入居後は元気になる「高齢者向けのシェアハウス」的サ高住<後編>
朝食は7時半から9時の間、お昼は12時から13時半の間、夕食は17時半から19時の間の好きな時間に食べることができる。また、食事のメニューがご飯の時は、おひつで各テーブルに出していて、盛り付けができる入居者は好きな量を盛り付けているという。
常識にとらわれない運営をする意味とは?
銀木犀は建物の中で近所の人がランチをしていたり、子供たちが駄菓子を買って遊んでいるなど一般的なイメージのサ高住とは毛色が全く異なる。しかし、訪れてみると、明るい雰囲気にあふれていて、むしろこちらが生活の場として自然なのではないかと感じた。このような運営方針が、入居者の心身にプラスの効果をもたらしているのは間違いない。
「ストレスのかからない生活が健康に一番いいということではないでしょうか。メンタルの安定に勝るリハビリはないと思っています。普段の生活動作も重要なリハビリです。環境に慣れてメンタルを安定させることが大事。自分でやりたいと思う気持ちがあって、はじめて効果が出てきます。そのために重要なのがコミュニケーションですね」
サ高住のいいところは、必要なサービスを選択できることだ。例えば、自炊がしたければ、食事を契約せずに自分で材料を買ってきて料理をすることも可能だ。自分でできることが多ければ、その分料金を抑えることもできる。心身の変化に対応するケアプランも、居宅介護支援事業所が作ってくれる。
介護度の数字が改善したという事実も重要だが、一番分かりやすい指標は入居者の笑顔なのかもしれない。自由がきかない環境で生活をしていると顔が自然に険しくなってしまう。麓さんたちは、自分らしく最期まで住み続けられる住宅を目指しているという。
「私もここに入りたいです。私のおじも銀木犀に入っていて、看取りまでしました」
麓さんのように自信を持って「自分の働いているところに入りたい。家族を入れたい」と思っている高齢者向け施設の職員は、果たして全国に何人いるのだろうか。銀木犀のような住まいに出会った人は幸運だ。銀木犀食堂でランチをしたり、施設内を見学して、麓さんたち職員の様子、そして自然な形で生活を楽しんでいる入居者の様子をぜひ確かめてみてほしい。
撮影/津野貴生
【データ】
施設名:銀木犀
公式WEBサイト:http://www.ginmokusei.net/
所在地:千葉県浦安市富士見4-3-1
最寄駅:東西線「浦安」駅からバスで15分、バス停から徒歩3分
京葉線「舞浜」駅・「新浦安」駅からバスで15分、バス停から徒歩4分
類型:サービス付き高齢者向け住宅
運営主体:株式会社シルバーウッド
敷地面積:1048.33平方メートル
延床面積:1594.62平方メートル
室数:42室(1人用40室、2人用2室で定員44名)
入居要件:概ね60歳以上の方、要介護認定を受けている方
構造:薄板軽量形鋼造地上3階建て
開設年月日:2016年12月4日
料金:入居時にかかる費用0円(敷金、礼金、手数料等なし)
●月額費用:
・1人部屋(約18~20平方メートル)/21万2200~24万2200円(税込)
・1人部屋ミニキッチン付き(約21平方メートル)/25万5200円(税込)
・2人部屋(約27平方メートル)/38万4400~38万9400円(税込)
1人部屋の場合の月額費用内訳は、家賃9万円~、共益費2万5000円、食費(1か月30日の場合)5万9400円(税込)、生活支援サービス費3万7800円(税込)
※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
【このシリーズのバックナンバー】
●普通のこと普通にできる住まいを目指す介護付有料老人ホーム<前編>
●普通のこと普通にできる住まいを目指す介護付有料老人ホーム<後編>
●医師が理想の終の棲家を追求してきた介護付有料老人ホーム<前編>
●医師が理想の終の棲家を追求してきた介護付有料老人ホーム<後編>