避難のため自宅から離れる際、避難先を玄関に残すのがNGな理由
東日本大震災からまもなく10年。2月13日には福島沖を震源とする最大震度6強の地震が発生するなど、いつまた大きな地震が襲ってくるかわからない。災害に備えて、今からできる準備、いざというときに迷わないためのノウハウを専門家が伝授!
今回のテーマは、地震により自宅で生活を続けられなくなり、やむなく自宅を離れなければならなくなったら、まず何をすべきかだ。
【目次】
避難する際には電気のブレーカーを落とす
一刻も早く安全な場所に避難しようと慌ててしまいがちだが、自宅を離れる際にやるべきことがあると、災害危機管理アドバイザーの和田隆昌さんは言う。
「復旧時の事故やトラブルを防ぐために、必ず電気のブレーカーを落とすこと。ガス・水道の元栓を閉めるのも忘れないようにしましょう」(和田さん・以下同)
空き巣被害にも要注意
さらに警戒すべきなのが“空き巣”だ。東日本大震災のときも、岩手・宮城・福島の被災3県では、住民らが避難して無人となった民家や商店を狙った空き巣被害が多発。警察庁の調べでは、震災後1年間で5729件の侵入窃盗が発生している。
玄関の避難先を残すのはNG
「家族や知人に安否を伝えるため、玄関に“避難所にいます”などのメモを残す人がいますが、それは間違いです。空き巣犯に不在を知らせることになり、犯罪を呼び込む要因になってしまいます」
家族とは予め緊急時の連絡方法、避難場所を決めておく
メモを残さなくてもいいように、家族や親族などとは、前もって緊急時の連絡方法やどこに避難するか、避難場所の優先順位を決めておこう。
戸締まりは最大限する
津波の発生など避難が一刻の猶予もない場合を除き、戸締まりは最大限行うのが基本だ。
とはいえ、雨戸が閉まっていると不在を空き巣犯に知られてしまいそうだが…。
雨戸は閉める
「泥棒被害の約6割が窓からの侵入です。さらに侵入の際に5分かかると7割が諦め、10分以上かかるとほとんどが諦めるとのデータもあるので、侵入をてこずらせるためにも、雨戸を閉めておいた方がいいと言えます」
ラジオをつけたままにする
そのほかの空き巣対策として、短時間の不在ならラジオをつけたままにして、在宅を装う方法も有効だ。
通帳、キャッシュカード、印鑑、土地の権利書、身分証明書は持ち出そう
また貴重品については、 持ち出しの難しいセキュリティーの高い金庫がある場合を除き、残高がある口座の通帳やキャッシュカード、印鑑、土地や建物などの権利証、運転免許証など顔写真付きの身分証明書、現金(小銭を多めに)などは持ち出しておこう。
ただし避難先でこれらを出したり、他人がいる前でお金の話はしないこと。肌身離さず持ち歩くようにしよう。
※津波の発生など緊急で避難が必要な場合は、何より命を守ることが最優先である。
まとめ
●避難する際には電気のブレーカーを落とし、ガス・水道の元栓を閉める。
●玄関の避難先を残すのはNG。
●家族とは予め緊急時の連絡方法、避難場所を決めておく。
●戸締まりは最大限する。
●ラジオをつけたままにする。
●通帳、キャッシュカード、印鑑、土地の権利書、身分証明書は持ち出そう。
教えてくれた人
和田隆昌さん/災害危機管理アドバイザー
取材・文/鳥居優美 イラスト/大窪史乃
※女性セブン2021年2月18・2月25日号
https://josei7.com/
●地震後、もし近所で火災が発生したら…いざというとき迷わないためのノウハウを伝授