暮らし

人に好かれる会話術|不快表現を言い換えて好感度アップする実例12

「人間関係がうまくいかない」「なぜか会話が続かない」「いつの間にか仲の良かった人が離れてしまっている…」と、人付き合いに悩みを抱えていませんか?実はそれ、無意識に『不快ワード』を発しているからかもしれません。

 うっかり使いがちな『不快ワード』を“言い換え”れば、コミュニケーションがスムーズに。使えるリアルな会話12例を紹介します。マナー講師の鈴木真理子さんと謝罪マスターの竹中功さんが好感度がアップするポイントを解説。

 まさに「人の振り見てわが振り直せ!」で、どんな関係性の人との会話でも応用可能。“たった一言”で好かれる人間になるか、嫌われる人間になるかはあなた次第です!

目次

【ネガティブ系】の不快ワード

【1】×「疲れてる?」 ◎「元気?」

ポイント:「否定的な言葉を使わない」

疲れてると同僚に聞く女性のイラスト

 元気がない相手を気遣うための「疲れてる?」という一言。健康状態の確認や励ましの意味を込めて使われるが、相手の状態を、悪い意味で決めつけてしまうことも。

「相手が疲れているように見えても、元気かもしれません。言葉には引き寄せる力があるので“疲れている”と言われると沈んでしまうことも。こういう場合、“元気?”というポジティブな言葉を使いましょう」(謝罪マスター・竹中功さん)。

【2】×「仕事、うまくいってないんじゃないの?」 ◎「よくないことでも聞かせてほしいな」

ポイント:「YESかNOでしか答えられない質問はしない」

夫に仕事うまくいってないんじゃないの?と聞く女性のイラスト

 コロナ禍で業績が悪化した会社が増える中、相手を心配するあまり、使うケースが多いこの言葉。しかし、「そんなことないよ。うまくいっているよ」という答えを期待しているようにも受け取れる。

「現状を聞きたいときは、“悪いことも受け止めるから、教えてほしい”という気持ちで話しかけましょう。YESかNOでしか答えられない質問を投げかけると、会話は広がらず、真実を聞き出せないことも」(マナー講師・鈴木真理子さん)。

【決めつけ系】の不快ワード

【3】×「これを知らないなんて人生の半分を損している」 ◎「よかったら、ちょっと試してみる?」

ポイント:「相手の価値観に敬意を払おう」

「これを知らないなんて人生の半分を損している」と言う女性のイラスト

 いいものだから伝えたい、共感を得たいという気持ちの込もった表現だが、これは相手の人格否定にもつながる。

「自分がすすめたいものを人に受け入れてもらうには、相手の価値観にも敬意を払うことが大切。いいものだと伝えたいがための大げさな表現は控えましょう」(鈴木さん)。

 ましてや、相手の好きなものに対して、「なんで、そんなものが好きなの?」など、自分の主観で相手を否定する表現はNG。

【4】×「みんなそう言っているし、常識だよ」 ◎「私の意見だけど、聞いてくれる?」

ポイント:「不特定の他人ではなく自分の意見を言う」

「みんなそう言っているし、常識だよ」と言う女性のイラスト

 自分に自信がない人ほど、「みんながそう言っている」「これが常識(普通)」「主人が言っていた」などと、他人を代弁者に仕立てることで、自分の意見の正当性を示そうとしがち。

「“誰かの価値観”ではなく、自分を主語にし、『私は~と思う』といった発言をしましょう。その方が、相手に気持ちを伝えやすくなります」(鈴木さん)。

 好印象が残せるだけでなく、使い続ければ自己主張も上手になる。

【上から目線系】の不快ワード

【5】×「私がやってあげようか?」 ◎ 「私も手伝うよ」or「私にも手伝わせて」

ポイント:「相手は自分の子供ではない!と胆に銘じて」

「私がやってあげようか?」と言う女性のイラスト

「~してあげる」は“見下し表現”で、特に女性が子供などに使いがち。自分の子供に対して「~してあげる」という表現を使うのは構わないが、他者にも使うと恩着せがましくなる

「“手伝う”というせっかくの“好意”なのに、上から目線の印象を与えてしまいます。それだけでなく、“相手ができない”と決めつける意味も含まれているため、人間関係が悪化しやすい。使用禁止と心に決めておきましょう」(竹中さん)。

