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今食べるべき【最強の肉】ランキングを専門家が判定|3位ラム 2位豚ヒレ 1位は?

 瀬戸内寂聴さん(98才)、黒柳徹子さん(86才)、草笛光子さん(86才)。年を重ねてもなお、美しく健康な彼女たちの共通点は、「お肉好き」であること。健康・長生き、夏バテ、コロナ対策、美肌に…今こそ食べたい最強の肉ランキングを専門家20人がジャッジ。ランキングとともに肉の「食べ方」「選び方」をお伝えする。

シニアこそ肉を食べて長生きを…

 連日猛暑が続いている。気温も湿度も高いうえに、ステイホーム生活も重なって、「食欲がないから、そうめんでいいや」「欲しくなるのは冷たいアイスクリームばかり」などと、ついつい食生活がおろそかになってしまっている人も多いだろう。

 しかし、長年食に関する研究に携わってきた人間総合科学大学教授の熊谷修(しゆう)さんは、「食欲がないときや疲れているときこそしっかり肉を食べるべき」と主張する。

「肉は特に人体が利用しやすいたんぱく質であるうえ、体を動かし、再生するためのエネルギー源としても有効な飽和脂肪酸も豊富です。私の研究では、栄養状態の重要な指標である血清アルブミンの数値が、肉を高頻度に食べるシニアほど高いことがわかりました。血清アルブミンは年齢とともに減少し、少ないシニアほど寿命が短くなります。人生の後半こそ、肉を食べてほしい」(熊谷さん)

 だが、「肉」とひと口に言っても鶏胸肉からジビエまでその種類は多い。そこで今回は専門家に「いま食べるべき肉」を徹底取材。多くの票を集めた「最強肉」は一体何なのか?

最強の肉ランキング9位~1位発表!

 20人の「食と健康のプロ」に「今食べるべき肉とその理由」を挙げてもらい、1位を3点、2位を2点、3位を1点として集計。3点以上を獲得した食品をランキング形式でお伝えする。

専門家のみなさんは…

磯村優貴恵さん(管理栄養士)、長田絢さん(料理研究家)、熊谷修さん(人間総合科学大学人間科学部教授)、金丸絵里加さん(管理栄養士)、黒田愛美さん(医師/アスリート)、片村優美さん(管理栄養士)、小寺慶子さん(フードライター)、斎藤糧三さん(タイオンサーモセルクリニック院長)、佐々木欧さん(医師)、左藤桂子さん(内科医)、柴亜伊子さん(皮膚科医)、関口由紀さん(医師)、伊達友美さん(管理栄養士/ダイエットカウンセラー)、田中優子さん(医師/田中病院院長)、中沢るみさん(管理栄養士)、藤岡智子さん(フードライター/栄養士)、堀知佐子さん(管理栄養士)、松浦達也さん(フードアクティビスト)、望月理恵子さん(管理栄養士/健康検定協会)、渡辺信幸さん(医師/こくらクリニック院長)

9位:馬肉/3

「高たんぱくで低カロリー。ミネラルの中でも不足しがちな、免疫力アップに役立つ亜鉛も豊富。ダイエット中にも、体力をつけたいときにもすすめられる」(伊達さん)

9位:豚ロース/3

「豚のロース肉は、脂肪分とたんぱく質のバランスがよい部位。この2つの栄養素を同時に摂ることで体の組織を再生するための同化が促され長寿につながる」(熊谷さん)

9位:牛タン/3

「鉄分やタウリンがたっぷり含まれているため、肝機能を強化して血圧上昇を防ぐ働きが。動脈硬化の予防になるビタミンB12の量もほかの部位の10倍といわれている」(田中さん)

9位:ジビエ/3

「ジビエはどれも質の高いたんぱく質が豊富。なかでも特に脂肪燃焼をサポートするL-カルニチンが豊富なのが、マトン。ダイエットならマトンを選ぶのがコツです。シカやイノシシもいいでしょう」(左藤さん)

7位:豚レバー/4

「『コロナうつ』になる人が増えるなか、抗うつ効果があるヘム鉄を積極的に摂ってほしい。肉の中でももっともヘム鉄を含むのは豚レバー」(柴さん)

7位:鶏ささみ肉/4

「たんぱく質が多く脂肪が少ないささみは、アミノ酸の配分バランスもよくダイエットに向いている。精神の安定を促すトリプトファンも多く、食べるだけでリラックス効果が」(藤岡さん)

