父の職場でクラスター発生!そのとき我が家は…家庭内隔離で大混乱
父が勤務する関東のとある県の高齢者施設で新型コロナウイルス感染症のクラスター(集団感染)が発生した、と離れて暮らすライターの清原さつきさんに連絡が入った。父は無事なのか?一緒に住む母はどうする?ライター清原さんの家庭で起こった一部始終をレポートしてもらう。
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仕事が好きな父と母に起こった一大事
父は、約1年前から高齢者施設でパート勤務をしている。この地域で生まれ育ち、細々と自営業をして暮らしていた父の地元への愛着は深く、民生委員や地域のボランティアなどを嬉々として引き受けている。地元の先輩である年長者との付き合いが大好きな父は地元の高齢者施設での仕事を気にいっていて、週3〜4回程度、お弁当の配達、施設の清掃など、細々とした仕事を引き受けている。
こう言うとおとなしく、人当たりのよい老人を想像されるかもしれないが、残念なことに、このキャラクターは家庭内ではクルリと反転する。いわゆる「外面がいい」タイプなのだ。
一方の母は今年に入り、長年経営していた自分の店を「やりきった!」と閉店したばかり。残務整理をしながらちょっぴり休んだ後、この3月に地域の公共施設に再就職した。雇い主側から雇われる立場に変わり、職場も仕事内容も初めてづくしで大丈夫かと思いきや、こちらも新しい仕事が楽しくて仕方がないらしい。電話をかけるたび、「新しい仕事ではね」と、ウキウキトーク。
骨身を惜しまず、つねに直球勝負。自分がいいと思ったら真っしぐらで、そのパワーはとどまることを知らない。それが母という人間だ。
ともに団塊の世代で、自営業者同士として暮らしてきた2人の家庭に、コロナ感染にまつわる騒動が勃発した。
父の職場でクラスター発生!
4月某日の15時ごろ、母から電話がかかってきた。
母:「ニュース見た? 知ってるでしょ? お父さんの職場がクラスターになったんだって!」
たしかにクラスターではあるが小規模であり、同じ時期に県内でより大きなクラスターが発生したこともあって、A市高齢者施設のクラスターについては、さほど大きな報道はされていなかった。それでも、地元では大事件であることに違いはない。
心配なのは、母のテンションだった。ショックを受けるというより、事件に巻き込まれたことで明らかに興奮している。これはまずい。
私:「まだ感染したって決まったわけじゃないんだから、落ち着きなさいよ。お父さんが帰ってきたら、家庭内隔離するしかないよ。自分の部屋で過ごしてもらおう」
家庭内隔離のやり方
この時期、家庭内隔離についてはテレビ番組などでちらほら報道されていた。そうした聞きかじりの情報をもとに、母に家庭内隔離を勧めたのだ。そのとき、母に伝えたのは次のようなことだ。
●父を2階の自室で過ごさせ、食事はそこに運ぶ。
●食器にアルミ箔やラップをかけて盛り付け、食後ははがして捨てる。
●父は2階、母は1階のトイレを使う。
●父は最後に入浴し、すぐに掃除する。
●家庭内でもマスクをし、手洗いを徹底。
おおよそこんなことを伝えると、母は「わかった!」と力強く答え、勇んで新しいミッションに取りかかった。