ウー・ウェンさんのやさしい家庭料理|炒めものレシピ|素材の旨味を引き出すのがコツ
毎日、お料理をしているのに、間違っていないか迷いながら作っていませんか?家庭料理に正解はないものの、コツを知れば、キッチンに立つのが楽しくなりますよ。
そこで、北京出身の人気料理家ウー・ウェンさんがやさしい家庭料理を教えてくれます。素材のおいしさを活かしたシンプルなレシピは、無理なく簡単なのに、華やぐ夏の食卓にしてくれます。
家庭料理は毎日のことだから「旬のものをシンプルに」こそが極意
ウー・ウェン 『きょうの料理』(NHK)など料理番組で大人気。また『ウー・ウェンの家庭料理 8つの基本』(文藝春秋)、など著書も多数。凝った料理ではない“単純明快”な調理法と、医食同源の考えに基づいた心と体にやさしい料理には多くのファンがいる。
「私が作るのは、普通の家庭料理。毎日作るものだから、簡単なものじゃないと続かないでしょ」
と、ウーさんは笑顔で言う。材料も調味料も、特別なものではなくスーパーで手に入るものばかり。旬の食材を使い、調味料もプロセスも少なく“食材の持つ力を引き出す”ことを大切にする。
「いまを盛りに出回る食材は、味や香りがよいだけでなく栄養もたっぷり。しかも安価だから大助かりです」(ウーさん・以下同)
例えば、炒めものは下味を生かして短時間で仕上げる。蒸しものはできるだけ丸ごと蒸すほうがおいしさが逃げない。麺料理はあれもこれもと具を入れすぎない…など、シンプルな手段が最高の味を引き出す。
基本を追求したウーさんのレシピは、素材のおいしさを活かし無駄がなく作りやすい。家族に作り続けたい、一生もののレシピです!
油を「和えて」素材の旨みを引き出すのが“炒めもの”
簡単そうに見えるのに、なぜかビシッと味が決まらないのが炒めもの。
「下ごしらえの丁寧さこそが最大のコツ。短時間でシャキッと仕上げるために、下味をしっかりつけておくことがポイントです」。
ウーさんのレシピは素材の旨味を引き出す工夫がされています。炒めものは下準備ですべてが決まりますよ!
※材料は記載のあるもの以外すべて2人分。
鶏肉のカシューナッツ炒め
<材料>
鶏ささ身…80g
カシューナッツ(炒ったもの)…50g
ピーマン…1個
油…大さじ1
花椒…15粒
<A>
こしょう…少量
酒…大さじ1
豆板醤・片栗粉・ごま油…各小さじ1
<B>
しょうゆ・酒…各大さじ1
黒酢…大さじ1/2
はちみつ…小さじ1
<作り方>
【1】鶏ささ身は1.5cm幅に切り、<A>の下味をもみこんでおく。
【2】ピーマンは種を除き、1.5cm角に切る。
【3】炒め鍋に油と花椒を入れて中火にかけ、香りが出たら【1】を入れて火が通るまでじっくり炒め、合わせた<B>で調味する。【2】を入れて軽く炒め、カシューナッツも加えてさっと炒める。
★ポイント:下味に豆板醤をつける
発酵調味料である豆板醤で下味をつければ、味つけがしっかり決まり、お肉をふっくらさせる効果も。
火の通りや味のなじみを均一にするため材料は大きさをそろえて切る。これだけでできあがりに違いが出る。
香味野菜といかの炒めもの
★「香味野菜は食べる薬「気」の巡りをよくし夏バテ防止にもなりますよ」
<材料>
いか…1ぱい
酒…大さじ1
粗塩…小さじ1/3
こしょう…小さじ1/5
油…大さじ1
<A>
みょうが(薄切り)…2個
青じそ(せん切り)…10枚
パクチー(3cm長さに切る)…2本
<作り方>
【1】いかは下処理をして胴は1cm幅の輪切りに、足は3cm長さに切る。熱湯でさっとゆでて水けを切る。
【2】炒め鍋に油を入れて熱し、【1】を入れて油をなじませるように中火で炒める。酒を振り、塩とこしょうで調味する。
【3】火を止めて<A>の香味野菜を入れ、全体をさっと合わせる。
★ポイント:香味野菜は火を止めてから入れる
香味野菜は火を止めてから入れる。余熱で火を通すだけで食感も香りも生きたままに。
教えてくれた人
ウー・ウェンさん/料理研究家。中国・北京市出身。ウー・ウェン クッキングサロンを主宰。『シンプルな一皿を究める 丁寧はかんたん』(講談社)など著書多数。
撮影/鈴木泰介
※女性セブン2020年7月30日・8月6日号
https://josei7.com/