健康

今こそ食べるべき「最強の魚」ランキング|食と健康の専門家20人が本気で回答!

 1位のいわしから4位のまぐろまで、上位を独占したのは青魚だ。その理由として多くの専門家たちが挙げたのは、青魚に多く含まれる、EPAとDHAという不飽和脂肪酸の存在だ。秋葉原駅クリニックの内科医・佐々木欧さんが言う。

「EPAとDHAには、血液をサラサラにし、動脈硬化を防いだり、炎症を抑えたりする作用が期待できます。特に脂の乗った時期に含有量が増えるため、夏場は6月から10月が旬のいわしがおすすめ。いわしを一匹丸ごと食べれば、カルシウムやビタミンDも豊富に摂取できるので、骨粗しょう症予防にも役立ちます」

 小ぶりゆえ、丸ごと食べられるのも、いわしの大きなメリットだ。管理栄養士の澤山希美さんは、いわしが含有する「チロシン」という物質に着目する。

「『チロシン』は準必須アミノ酸の1つであり、神経伝達物質のドーパミンやノルアドレナリンの材料となる成分。やる気を引き出し、体を元気にしてくれる効果もあります」(澤山さん)

 暑さやコロナ禍でやる気が出ないいまこそ、いわしはうってつけというわけだ。2位のさばは回遊魚で、7月から翌2月まで旬が長いのが特徴だ。特に「嫁に食わすな」とまでいわれる秋さばは、脂が乗って味も健康効果も抜群だ。

 3位のかつおも7月頃から脂が乗り始め、秋にかけて東北の三陸沖から徐々に南下していく。

「春に捕れる『初がつお』より、秋の『戻りがつお』の方がEPA、DHAが豊富です。鎮静作用のあるトリプトファンという成分も多く、眠りの質を高める効果があります」(管理栄養士の望月理恵子さん)

 熱帯夜が続き、寝苦しいこの時期にはピッタリだ。“旬”を理由に大健闘したのは、7位のたこも同じ。全国漁業協同組合連合会・消費拡大対策室の担当者がその効果を力説する。

「この時期、全国の漁師たちがおすすめしているのが、夏バテにぴったりのたこ。ふんだんに含まれるタウリンや亜鉛には疲労回復、血圧・コレステロール値の低下、血行促進、肝機能の回復に効果があります」

 タウリンといえば、滋養強壮ドリンクに配合されている成分として認識している人も多いだろう。

「タウリンには筋肉が活発に働くためのエネルギーを作る細胞内器官であるミトコンドリアを増やす働きも。ミトコンドリアが増えることにより、活力や持久力が向上し、体に力がみなぎります」(管理栄養士の金丸絵里加さん)

「免疫力を高める」魚としてはダントツの1位は鮭

 青魚に迫る勢いで人気を集めたのが、4位にランクインした鮭。総合順位こそ青魚に譲ったものの、「免疫力を高める」魚としてはダントツの1位を獲得した。内科医の工藤孝文さんによれば、その理由は「ビタミンD」の豊富さにあるという。

「最新の研究によって、ビタミンDを多く摂取すれば免疫機能を維持する力が上がることが明らかになってきました。逆にビタミンDが不足すると、疾病や感染症リスクが高まるという研究結果もあります」(工藤さん)

 これまでビタミンDは、カルシウムの吸収を助ける働きから、健康な骨を維持し、骨粗しょう症を予防することで知られてきた。

「現代は日本人の8割がビタミンD不足だと考えられています。ビタミンDは紫外線を浴びることでも合成されますが、皮膚への害が喧伝(けんでん)され、紫外線を避ける傾向が強まっていることが原因の1つでしょう。加えて、ビタミンDを多く含む魚の摂取量が減ったことも関係しているといわれています」(工藤さん)

 シミやソバカスの原因になり、肌の老化にも影響する紫外線。曇っていても強い紫外線が降り注ぐこの時期、肌を守りながらビタミンDを確保するために、鮭はぜひとも食べたい魚だ。望月さんによれば、鮭には紫外線から肌を守る効果もあるという。

「鮭には強い抗酸化作用のあるアスタキサンチンと呼ばれる成分が豊富に含まれています。アスタキサンチンは強い紫外線を浴びたときに発生する一重項酸素という活性酸素を消去するので、肌へのダメージを抑えることができるのです」(望月さん)

 鮭には二重の美肌効果があるというわけだ。

「マスクブス」にたこが効く

 ランクインした魚はどれもおいしくて栄養価の高い「最強の魚」だが、食べ方によって大きく効果に差が生まれるケースがあるから要注意だ。澤山さんは「青魚の栄養を効率よく摂るには刺身がいちばん」と力説する。

「青魚に豊富なEPAやDHAは熱によって変質したり、焼くと脂分と一緒に流れ落ちてしまったりするため、刺身やたたきがおすすめ。ねぎや大葉、しょうがなどと一緒に食べれば、香り成分が血行を促し、EPAやDHAの効能を増強してくれます」

 1位のいわしは、自分で調理して刺身にするのは大変だが、缶詰を使えば骨まで軟らかく食べられて、カルシウムの補給にもなる。ただし「汁にEPAやDHAが溶け出るので、汁ごと料理に使ってほしい」(澤山さん)とのこと。

 反対に、川魚として唯一トップ10に食い込んだあゆは、焼いて食べるのが正解。

「あゆは夏バテ予防になる鉄分や、美肌や免疫力アップに欠かせないビタミンAとビタミンD、疲労回復に大切なビタミンB群も豊富。よく焼いて、ぜひ骨や内臓ごと召し上がっていただきたい。焼くことで水分が抜け、栄養素が凝縮されます」(皮膚科医の柴亜伊子さん)

 マスク生活で顔の筋肉を動かす機会が減ってしまったという人も多いだろう。管理栄養士の磯村優貴恵さんは、「たこを積極的に食べて」とアドバイスする。

「たるみがちな頰やあごの筋肉を鍛え、顔の老化を防ぐためにも、噛みごたえのあるたこはおすすめです。タウリンは水溶性なので、刺身や酢のもの、煮込みや炊き込みご飯などで丸ごといただきましょう」(磯村さん)

 どの魚介類も、“嫁に食わすな”と言わずに家族全員で食べてほしい。

※女性セブン2020年9月3日号
https://josei7.com/

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