【6】×「若いのに、よく知ってるね」 ◎「物知りだね」 or「勉強家だね」

ポイント:「年齢や性別の違いを言葉に盛り込むのはNG」

「若いのに、よく知ってるね」と老人男性が女性に話しかけているイラスト

 上記例題とは逆で、“還暦なのにスマホを使いこなせるなんて、すごいですね”と若者から言われたら、自分はどう思うだろうか。

「こういった言葉は、性別や肩書などのイメージだけで相手を勝手に判断したという印象を与えるので、気をつけたいですね」(鈴木さん)。

 年齢や性別の違いを話題にすると、意図せず差別やハラスメント表現につながることも。その人の個性にフォーカスして、自分はどう思うかを素直に伝えた方がいい。

【責める系】の不快ワード

【7】×「連絡がないから気になっていたんですよね」 ◎「連絡ありがとう。元気にしていた?」

ポイント:「心配や感謝する気持ちは率直に伝えよう」

「連絡がないから気になっていたんですよね」と電話をかける女性のイラスト

「“気になっていた”という気遣う言葉にもかかわらず、その理由として、“連絡がないから”という相手を責める余計な一言をつけることで印象が180度変わってしまいます。心配や感謝など、相手を思う気持ちを伝えたいなら、“元気?” “ありがとう”など、シンプルな言葉で率直に伝えるのがおすすめです」(竹中さん)。

 無意識に責める気持ちを言いそうなら、「~だから」という理由を言わないように気をつけよう。

【8】×「だから言ったじゃない」 ◎「次回こそ気をつけてね」

ポイント:「過去を振り返る表現は使わないこと」

物を落として壊した男性に「だから言ったじゃない」という女性のイラスト

「だから言ったじゃない」という言葉には、私の(過去の)忠告と発言は正しいと主張する気持ちが含まれる。

「これは家族に言いがちな言葉で、“やっぱり、あなたは間違っていた”というニュアンスを相手に伝えてしまいます。すでに起こったこと(過去)を責めても仕方がないので、これから先のことに目を向けるような言葉を選びましょう。たとえば、“次は気をつけてね”などです。その方が、反省も促せるはずです」(鈴木さん)。

【ほめているつもり系】の不快ワード

【9】×「あなたすごいわね。信じられない」 ◎「あなたすごいわね。見習いたい」

ぽいんと:「主観を押しつけたり比較したりしないこと」

重い荷物や子供を抱えて走る女性に「あなたすごいわね。信じられない」という女性のイラスト

 目標に向かって努力する人などに、ほめ言葉のつもりで使う「(すごすぎて)信じられない」「ありえない」。これらは否定的な言葉であり、主観を相手に押しつけている印象を与える。

「“私だったらできない”など、自分を相手より下に置くような表現もそうですが、誰かと比較しながらほめるのは、相手をも貶(おとし)めるので、おすすめしません。率直にその人だけを称賛し、“見習いたい”など、前向きな言葉をつけ加えるといいですよ」(鈴木さん)。

【10】×「要領がいいね」 ◎「手際がいいね」

ぽいんと:「相反する意味を含む言葉はほめ言葉で使わない」

隣の若い女性に「要領がいいね」と言う女性のイラスト

 仕事ができる人などに対し、ほめ言葉のつもりで「要領がいい」「真面目だ」などと言うことはないだろうか。

「“要領がいい”には、『立ち回りがうまくて、権力者に取り入るのが上手』という意味が、そして“真面目”にも、『融通が利かない』といった、マイナスの意味が含まれます。相手がどちらの意味をくみ取るかわからないので、相反する意味を持つ言葉は使わない方が賢明です。ほめるならば、その人の行動を具体的に表現しましょう」(鈴木さん)。

【返答系】の不快ワード

【11】×「すみません」 ◎「ごめんなさい」or「申し訳ありません」

ポイント:「似た意味の言葉は、使い分けを知っておこう」

ミスを怒られて「すみません」と言う女性のイラスト

「謝罪をするとき多用しがちな“すみません”は本来、うっかりぶつかってしまうなど、不可抗力のミスの際に使います。明らかに自分に落ち度があり、許してもらいたいときは“ごめんなさい”、弁解の余地がないときは“申し訳ありません”を使うのが正解です。特にビジネスシーンでは、後者を使った方が、反省の気持ちがより伝わります。また、“申し訳ありません”と言った方が、自分自身、次は気をつけようという気持ちにもなれます」(鈴木さん)

