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大豆食品、食べるならこれ!|筋肉を作る、骨を丈夫にするなど目的別ランキング&おすすめレシピ

 たんぱく質が豊富で「畑の肉」ともいわれる大豆。そのほか炭水化物と脂質、ビタミン、ミネラルも含まれ五大栄養素のすべてが揃う優秀食材だが、形状や食感が七変化する大豆の加工食品は、それによって栄養価も変わってくる。そこで、健康効果別に最も有効な大豆食品を1位から3位までランキングに。おすすめレシピも併せてお試しあれ。

→「五大栄養素」が揃う大豆 内臓脂肪と中性脂肪を下げ腸内環境を整える効果も

大豆食品×大豆食品でさらに健康効果をアップ

「大豆は発酵させれば納豆に。みそ、しょうゆといった調味料にもなり、搾れば豆乳に、それを固めると豆腐、さらに油で揚げれば厚揚げや油揚げになります。大豆を発芽させるともやしになり、成長して完熟する前に収穫したものが枝豆です。これだけ、形状も味わいも違う加工食品ができるわけですから、大豆づくしの献立を作っても、違和感なく食べられます」と話すのは、『日本ソイフードマイスター協会』の講師で、管理栄養士の水谷俊江さん。

 しかも、おもしろいことに、同じ大豆が原料でも、加工法によって栄養成分の割合や吸収率が変わる。料理研究家の牛尾理恵さんは、自分が望む健康効果別に、それに適した大豆加工食品を摂ることをすすめる。

「例えば筋肉を増やしたいなら高野豆腐を、腸内環境を整えたいなら生おからを摂るというように、使い分けができます」(牛尾さん)

 大豆製品それぞれにいったいどんな健康効果があるのか、知らない手はない。

筋肉を作るなら

 筋肉や臓器、血液を作る主成分のたんぱく質を構成するアミノ酸のうち、体内で作り出すことのできない9類のアミノ酸を必須アミノ酸といい、これをバランスよく含むものは良質なたんぱく質といわれる。

「大豆製品は植物性食品ながら、肉や魚、卵のように必須アミノ酸がバランスよく含まれており、筋肉作りにおすすめです。必須アミノ酸の中でも、BCAA(バリン、ロイシン、イソロイシン)は、筋肉を増やす働きがあることがわかっています。筋トレの後に大豆プロテインを摂ることが多いのはこのためで、BCAAの含有量の高いものを選ぶといいでしょう。高野豆腐は2枚(32g)で、鶏もも肉100gに近いBCAAが摂取できる優れものです」(水谷さん)

 筋肉内の必須アミノ酸中の約30~40%がBCAA。動物性と植物性の両方のたんぱく質を合わせたダブルたんぱく質料理は、筋肉量がより増大することが確認されている。

食べるならこれ!

【1位】高野豆腐

 大豆製品の中で、だんぜんトップ。2枚(32g)で3136mgのBCAAが摂れる。乳製品や卵など動物性たんぱく質との相性もいい。

【2位】納豆

 1パック(50g)のたんぱく質は8.3gだが、そのうちの2475mgがBCAA。皮ごと加熱してからの加工品のため、吸収率は高め。

【3位】木綿豆腐

 1/2丁(150g)のたんぱく質は10.5gで、そのうち1920mgがBCAAの含有量。一方、絹ごし豆腐は1530mgと木綿豆腐より少ない。

◆おすすめのレシピ『高野豆腐のフレンチトースト』

※材料はすべて2人分です。

【1】水に戻してもみ洗いし、水気を切った高野豆腐4枚は、牛乳1/2カップにひたしておく。
【2】ボウルに卵1個、牛乳1/4カップ、砂糖小さじ2、バニラエッセンス5ふりを入れてよく混ぜる。
【3】フライパンにココナッツオイル(バターでも可)20gを中火で熱したら、【1】を【2】にくぐらせてから両面を色よく焼く。
【4】器に盛り、シナモンパウダー・砕いたくるみ・はちみつ各適量をかける。

腸内環境の改善をしたいなら

 大豆製品が腸内環境の改善に役立つのは、食物繊維とオリゴ糖の働きによる。

「大豆に含まれる食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維が2:5の割合で、不溶性食物繊維が圧倒的に高いものの、豆腐に加工する際に、不溶性食物繊維は、おからとして取り除かれてしまう。便秘解消につなげたいなら、おからを利用するといい」(水谷さん)

 また、大豆に含まれるオリゴ糖は、善玉菌であるビフィズス菌のエサになるため、腸内環境の改善に役立つ。「ビフィズス菌入りヨーグルトにきなこやおからパウダーを混ぜて食べると、効果がアップする」とも。

「大豆に欠けている栄養成分のビタミンCとβカロテン。それを補うパプリカとの組み合わせは、栄養バランス的に◎。おからをクスクスに見立てた料理には、冷蔵庫の残り野菜を刻んでプラスしてもいい」(牛尾さん)

食べるならこれ!