6位:牛ランプ肉/5

「不足しがちな亜鉛や鉄などのミネラルが豊富に含まれ、高たんぱくでありながら、比較的低カロリーで栄養価の高い部位。シニア世代の筋肉の衰えの予防にも役立つ」(金丸さん)、「赤身でやわらかいのに食べ応え充分。たんぱく質、鉄分も豊富で女性の美しさに貢献してくれる部位といえる。塊で買って、ステーキ、カレーなど使い分けてもいい」(長田さん)

4位:牛ヒレ肉/6

「牛肉には鉄分が多く含まれているため、効率よく摂取したいときは牛肉がおすすめ。特にヒレ肉は脂質が少ない部位。ダイエット中でも安心して食べられる」(片村さん)、「ビタミンとたんぱく質がバランスよく含まれている。やわらかくて食べやすいため食欲のないときにもおすすめ」(田中さん)

4位:牛もも肉/6

「ローストビーフに使われることの多い牛もも肉は、たんぱく質を多く含むのはもちろん、体の機能を高めてくれる亜鉛や鉄などのミネラルも豊富」(磯村さん)、「高たんぱくで脂肪が少ないことに加え、脂肪燃焼を手助けするL-カルニチンが豊富。ダイエット向きのお肉」(左藤さん)

3位:ラム肉/12

「亜鉛・銅・鉄などのミネラルやL-カルニチンと呼ばれるアミノ酸も多く含むため体内の脂肪酸を燃焼させる効果が」(堀さん)、「高たんぱくで低カロリーのラム肉は、鉄分とビタミンB群も多く、疲労回復に働きかけてくれる」(望月さん)

2位:豚ヒレ肉/15

「糖質からエネルギーを取り出すのを助けるビタミンB1が豊富で、疲労回復にも効果が」(佐々木さん)、「ビタミンB1にはイライラを解消し、睡眠の質を向上させる効果も」(小寺さん)、「豚肉のほかの部位に比べてカロリーが低いのに栄養は満点で満足感がある」(藤岡さん)

1位:鶏胸肉/22

「疲労回復効果が期待できるイミダゾールジペプチドをふんだんに含む」(望月さん)、「イミダゾールジペプチドは高い抗酸化力を持ち、活性酸素を除去して免疫力を高め、肌質も上げてくれる」(黒田さん)、「質のいい筋肉を作るビタミンB群も豊富。運動して筋肉をつけるときに食べるのがおすすめ」(関口さん)、「あっさりした鶏胸肉はこの時期の食卓の最強の味方。塩をすり込んでおいた胸肉を食品の中心部の温度“芯温”が70℃くらいになるまで、ゆっくり時間をかけてゆでる『自家製サラダチキン』を作っておけばおかずのアレンジは無限大に」(松浦さん)

夏バテ対策に…最強の肉は?

2位:鶏胸肉

「疲労回復物質のイミダゾールジペプチドが豊富。1日の摂取目安の200mgが鶏胸肉100gの中に含まれるといわれている」(田中さん)

1位:豚ヒレ肉

「豚肉の中でもヒレには疲労回復効果のあるビタミンB1やB2が特に多い。ビタミンB1はアリシンと一緒に摂ると吸収を助けるので、アリシンの豊富なにんにく、にら、長ねぎと一緒に食べるとさらに効果が」(金丸さん)

美肌に…最強の肉は?

3位:牛ランプ肉

「亜鉛、鉄、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12を含有。肌の代謝、そしてツヤやハリを保つためには欠かせない栄養素のオンパレード」(金丸さん)

2位:鴨肉

「細胞の再生や粘膜を強化するビタミンB群が豊富なので、美肌づくりに効果が。肌のハリを保つアミノ酸や血行をよくする鉄分も豊富」(藤岡さん)

1位:鶏胸肉

「低脂肪高たんぱくかつ、たんぱく質の代謝をサポートするビタミンB6も多く含むため、お肌の新陳代謝にも効果が期待できる」(金丸さん)

免疫力アップに…最強の肉は?

2位:牛レバー

「ビタミンAと鉄が多いのがその理由。ビタミンAは、粘膜のターンオーバーだけでなく抗体産生にも必要であり、鉄には菌やウイルスを消化する役割がある」(斎藤さん)

2位:鶏胸肉

「豊富なイミダゾールジペプチドは抗酸化力が強く、アンチエイジングとともに代謝を促し、免疫機能を上げてくれる」(黒田さん)

1位:豚レバー

「豚レバーが多く含有する亜鉛には新陳代謝を促進し、免疫機能を活性化させる働きがあると報告されている」(片村さん)

