兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし「第42回 レアな妹」
若年性認知症を患う兄61歳と2人暮らしをするライターのツガエマナミコさんが、日常を綴る連載シリーズ。
今回は、前回に引き続き兄の確定申告のお話だ。兄の申告手続きに必要な書類を揃えるために、兄が退職した職場や税務署など各所に問い合わせたツガエさん。苦労の末、ようやく準備も整い、いざ!確定申告へ…。
「明るく、時にシュールに」、でも前向きに認知症を考えます。

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確定申告で還付金ははあるのか、ないのか…
ほどなく兄の会社から源泉徴収票が届きまして、控除書類などを集めて税務署へ向かいました。
これで兄の代理をするのは何度目のことでございましょう。そのたびに「母親でもないのに…」とグッと歯を食いしばる妹でございます。
確定申告といえば長蛇の列と相場が決まっております。わたくしもかつて2~3時間並んだ経験を持つ者。お年寄りなどは途中で体調を悪くされ、職員がその対応に追われるといった現場に遭遇したこともございます。
ところが、今年は新型コロナウイルスの影響かガラガラでございました。期限が延長になったことも追い風になって、いつもは並ぶ方々が自粛し、いよいよe-Taxに挑戦されたのではないかと思われます。例年のようにグルグル並ばされることは一切なく、そのために作られた通路や仕切りが空しいくらい閑散としておりました。