ぐっすり眠るための13か条|ストレスや不安を解消して入眠体勢に入るための儀式とは…
コロナ禍による閉塞感が続く中、前年比で減少が続いていた自殺者数が4か月連続で増加。特に女性の自殺率が増しているという。心が折れてしまう前に、早い段階でストレスや不安、疲労を解消しておくことが大切だ。中でも乱れがちなのが「睡眠」のリズム。ぐっすり眠るためのコツを専門家に聞いた。
ストレスを上手に対処する3つの「R」とは?
「ストレスに上手に対処するには、レスト(REST、休憩)、リラックス(RELAX、緩める)、レクリエーション(RECREATION、娯楽)という3つのRを積極的に取るのがコツです」
と話すのは、杏林大学名誉教授の古賀良彦さんだ。
このうちのRESTに当たる睡眠を取ることで、脳内ではその日あった記憶を整理し、無駄を省いて日常に生かす学習を強化したり、嫌な記憶を拭い去り、イライラを解消するなどの作業が行われ、心の平穏に作用する。
「深いノンレム睡眠から浅いレム睡眠に変わった瞬間に起こす、レム睡眠をなくす実験では、どんどんイライラが増すことが報告されています。これを逆に言うと、正常な睡眠は心と体を癒すとともに、いかに心の安定をもたらすかがわかります。人生の3分の1を占める睡眠を、私たちはもっともっと大切にすべきです」(古賀さん・以下同)
ぐっすり眠るためのコツ13か条
では、どうしたら良質な睡眠が取れるのだろう? その主なポイントをまとめたのが下に挙げた13項目だ。
【1】朝、太陽の光を浴びる
「『朝、太陽の光を浴びる』は、現代人の乱れがちな“睡眠と覚醒のリズム”を正す日課のひとつです。朝日に当たると睡眠を促すホルモンであるメラトニンの分泌が抑えられ、すっきり目が覚める。そして、夕方から夜にかけてメラトニンの分泌量が増えるため、自然と眠くなるのです」
こうした睡眠と覚醒のリズムが良質な眠りには不可欠だが、コロナ禍の在宅ワークで従来の早寝早起きの習慣がなくなり、通勤しないまま外出もせず、日に当たらない日陰生活の人が増えている。
【2】食事は朝昼晩3食とる
【3】入浴は夕食前に
【4】夕食後2時間は眠らない
【5】就寝前は趣味でくつろぐ
【6】寝る前に深刻な日記はつけない
【7】読書やスマホはベッドの外で
【8】暗闇より小さな間接照明程度が○
【9】音楽は歌詞のないBGMを小さく
【10】寝室の色は落ち着いたトーンで
【11】寝る際はジャージーではなくパジャマで
【12】香りは好きなアロマをほんのりと
【13】入眠時はリラックスできる体勢で
パソコン、LED、蛍光灯、スマホなどの光にはメラトニンの分泌を抑えるブルーライトが含まれるため、寝る1時間前からスマホは見ない方がいいのだが、手離せない人が多くなっている。
「それらが要因で、現代人はどんどん眠りにくくなっています。それを打破するためにも、朝昼晩の食事で生活リズムを立て直し、夜の入浴は夕食前に終わらせる。暗闇や無音をさける。眠る前には“よかったこと日記”を書くなど簡単な趣味に没頭する。また、入眠時に抱き枕を使うのもいいでしょう。一日の終わりにパジャマを着て、歯を磨き、音楽を聴いたり、読書をしたりして布団に入る。そんな自分なりの入眠儀式を決めておくといいですね」
深夜の帰宅などイレギュラーな日の眠り方は?
1日7時間の睡眠を、毎日規則正しく取るのが最も体にいいとされている。だが、「明日は朝4時に起きなければ」「布団に入ったものの朝方まで眠れなかった」など、常に規則正しく眠れるとは限らない。そんな場合は、どうすればいいのだろうか。
「徹夜の前日、あるいは翌日に備えて、早く寝たくなるところですが、寝だめはきかないので前夜の睡眠時間は変えてはいけません。そして徹夜明けの翌日は、睡眠リズムを乱さないよう、帰宅後や昼間は眠らずに、夜早めに食事をとって消化のために約2時間休息した後、寝るのがおすすめです」(古賀さん)
一晩の徹夜でも、いつもの睡眠リズムを変えてしまうと、昼夜が逆転する可能性がある。どうしてもつらい場合は15分の昼寝で眠気を抑えよう。
教えてくれた人
精神科医・古賀良彦さん/杏林大学名誉教授。専門はうつ病、睡眠障害、統合失調症の治療。日本催眠学会名誉理事長、日本ブレインヘルス協会理事長なども務める。
取材・文/北武司 イラスト/坂木浩子(ぽるか)
※女性セブン2020年12月10日号
https://josei7.com/
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