コロナ対策や夏バテに肉がいい理由|ランキング解説

強い疲労回復力をもつ「鶏胸肉」

 数多の種類の肉の中から見事1位に輝いたのは「鶏胸肉」だ。管理栄養士の望月理恵子さんは強い疲労回復力に注目する。

「鶏の中でも胸肉は、活性酸素を抑制し、細胞の老化を防ぐ働きがあるイミダゾールジペプチドを豊富に含んでいるため、脳と肉体両方の疲労改善効果が期待できます。さらに、不足すると疲労を招くナイアシンやパントテン酸なども豊富なため、夏バテ予防にはうってつけです」(望月さん)

 こくらクリニック院長の渡辺信幸さんは、コロナ予防の観点からも「いまこそ鶏胸肉を食べるべき」と話す。

「その理由は豊富に含まれるビタミンAにあります。ビタミンAにはウイルスの侵入場所である喉や鼻の粘膜を強くする効果がある。特に、鶏胸肉は豚肉の5倍のビタミンAを含んでいる。ぜひ積極的に食べてほしい」(渡辺さん)

部位別で最も上位は「ヒレ」

 鶏胸肉に次いで、2位を獲得したのは「豚ヒレ肉」。4位には「牛ヒレ肉」もランクインしており、部位別で見れば最も強いのは「ヒレ」という結果になった。

 栄養士でフードライターの藤岡智子さんはその理由を「女性にうれしい成分がたっぷり含まれているから」と分析する。

「赤身が多いヒレは女性に優しい部位。脂身も少なく、たくさん食べても太りにくい。特に牛ヒレ肉には肌によいビタミンB6も多く、貧血予防に役立つヘム鉄も豊富です」(藤岡さん)

 管理栄養士の片村優美さんは同じヒレでも牛より豚に軍配を上げる。

「豚肉には糖質の代謝を助けるビタミンB1が豊富です。なかでも豚ヒレ肉は、脂質が少なくカロリーが控えめなのでおすすめ。夏はさっぱりとしたそうめんや冷やし中華が多く、糖質に偏りがちになりやすいので、豚ヒレ肉を食べて糖質をエネルギーに変え、活力をアップさせてほしい」(片村さん)

ダイエットには…ラムやランプ肉を

 牛・豚・鶏のメジャーな肉の中で、健闘が光ったのが3位にランクインした「ラム肉」。管理栄養士の堀知佐子さんもイチオシだ。

「亜鉛、銅、鉄などのミネラルが豊富なうえ、L―カルニチンというアミノ酸もたっぷり。L―カルニチンは体内の脂肪酸を燃やしてエネルギーを作るので、持久力アップや疲労軽減に効果を発揮してくれます」(堀さん)

 ステイホーム生活で体重が気になる人にも、ラム肉はうってつけというわけだ。料理研究家の長田絢(おさだあや)さんも声をそろえる。

「L-カルニチンには体を温める効果もあり、夏の冷房で冷えを感じる人にもおすすめです。においが気になる場合は、オリーブオイルや香草などをまぶしてローストするといいでしょう」

 部位としてはマイナーな「牛ランプ肉」は総合順位で6位に食い込み、さらには「美肌効果」でもランクインしている。

「高たんぱくでありながら比較的低カロリー。しかも亜鉛、鉄、ビタミンB2・B6・B12と、肌の代謝やツヤ、ハリを保つために欠かせない栄養素のオンパレードです。亜鉛は現代人が不足しがちな栄養素ですが、細胞分裂に関与するので欠乏するとたんぱく質の働きが悪くなり、肌へのダメージも表れやすくなる。活性酸素の除去にも働きかけるので、老化の予防にもつながります」(管理栄養士の金丸絵里加さん)

肉の食べ合わせや選び方を解説

 食事が肉に偏ってしまうのは問題だ。管理栄養士の中沢るみさんが「最強の食べ合わせ」を解説する。

「栄養満点のお肉ですが、ビタミンCが足りないので野菜と一緒に食べて栄養バランスを保って。焼いて、ねぎ塩タレや大根おろし、レモンの搾り汁などを加えることで、ビタミンの摂取量を増やせます」(中沢さん)

 また、スーパーなどで新鮮な肉を選ぶ際には、こんなコツがあると管理栄養士で料理家の磯村優貴恵さんは話す。

「色は、牛肉やラム肉、鴨肉なら濃くて鮮やかな赤色を。変色しているものは酸化している証拠です。豚肉や鶏肉はきれいな薄いピンク色のものを選びましょう。

 また、パックで売られている場合は、トレーの端にドリップと呼ばれる赤い汁が出ていないかをチェックしてください。ドリップが多いのは、時間がたっている証拠。これらの条件をクリアしていれば、割り引き品や特売品でもおいしく食べられます。購入後は冷蔵庫か、可能であればより温度の低いチルド室で保存しましょう」

※女性セブン2020年8月20日・27日号
https://josei7.com/

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