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【東京都新宿区】注目の介護付有料老人ホームと特別養護老人ホーム【まとめ】

 オープン間近の話題の施設や評判の高いホームなど、カテゴリーを問わず高齢者向けの住宅全般を幅広くピックアップし、実際に訪問して詳細にレポートしている「注目施設ウォッチング」シリーズ。

 東京23区のほぼ中央に位置し、副都心の高層ビルや新宿駅周辺の商業地域など、にぎやかなイメージのある東京都新宿区。大都会の一面が目立つが、新宿御苑や明治神宮外苑のある四谷地区や神楽坂のある牛込地区など違った顔も持っている。高齢化率は全国平均と比べると低いものの、高齢人口は増加傾向にある。そこで今回は、新宿区にある特別養護老人ホームと介護付有料老人ホームを紹介する。

新宿御苑の緑とタイ式セラピーで癒やされる介護付有料老人ホーム「癒しの新宿御苑」

 新宿三丁目駅と新宿御苑前駅から徒歩3分、新宿駅からも徒歩7分の賑やかな場所にあるのが介護付有料老人ホーム「癒しの新宿御苑」。周囲には、伊勢丹やマルイアネックスなどの商業施設や飲食店が立ち並び、買い物や食事を楽しむことができるが、実は自然や静かな時間も満喫できる。歩いて数分のところに新宿御苑があるのだ。

「癒しの新宿御苑」は、レクリエーションに力を入れている。遠出をすることもあり、貸し切りで屋形船を楽しんだり、都内の観光名所に行ったりしているという。職員が入居者の希望を聞きながら、計画を立てているそうだ。

 施設名に“癒し”とつけているが、名前だけではない。「人は人によって癒やされる」というコンセプトの元、独自のリラクゼーションサービスを提供しているのだ。

 事業主体の株式会社リエイは、2003年からタイに進出して介護士の養成事業をスタート。また、2016年1月にタイで初めてとなる日本スタイルの有料老人ホームを開設し、現地の高齢者にサービスを提供している。日本の入居者に提供しているリラクゼーションサービスは、このタイ進出がきっかけとなっているそうだ。タイでの事業を通じて縁のできたタイ保健省の直轄機関からタイ式フットマッサージを日本で独占的に広める権利を得て、高齢者向けにアレンジしたタイ式フットケアとして日本の介護サービスに活かしているという。

 ロイヤルセラピーと名付けられた一連の独自サービスは、「タイ式フットケア」「タイ式ハンドケア」「インド式ヘッドケア」「ルーシダットン」「チャンピサージ」の5つ。気分に合わせて選ぶことができるのがうれしい。タイ式フットケアは、伝統的な「タイロイヤルフットマッサージ」をベースに、専門家が高齢者向けにアレンジしたもので、冷え性の人にオススメだという。ルーシダットンは独特の呼吸法で血液循環を活発にし、体調を整えるタイの伝統的な体操で、健康維持や介護予防に効果があるとされている。チャンピサージは、頭のケアを中心に考えられたもので、ストレスの溜まりやすいとされる頭、首、肩、背中を温めて心と体を癒してくれる。

「癒しの新宿御苑」は食事にも力を入れている。東洋医学の1つであるアーユルヴェーダ理念を取り入れた5つのメニューは入居者に好評だという。“癒食同源”というテーマで提供されている食事は、薬膳理念に基づいてメニューが作られているそうだ。

 同じ建物の中にある厨房で作られている食事は選択制になっていて、朝昼夕の3食のうち、朝食は和食か洋食、昼食は2種類の主菜から選べるようになっている。

 賑やかな新宿の街のど真ん中にありながら、一歩中に入ると静かな環境で入居者に“癒し”が提供している「癒しの新宿御苑」。新宿御苑の緑にも恵まれ、穏やかな表情で職員と会話をしている入居者が多かったのが印象的だった。

→大都会のど真ん中!新宿御苑の緑とタイ式セラピーで癒やされる介護付有料老人ホーム<前編>
→新宿御苑がすぐ近く!“薬膳御膳”や“世界の料理”を提供する介護付有料老人ホーム<後編>

地域交流の拠点になった高齢者総合福祉施設「神楽坂」

 飲食店の賑わいと閑静な住宅街の顔を持つ神楽坂。東京メトロ東西線の神楽坂駅から徒歩2分と利便性の高い場所に建っているのが、高齢者総合福祉施設「神楽坂」だ。名前に総合とついている通り、特別養護老人ホーム、ショートステイ、認知症高齢者グループホーム、デイサービス、居宅介護支援事業所の5つの機能を合わせ持っている。また、地域交流の拠点として、地域文化の発展に貢献することを目指しており、それを実現するため1階に地域交流スペースを設けている。

 早稲田通りに面した建物の1階は、全て地域交流スペースとして開放されている。憩いの場として自由に使うことができるので、散歩の途中で立ち寄ったり、おしゃべりに花を咲かせる人も多いという。また、地元の会議や行事のために無料に貸し出しており、公共スペースとして機能しているそうだ。もちろん、高齢者のためだけの場所ではなく、親子連れの利用も多いそうだ。訪れた日にも乳児にミルクをあげているお母さんの姿があった。

