ビタミンC、食物繊維が豊富。さらに、「パパイン」というたんぱく質分解酵素が肉の繊維をやわらかくするので、噛む力や飲み込む力が弱い人は肉と一緒に食べるのがおすすめ。

★7位 みそ汁  

 大豆の発酵食品であるみそは、亜鉛を含有。血圧を安定させる働きがあり、高血圧予防の効果を高める。

★6位 にんにく、にら  

 アミノ酸の一種である「アリシン」が豊富。豚肉を食べる前に摂取すると、豚肉に含まれるビタミンB1の吸収効率をアップし、疲労回復などに効果が。食前に限らず、一緒に食べるのもおすすめ。

★5位 納豆  

 発酵食品は腸内バランスを良好にし、便秘予防にも効果的。植物性たんぱく質も豊富で、肉のたんぱく質との相乗効果で強い体がつくられる。

★4位 青魚  

 青魚に含まれるDHAやEPAなどの脂肪酸は血液の循環を良好にする。肉も魚も両方食べることで、動脈硬化予防、認知症予防が期待できる。

★3位 ブロッコリー、ゴーヤー、ピーマン、葉野菜  

緑が濃い野菜は、ビタミンCが豊富で、抗酸化作用に優れている。肉の弱点であるビタミンC不足をカバーし、より理想的な食事に近づけることができる。

★2位 卵  

 たんぱく質が豊富な卵は、肉と同じく血圧を下げる効果がある。さらにアミノ酸のバランスが理想的で、美肌効果も。肉の前に食べることで、肌や髪がツヤツヤに。

★1位 チーズ

 チーズの乳酸によって肉のたんぱく質が発酵し、それが分解されてできる「ラクトトリペプチド」には、血圧を下げる効果が。肉が持っている健康効果を上乗せで高めることができる。糖質がほぼゼロのため血糖値が上がらないことも利点。

教えてくれた人

渡辺信幸さん/こくらクリニック・院長、牧田善二さん/AGE牧田クリニック・院長

※女性セブン2021年6月3日号

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