地震に備えて家具を突っぱり棒で固定するのは正解か。正しい転倒防止策を専門家が伝授!
大きな地震はいつ発生するかわからないが、いざというとき命を守るために予め備えておくべきことはある。家具などの転倒防止策はどうしたらいいのだろうか?専門家に教えてもらった。
いちばん確実なのは「家具と壁を直接すること」
近年発生した地震の負傷者の3~5割が、家具や電化製品の転倒や落下、移動によるものだ(※)。そのようなけがを防ぐだけでなく、安全な避難経路を確保するためにも、家具や電化製品は、必ず転倒防止対策を講じておくべきだと、備え・防災アドバイザーの高荷智也さんは言う。
※東京消防庁「家具類の転倒・落下・移動防止対策ハンドブック」(’20年3月発行)より
家具の転倒防止対策としていちばん確実なのは、家具と壁を直接固定することだ。その一例として、L型金具をネジで取り付ける方法がある。ただし、壁のどこに固定してもいいというわけではない。
「固定する際は、下地木材や梁に打ち込むこと。壁を叩いてコンコンと軽い音がしたら、その壁の裏は空洞で下地木材がない可能性が高い。そういった部分は避け、硬い、あるいはにぶい音がする部分を探します。壁の裏の下地を検知すると音で知らせてくれる“下地センサー”を使うと便利です」(高荷さん・以下同)
下地センサーは、ホームセンターなどで1000~3000円程度で手に入る。
また、普通のドライバーで固定するのは難しいので、電動ドライバーもあると重宝する。
賃貸住宅の場合はどうするか
しかし、賃貸住宅などで壁に穴を開けられない、あるいは開けたくない場合はどうしたらいいのか。
「L型の器具などを粘着力の高いシールで固定する方法があります。器具についた衝撃吸収パッドやスポンジが揺れを吸収して家具の転倒を防いでくれるもので、これなら金具をネジなどで取り付けるよりも簡単なうえ、壁に穴を開けずにすみます」
粘着器具タイプは種類も豊富で、壁にプレートを貼って、家具とベルトで固定するタイプもある。この方法だと、壁から離れている冷蔵庫やテレビなどの固定も可能だ。
「取り付けが簡単なため、突っ張り棒タイプも人気がありますが、使用する際は天井にある程度の強度が必要。また正しく取り付けないと効果が小さく、激しい揺れには耐えられないので、これだけで安心しない方がいいでしょう」
やむを得ず使う場合は、天井との距離をできるだけ短くし、家具の壁側両サイドに設置するといい。
いずれの固定方法も、設置したままではなく、最低でも年に1回は、ネジが緩んでいないか、あるいははがれていないかなど、点検が大切だ。
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2021年4月22日号
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