 地域交流スペースにはカフェ「しの笛茶房」が併設されていて、コーヒーやお茶、パンなどの軽食を楽しめる。通常のカフェと同じように誰でもできる。包括連携協定を結んだ目白大学の学生が、2018年度までは日曜日にカフェの運営を行い、2019年度はゼミ学生の発表の場として地域交流スペースを活用していたそうだ。

 この場所には元々あったのは、明治時代から80年余り地域を災害から守ってきた牛込消防署。都有地である跡地を特別養護老人ホームなどの用地として貸し付ける東京都の公募があり、運営会社の社会福祉法人三篠会が応募し、選定されたという。商業地でもあるこの地に高齢者向けの施設を作ることには様々な声もあったというが、今ではすっかり地域の福祉拠点として受け入れられているようだ。2017年8月には新宿区と「災害時における福祉避難所の開設及び運営に関する協定」を締結したという。これは、万一の自然災害時に利用者の安全を守り、静かな生活を継続できるようにするためのものだ。

 高齢者総合福祉施設「神楽坂」は9階建てで、そのうち4階から8階を特別養護老人ホーム(特養)が占めている。定員は86名で、9~10人を一つのユニットとした個室ユニットケア型。ユニットケアとは、少人数のグループを1つのユニットとし、決まったスタッフがケアにあたる形式のことで、利用者一人ひとりを尊重する個別ケアの介護手法だ。

 こちらの利用条件は、利用者または主に介護を担っている人が新宿区民であり、原則として要介護3以上の認定を受けていること。要介護1・2の人は、「やむを得ない事情により、特養以外での生活が著しく困難であると認められる場合に限り、特例的に入所検討対象となる」と区が定めている。事前によく確認しておきたい。

→地域交流の拠点になった新宿・神楽坂の高齢者総合福祉施設<前編>
→神楽坂の高齢者を支える高齢者総合福祉施設<後編>

手厚い「個別ケア」を実現した介護付有料老人ホーム「チャームプレミア目白お留山」

 2017年2月1日にオープンした「チャームプレミア目白お留山(めじろおとめやま)」。運営企業の株式会社チャーム・ケア・コーポレーションは、主に近畿圏で介護事業を運営してきた。充実した設備と「おもてなし」を感じる最上級のホスピタリティが特徴の「チャームプレミア」シリーズは、24時間の介護サポートはもちろん、「個別ケア」をより重視しているという。

 エントランスには大きな絵画が飾られている。ホーム内には80点ほどが飾られていて、チャームプレミア目白お留山だけではなく、チャーム・ケア・コーポレーションが運営する他の施設にも絵画はあるという。絵画がきっかけとなって、入居者とスタッフ、入居者同士のコミュニケーションが生まれることも多いそうだ。

 こちらの特徴である個別ケアの4つのサービスを見ていこう。

「傾聴タイム」では、個別で週1回コンシェルジュとの会話を楽しめる。会話を望まない場合は、近隣への散歩などの個別の時間として利用することもでき、もちろん強制されるものではない。入居直後で不安感を抱えている方や、本当は聞きたいことがあるがなかなか言い出しにくいと感じている方に特に効果があるそうだ。また、「目白倶楽部」と名付けられた機能訓練があり、60分、週2回のリハビリプログラムを受けられるという。

「プレミア食」は、週1回の趣向を凝らした食事。プレミア食の他に、毎月の季節行事に合わせた特別食や薬膳などのイベント食も提供されているそうだ。

「目白を楽しむ日」と名付けられたサービスは、一人ひとりにアクティビティプランが用意され、1日に1つ以上のアクティビティに参加できるそうだ。1日に複数のアクティビティが用意されているので、興味のある内容に出会える可能性が高く、参加率も高いという。

 アクティビティの内容は、「みんなで楽しむ日」「音楽と趣味を楽しむ日」「体力と芸術を楽しむ日」「気分転換の日」「懇親を深める日」「体力と娯楽を楽しむ日」「趣味と文化を楽しむ日」など、テーマを持って開催されている。例えば、「体力と娯楽を楽しむ日」には、ラジオ体操、読書会、朗読会、カラオケ、脳トレなどが、「気分転換の日」には、買い物ツアー、外食ツアー、移動ストアー、ネイル、理美容などが用意されている。「傾聴タイム」なども含めると1日に6種類ものアクティビティが用意されている日もあり、どれに参加するかを迷うほどだ。手厚い個別ケアやアクティビティは入居者や家族からも評価が高いそうだ。

→手厚い「個別ケア」を実現した介護付有料老人ホーム<前編>
手厚い「個別ケア」を実現した介護付有料老人ホーム<後編>

 いかがだっただろうか。様々な表情を持つ区の特徴と同じように個性を持っているそれぞれの施設。新宿区に住み続けたい人はもちろん、親を呼び寄せたいと考える人も、普段の生活の中で目にしている施設のことを調べてみてはいかがだろうか。

撮影/津野貴生 取材・文/ヤムラコウジ

※施設のご選択の際には、できるだけ事前に施設を見学し、担当者から直接お話を聞くなどなさったうえ、あくまでご自身の判断でお選びください。
※過去の記事を元に再構成しています。サービス内容等が変わっていることもありますので、詳細については各施設にお問合せください。

→このシリーズのバックナンバーを見る

●「家庭内でも高齢の親には近づかない」命を守るため、いますべきこと

●新型コロナで要介護認定はどうなる? 要介護申請の流れをおさらい

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