介護生活を快適にするパジャマの選び方｜高齢者におすすめのスタイルや素材は？

　介護生活にふさわしいパジャマってどんなもの？選ぶときに気を付けることは？　介護する人も介護される人も、どちらにとっても快適なパジャマとは…。専門家の話をもとに、スタイリストにおすすめのパジャマをセレクトしてもらった。

【目次】

介護が必要な人のパジャマ選び5つの基本
あえてボタンタイプでリハビリを
介護度が高い人には前開きや浴衣タイプも
“おしゃれ”の視点も忘れずパジャマ選びを
高齢者におすすめのパジャマ6選

介護が必要な人のパジャマ選び5つの基本

「介護施設でも、在宅介護でも、介護生活ではパジャマはとても重要なアイテムです」

　こう語るのは、介護福祉士として長年介護現場で働く半田ひろみさんだ。

「１日中ベッドで過ごされる人もいるので、その人の身体状況に合ったパジャマを選ぶことが大切です」（半田さん、以下同）。半田さんいわく、“介護向けパジャマ”選びの基本は、以下の5つだという。

1.介護度や身体状況に合っている

2.伸縮性がある

3.清潔感がある

4.洗いやすい素材

5.縮みにくい素材（乾燥機を利用する場合）

「肌着と同様で、伸縮性がないものは、ご本人の脱ぎ着も大変ですし、介護する人にとっても介助に手間や時間がかかってしまいます。

　また、介護施設では、洗濯や乾燥機を使うこともあるため、生地が薄いものやレース使いが多いなどの繊細な素材のもの、乾燥で縮みやい素材も避けたほうがいいですね」

あえてボタンタイプでリハビリを

「介護度が低く、自身で脱ぎ着ができる人は、指先のリハビリも兼ねて前開きで、ボタンでとめるタイプのパジャマを選ぶのがいいと思います。ボタンで前がしっかり閉じるのでパジャマがはだけず、動いてもズレにくいこともメリット。

　麻痺などによる拘縮（こうしゅく、関節が動かしにくくなった状態）が弱めの人や、一部の介助のみで自身でも着脱できる人は、“半開きタイプ“や“かぶりタイプ”でもかいまいません。その場合は、着脱しやすいように伸縮性のある素材でゆったりとしたデザインのものを選んでください」

介護度が高い人には前開きや浴衣タイプも

「麻痺などによる拘縮が強い人や、寝たきりの人などの介護度が高い人には、伸縮性のある素材で前が全開するものがおすすめ。さらに、前開きタイプにはボタンのものと面ファスナーのものがあり、面ファスナーのものは、より着脱がしやすくなっています。

　また、寝たきりなど介護度が高い人や医療処置を頻繁に行う人は、浴衣タイプもおすすめです。

　浴衣タイプは着脱時間が短縮されるので、介護する側の負担軽減もそうですが、介護される側も負担軽減になります。

　在宅介護でも介護施設の場合でも、毎日洗って清潔なものを身に着けてもらうには、パジャマは複数枚必要。季節ごとにも素材を変える必要がありますよね。何を選べばいいかわからない場合は、介護用品アドバイザーなどがいる専門店に聞いてみるのもいいでしょう」

“おしゃれ”の視点も忘れずパジャマ選びを

「高齢者におすすめのパジャマは、ガーゼ素材など肌触りがいいものを。また、首元が詰まっていないタイプでゆったり着られるものがいいですね。介護用のボタンが大きくて留めやすいものもあります」とは、スタイリストの木村柚加利さんだ。

　介護用だからと機能性だけで選ばずに、デザインや色もこだわってほしいという。

「パジャマで多くの時間を過ごすことを考えると、なおさら本人が好きな柄や色のものを選んでほしいですね。好きな色や柄のパジャマなら気分も明るくなると思います。

　コロナ禍は家で過ごす時間が増え、パジャマや部屋着などリラックスウェアの市場が広がっていると感じます。介護用のパジャマの選択肢も増えてきています。ちょっと高級な素材のパジャマは高齢の親への贈り物にもぴったりです」（木村さん）

高齢者におすすめのパジャマ6選

　介護現場の声や半田さんのアドバイスをもとに、スタイリスト木村さんにおすすめの肌着をピックアップしてもらった。

教えてくれた人

介護福祉士・半田ひろみさん

介護福祉士、社会福祉主事、シニアヨガインストラクター。医療・介護現場で介護福祉士として１０年以上のキャリアを積み、そのときの職業病・腰痛を改善するためヨガを始める。現在はヨガ教室「町田ふらっとヨガ」(東京都・町田市)にてインストラクター兼代表を務める。介護福祉士の経験を活かし、町田市内の介護施設を訪問し、高齢者向けに健康ヨガ体操を実施中。http://handayoga.com/

スタイリスト・木村柚加利さん