【12】×「なるほど~」「へえ~そうなんだ」 ◎「それでどうなったの?」「続きを聞かせて」

ポイント:「相手の発言に好奇心と理解を示すことが大切」

「なるほど~」「へえ~そうなんだ」と生返事をする男性と話をする女性のイラスト

「なるほど~」「へえ~そうなんだ」などの言葉は、自分は無関係だという印象を与え、聞き流しているように受け取れる。このようなあいまいな相づちは、相手に不快感を与えやすい。

「相づちは、相手の話を受け止めて、次の話を促すために使います。適当に打てばいいものではなく、“それで、どうなったの”“続きを聞かせて”など、相手の話に関心を示す表現を使った方が、会話がより楽しくなるはずです」(鈴木さん)。

教えてくれた人

マナー講師 鈴木真理子さん

ビジネスインストラクター。三井海上火災保険(現・三井住友海上火災保険)勤務を経て起業。企業研修などで3万人以上にビジネスマナーなどの指導を行う。主な著書に『やり直し・間違いゼロ 絶対にミスをしない人の仕事のワザ』(明日香出版社)など。

謝罪マスター 竹中功さん

危機管理コンサルタント。吉本興業社員時代に所属芸人の謝罪会見などを取り仕切る。主な著書に『仕事でも家庭でも「問題解決」に役立つ本【謝罪力】』(日経BP社)など。

取材・文/前川亜紀 イラスト/ユキミ

※女性セブン2021年2月11日号
https://josei7.com/

●その”大丈夫”誤解されているかも!|人間関係を好転させる話し方をマナー講師が指南!

●日常にも役立つユマニチュード|大学でコミュニケーション教える教授が解説

●視覚障害者にかける言葉「大丈夫ですか?」はNG。正解は?

関連キーワード
ニックネーム可
入力されたメールアドレスは公開されません
編集部で不適切と判断されたコメントは削除いたします。
寄せられたコメントは、当サイト内の記事中で掲載する可能性がございます。予めご了承ください。

最近のコメント

シリーズ

介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
介護付有料老人ホーム「ウイーザス九段」のすべて
神田神保町に誕生した話題の介護付有料老人ホームをレポート!24時間看護、安心の防災設備、熟練の料理長による絶品料理ほか満載の魅力をお伝えします。
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
「老人ホーム・介護施設」の基本と選び方
老人ホーム(高齢者施設)の種類や特徴、それぞれの施設の違いや選び方を解説。親や家族、自分にぴったりな施設探しをするヒント集。
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
「老人ホーム・介護施設」ウォッチング
話題の高齢者施設や評判の高い老人ホームなど、高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップ。実際に訪問して詳細にレポートします。
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
「介護食」の最新情報、市販の介護食や手作りレシピ、わかりやすい動画も
介護食の基本や見た目も味もおいしいレシピ、市販の介護食を食べ比べ、味や見た目を紹介。新商品や便利グッズ情報、介護食の作り方を解説する動画も。
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の悩み ニオイについて 対処法・解決法
介護の困りごとの一つに“ニオイ”があります。デリケートなことだからこそ、ちゃんと向き合い、軽減したいものです。ニオイに関するアンケート調査や、専門家による解決法、対処法をご紹介します。
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
「芸能人・著名人」にまつわる介護の話
話題のタレントなどの芸能人や著名人にまつわる介護や親の看取りなどの話題。介護の仕事をするタレントインタビューなど、旬の話題をピックアップ。
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護の「困った」を解決!介護の基本情報
介護保険制度の基本からサービスの利用方法を詳細解説。介護が始まったとき、知っておきたい基本的な情報をお届けします。
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
切実な悩み「排泄」 ケア法、最新の役立ちグッズ、サービスをご紹介
数々ある介護のお悩み。中でも「排泄」にまつわることは、デリケートなことなだけに、ケアする人も、ケアを受ける人も、その悩みが深いでしょう。 ケアのヒントを専門家に取材しました。また、排泄ケアに役立つ最新グッズをご紹介します!