追悼:内海桂子さん|自分らしさ貫いた生き様「眉を描いて、紅をひくのは礼儀」
現役最高齢の漫才師、内海桂子さんが8月22日に亡くなったことが、本日、所属事務所より発表された。97才だった。1938年に漫才師として初舞台を踏み、1955年に内海桂子・好江のコンビを組み人気を博し、相方の好江さんが亡くなったあとも、舞台に立ち続けた。
SNSでの発信にも積極的に取り組み、生涯現役、いつまでも若々しくお元気だった内海桂子さん。女性セブンでは、2017年にインタビュー、当時94才だった内海さんは、「自然体!健康体がいちばんだよ」と語り、若さの秘訣を明かしてくださった。そのインタビュー記事を再掲載する。
内海さんのご冥福を心よりお祈りいたします。
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「誰かのためにするってのはしたことがないわね。化粧するとかしないとかさ、その人の感性だから、人がとやかく言うことはないんですよ」
そう話すのは、“桂子師匠”こと内海桂子だ。7年前に夫の提案で始めたTwitterのフォロワー数は15万人超! 日々のことから社会批判などウィットに富んだコメントが毎日更新されている。御年94才、顔つやはよく、シミ一つない、白くてすべすべの肌を誇る。
「(きれいでいるのは)子供のために…って言っても子供がわかるかってね。まあ、子供心にわかるかもしれないけど。あたしは別にきれいになろうと思ってしてるわけじゃないの。それに白塗りとかに比べたら、今の化粧は化粧してるうちに入りませんよ。あれ、あたし、ちゃんと口紅つけてるかい?(笑い)」
そう笑わせるものの、実は大変な満身創痍。1月に路上で転倒し、左脚の付け根を骨折し、入院。転倒した際、左腕を痛めたため、思うように腕が上がらない。おまけに1週間前にも転倒し、右脚に大きなあざと生傷をつくっていた。
寝たきりになるならなってみろって感じ
「自分が強情だから、体も強情なの(笑い)。普通だったらね、年をとってこれだけ傷があったら寝たきりになっちゃいますよ。なるならなってみろって感じだわね。自分の体に自分が負けたら終わりだから、めいっぱい逆らってるんですよ」
そう、茶目っ気たっぷりに笑う桂子師匠は、この日、グレーの紬の着物に鮮やかなブルーや淡い紫を帯にきかせ、橙色の帯留をアクセントにしていた。艶のある髪の毛も丁寧に結い上げていた。聞けば訪問客や出かける約束があれば、その1時間前にはすべて自分で身支度を整えるという。
「人前に出るときは、眉毛を描いて、紅をひく。それは自然のことですよ。着飾るとかきれいでいたいっていうんじゃない、礼儀。あたしは俳優と違って化粧で化ける必要がなかったからね。見た目は地のまま、芸で勝負してきたの。だからこそ、舞台に上がる以上は、しゃんとしますよ」
心が健康ならいつまでも現役
そう話す桂子師匠の隣では、24才年下の夫でマネジャーの成田常也さん(70才)がニコニコ笑いながら、「家ではほとんどすっぴんですよ。彼女が大事にしているのは、化粧するとかそういうことではないんでしょう」と言う。すると桂子師匠が大きな声で続ける。
「そう! 自然体! いや、健康体がいちばんだよ」
人目を気にせず、振り回されず、自分なりの物差しを持つ…心が健康になれば、いつまでも桂子師匠のように現役でいられるのかもしれない。
※女性セブン2017年6月22日号より
構成/介護ポストセブン編集部