自分の便をいじってしまう「弄便(ろうべん)」その対処法
弄便の大きな原因は、オムツの中に長時間、便が滞在していることです。もしトイレで自立した排泄ができたら、また便が出るタイミングを予測できたら、掃除の手間を省くことができます。
今、注目しているのが、2018年夏にリリース予定の、トリプル・ダブリュー・ジャパン社の「Dfree Personal」です。個人向けに開発された排泄予測デバイスで、小さなセンサーを下腹部に装着し、排尿記録を蓄積。その記録を基に、次回の排尿タイミングをセンサーで感知し、スマートフォンでお知らせしてくれます。
「Dfree」の使用でオムツやパッドの使用量が削減されるため、お金の節約になるのと、何より介護時間が3割削減されたというデータもあります。
まずは排尿予測サービスのみの開始ですが、いずれ排便予測にも対応するとのこと。介護者が、弄便の後始末から解放される日も近いかもしれません。
弄便の介護負担は大きいので、プロの手を借りよう!
「Dfree」の考えを応用すると、認知症の人の排泄記録を取って排泄リズムを把握することは、ある程度有効なように思います。また、認知症の人の排泄前の動きを察知して、可能な限りトイレへ誘導することも大切だと思います。
弄便は、介護の中でも家族の負担が大きいことだと思います。認知症の人の体や爪に入った便を拭く、衣服についた便を洗濯する、床や壁などを掃除すると、あっという間に数時間が経過していることもあります。
こういった負担を減らすためにも、家族だけで抱え込まず、プロの手を積極的に借りることも大切ではないでしょうか。わたしもヘルパーさんに、可能な限り下の世話をお願いしていました。
弄便が認知症の症状のひとつであることを理解し、便の臭いを消す対策グッズが増えていること、いずれは排便予測ができるようになることを知っておけば、少しだけ弄便ショックを和らげることができるかもしれません。
今日もしれっと、しれっと。
工藤広伸(くどうひろのぶ)
祖母(認知症+子宮頸がん・要介護3)と母のW遠距離介護。2013年3月に介護退職。同年11月、祖母死去。現在も東京と岩手を年間約20往復、書くことを生業にしれっと介護を続ける介護作家・ブロガー。認知症ライフパートナー2級、認知症介助士、なないろのとびら診療所(岩手県盛岡市)地域医療推進室非常勤。ブログ「40歳からの遠距離介護」運営(https://40kaigo.net/)
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