猫が母になつきません 第215話「やせがまん」
母はとにかく窓を開けたがります。「自然の風がいちばん、冷房は苦手なの」と言いながら、同じ口から「あつ、あつ、」と合いの手のように本音がほとばしりでていることを本人は気づいていないのでしょうか。窓を開けるとずっと空き地だった隣地には今やテラスハウスタイプの借家群が。何台もの室外機からこちらにむかって熱風がもわーん。昔とは環境も変わり、気候も変わったんだよなんて言っていたら熱中症になってしまうので、その前に窓をぴしゃりと閉めエアコンのスイッチオン! つけたらつけたでしっかり涼む母。わびはエアコンのない部屋の一番暑そうなところで昼寝。私「暑いでしょ、そこ」わび「昼寝はここって決めてるの」。しばらくして様子を見に行くと「迎えにくるのおそいよ」みたいな目で抵抗することなく涼しい部屋に運ばれます。みんな、あっさりポリシー捨てるなら面倒なやせがまんやめてくれる?
作者プロフィール
nurarin(ぬらりん)/東京でデザイナーとして働いたのち、母とくらすため地元に帰る。典型的な介護離職。モノが堆積していた家を片付けたら居心地がよくなったせいかノラが縁の下で子どもを産んで置いていってしまい、猫二匹(わび♀、さび♀)も家族に。