フィリピンから来た外国人介護士の想い…介護現場で高齢者を支える3人の女性たち
コロナ禍で面会が制限されるなかでも、高齢者のケアのために介護施設を訪問しつ続けている介護士たちがいる。「お年寄りの潜在的なパワーを引き出したい」「“できない”という思い込みをなくしたい」そんな思いで利用者の心と体を支える注目の介護士さんをご紹介します。
介護とヨガをMIXして元気をサポート!
もともと「おばあちゃん子」だった半田ひろみさんにとって、介護の仕事を選んだのはごく自然な流れだった。しかし仕事中に腰を痛めてしまい、困っていたところにヨガをすすめられる。ヨガのおかげでなんとか調子を取り戻した半田さんは、ヨガを介護の仕事に活かしたいと、シニアヨガインストラクターの資格を取得した。
「単なる健康増進のためのヨガにはしたくなかったんです。むくみ防止や転倒防止など、高齢者のリアルな悩みに対応したヨガができたらと思っていました。そこで介護現場での経験とヨガの要素を組み合わせて、独自のプログラムを作りました。介護の現場を知ったうえでヨガの指導ができるのは私の強み。体験のあと、利用者さんから「『さっきより脚が軽い』とか『歩きやすくなった』と言われるのが何よりうれしいです」(半田さん)
■プロフィール
半田ひろみさん/町田ふらっとヨガ主宰。シニアヨガインストラクター。リハビリ専門の介護施設を経て2015年独立。現在は介護福祉士として派遣で働きながらシニアヨガ講師として施設に出向くダブルワーカー。
国や言葉を超えて信頼されるのが何よりもうれしい
外国人介護士として活躍するジョイさん。大変なのはやはり日本語だという。
「仕事では知らない言葉がたくさん出てくるから、毎日が勉強です」(ジョイさん・以下同)
たとえば「認知症」「嚥下(えんげ)」など専門用語は教科書にあるが、「ぶつぶつができた」など日常で使う言葉には首をかしげることも。わからない言葉はメモし、あとで調べる。
「多少の言葉の壁があっても、持ち前の明るさと大らかさで接し、笑顔で堂々と話すジョイさんに、利用者さんも元気をもらえるようです。彼女の温かな気持ちが伝わるんですね」と上司。
「フィリピンはもともと年長者を大切にする国です。私も利用者の皆さんを家族のように思っていますし、皆さんもとてもやさしいんですよ」
3月からは夜勤が始まるが、それもいまから楽しみだという。
「信頼してもらえたということ。いまはなんにでも挑戦したい」
外国人ゆえ、人の何倍も努力してきた彼女。日本の介護を支える頼もしい存在だ。
■プロフィール
Joy Lorenzさん/日本と外国との経済連携協定に基づくEPA介護福祉士として4年前にフィリピンから来日。本国と日本で合わせて1年間の研修のあと淡路島の施設に配属、3年の実務を経て介護福祉士に。
同年代だからこそ気持ちに寄り添える
「母が85才の頃、いずれは本格的な介護が必要になるだろうと思い、私には何ができるのか、介護とはどういうものなのか、その世界をきちんと知っておきたいという気持ちでこの仕事を始めました」
そう語るのは、専業主婦から55才で介護業界に入った三田佳代子さん。
16年経ち、現在71才。施設には同年代の利用者も多い。同じ時代を知る者同士、昔の歌謡曲の話などで盛り上がることも多いという。
「大変な仕事と思われることが多いですが、私は本当に楽しく働いています。人生の先輩には、教えてもらうこともたくさん。健康である限り、年齢に関係なく、ずっと働き続けていきたいですね」(三田さん)
■プロフィール
三田佳代子さん/専業主婦として3人の子供を育て上げたあと、55才で介護業界へ。以来16年、(株)ソラストの介護事業所で職員として働く。ホームヘルパー2級。同社では60代~80代の職員も現場でパワフルに活躍している。
撮影/北原千恵美、甚尾こころ
※女性セブン2021年2月18・25日号
https://josei7.com/