【1位】生おから

 豆乳の搾りかす。食物繊維は100gあたり11.5g。そのうちの11.1gが不溶性食物繊維。便のカサを増し、腸のぜん動運動を活発にする。

【2位】きなこ

 煎り大豆を粉にしたもので、大豆の栄養効果が丸ごと期待できる。オリゴ糖が豊富でヨーグルトとの相性がよく、手軽に食べられる。

【3位】おからパウダー

 生おからを乾燥させたもので、無味無臭でクセがないため料理に合わせやすい。ヨーグルトに入れると腹持ちがよくなる。

◆おすすめレシピ『おからのタブレ風』

【1】耐熱皿に生おから100gを広げ、ラップをかけずに電子レンジ600Wで1分20秒ほど加熱し、水分を飛ばす。
【2】パプリカ・紫玉ねぎ各1/4個は粗みじん切りに、黒オリーブ25gは輪切りに、パクチー10gは長さ5mmに切る。
【3】ボウルにおろしにんにく1/2片分、オリーブオイル・白ワインビネガー各大さじ1、塩小さじ1/3、こしょう少量を入れてよく混ぜ、【1】【2】を入れてしっかり混ぜ合わせる。

更年期障害の対策なら

 大豆には女性の健康と美容をサポートする成分が多く、「摂り続けると美白&美肌が実感できる」と水谷さん。特に更年期以降の女性にとって、上手に取り入れてほしい成分も豊富だ。

 大豆の胚芽に多く含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンである「エストロゲン」と分子構造が近く、似た働きをする。

「一般の大豆製品に含まれるイソフラボンは、周りに糖が結合しており、腸内細菌の働きによって大豆イソフラボンアグリコンとなって、腸から吸収されます。一方、みそや納豆などの大豆発酵食品に含有される大豆イソフラボンは、糖が取り除かれたアグリコンの状態になっているので、消化・吸収されやすいのが特徴です。閉経後、一気に減少する女性ホルモンの働きを補いたいなら、豆腐や油揚げを入れたみそ汁がおすすめです」(水谷さん)

 ただし、摂取したイソフラボンは、約6~8時間で半減するため、毎日、3食に分けて食べるとよい。

「ホルモンバランスが崩れたりイライラしたときは、温めた豆乳にみそを少量溶き入れて飲むと、みそに含まれるGABAの働きでストレスが和らぎます」

 牛尾さんも言う。

「豆腐は凍らせると食感は変わりますが、みそ汁にすればおいしくいただけます。凍ったままだし汁から入れて作ることができます」

食べるならこれ!

【1位】みそ

 みそ汁1杯分(10g)で約5mgのイソフラボンが摂取でき、吸収率も高い。1日3杯のみそ汁で乳がんの発生率が0.6倍になるという研究報告もある。

【2位】蒸し大豆

 大豆イソフラボンは水溶性だが、丸ごと蒸しているため成分の流出を防ぐことができ、100gで120mgも摂取できる。

【3位】木綿豆腐

 豆乳を作る際におからと一緒に取り除かれるため、100gで25mgと少なめだが、手軽に摂りやすいのが魅力。

◆おすすめレシピ『夏野菜と豆腐のみそ汁』

 

【1】絹ごし豆腐1/2丁は水気を切って1cm角に切る。おくら3本は小口切り、ピーマン1/2個は横に1cm幅に切り、豆苗1/6パックは長さ2cmに切る。えのきたけ1/2パックは根元を切り落として長さを半分にし、しめじ1/4パックは石づきを切り落としてほぐす。
【2】鍋にだし汁2カップを入れて中火にかけ、【1】を入れて2分ほど煮て、具材に火が通ったらみそ大さじ2弱を溶き入れる。

骨を丈夫にするなら

 加齢とともに気になるのが「骨」。特に女性は閉経後に骨密度が下がり始め、腸管でカルシウムを吸収する力が弱まり、骨粗しょう症になりやすくなる。カルシウムは、毎日の食事で意識して摂るべき栄養素といえる。

 大豆のカルシウムの吸収率は、野菜や魚よりも高い18%。牛乳の50%に比べると低いが、大豆イソフラボンにカルシウムの流出を防ぐ働きがあるため、骨の強化や、骨粗しょう症の予防効果が期待できる。

「豆乳を豆腐に固める際に、硫酸カルシウムを含む“にがり”を使うため、大豆そのものよりも豆腐の方がカルシウム量が多くなります。やわらかい絹ごしよりも、固く絞って栄養が凝縮された木綿豆腐の方がカルシウムが多いのはそのためです。カルシウムが骨に吸着されて沈着するのを助けるビタミンDと、骨に沈着したカルシウムの定着をサポートするビタミンKも一緒に摂ることで、効率的に骨を強化できます。納豆にはビタミンKが含まれているので、骨粗しょう症の予防にはいちばんです」(水谷さん)

 ビタミンDは、青魚やきのこ類に多く含まれている。

「さばの水煮缶にはビタミンDが含まれ、カルシウムも豊富。一緒に食べると、骨密度にも骨量にもアプローチして、骨の強化が期待できます」(牛尾さん)

食べるならこれ!

【1位】納豆

 1パック(50g)のカルシウム含有量は45mgだが、ビタミンKが含まれており、単体でも効率よく骨を強化できる。

【2位】厚揚げ

 1/3枚(60g)で144mgものカルシウムが摂れる。ビタミンDを含む魚や、きのこ類との組み合わせがベター。

【3位】木綿豆腐

 1/2丁(150g)で140mgのカルシウムが摂れる。一方の絹ごし豆腐は113mgを含有。

◆『納豆冷や汁』

【1】納豆2パック、だし汁1 1/2カップ、みそ大さじ1をボウルに混ぜ入れ、冷蔵庫でよく冷やしておく。
【2】きゅうり1/2本は薄い小口切りにして塩小さじ1/4をふってもみ、しんなりとしたら水気を絞る。
【3】器にご飯2膳分を盛り、それぞれに汁気を切ったさば水煮缶50g、【2】、刻んだ大葉1枚分、ごま小さじ1をのせ、【1】を半量ずつかける。

料理レシピ/牛尾理恵、イラスト/いばさえみ

※女性セブン2020年8月20・27日号
https://josei7.com/

●大豆のすごいパワー|寝ていても筋力が40%増える理由

●更年期障害に打ち克つ最強食品18|やっぱりすごかった大豆パワー

●大豆の調理法|がんや動脈硬化の発症リスクを抑え、“噛む”ことで脳も刺激するレシピ

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