《高血圧対策に》ざるそばに大根おろしをプラス 「塩分控えめ」だけじゃない食べ方のコツを管理栄養士が解説する
女性は更年期にさしかかると、女性ホルモンのエストロゲンが減少するため、高血圧のリスクが一気に高まる。そこで、高血圧が気になり始めたらとり入れてほしい食材があると、話題の著書『1週間で勝手に-10歳若返る体になるすごい方法』(日本文芸社)を上梓した管理栄養士・菊池真由子さん。高血圧に有効な食材と食べ方について、菊池さんが教えてくれた。
教えてくれた人
管理栄養士・菊池真由子さん
1966年大阪府生まれ。管理栄養士。健康運動指導士。NR・サプリメントアドバイザー。日本オンラインカウンセリング協会認定上級オンラインカウンセラー。大阪大学健康体育部(現・保健センター)、阪神タイガース、国立循環器病センター集団検診部(現・予防検診部)を経て、厚生労働省認定健康増進施設などで栄養アドバイザーを務める。ダイエットや生活習慣病の予防対策など、のべ1万人の栄養指導に携わる。著書に『美味しく食べて勝手にやせる!すごい方法』(三笠書房《知的生きかた文庫》)がある。https://www.diet-class.com/
そばに豊富なルチンで血管と血液の若さを保つ
高血圧を改善するには減塩すればいいと思われがちだが、菊池さんによれば、減塩だけではなく、血圧を効果的に下げる栄養素を積極的に摂ることも大事だという。
「そばに豊富に含まれているルチンは、血圧を上げる物質の働きを弱める栄養素で、そばほど多く含まれている食材は他にはありません。ルチンには加齢とともに弱まる毛細血管の強化、傷ついた血管を修復するなど、血管と血液を健康にする働きがあります。血行がよくなれば、高血圧の改善はもちろん、冷え性や肩こりなどのこりの解消にも有効です。また、そばにはビタミンPも豊富。ビタミンPはルチン同様に毛細血管を強くする降圧作用があるほか、更年期のほてりを鎮める働きがあります」(菊池さん)
そばの種類には、身の中心部を使った色の白い「更科そば」と、外側に近い部分も含まれる色の濃い「藪そば」や「田舎そば」があるが、ルチンが多く含まれているのは外側の殻に近い部分。
「血圧を下げる目的で食べるなら、『藪そば』や『田舎そば』を選びましょう。食物繊維も『更科そば』より豊富です。また、ルチンは水に溶けやすいため、そばをゆでた湯をいただくのもお忘れなく。ただし、汁そばは一緒につゆの塩分も多く摂ってしまうので、できれば、ざるそばがおすすめ。つゆが多い場合は、減らしてそば湯を多く注ぐのがベター。もちろん、そば湯だけ飲めば、さらに塩分控えめになります」
ルチンとビタミンCは降圧のベストパートナー
ルチンやビタミンPは強い抗酸化のあるビタミンCと一緒に摂れば、高血圧が引き起こす病気の予防にも効果が期待できると菊池さん。
「ルチンやビタミンPはビタミンCを効率よく吸収して、血管や血液の老化を抑えます。つまり、高血圧による動脈硬化や脳血管障害の予防にも効果的。ビタミンCを含む食材はたくさんありますが、ざるそばに合わせるなら大根おろしが最適。大根おろしは、つゆではなくそば湯に入れて食べるのが正解。降圧にはこの食べ方が最も効果が期待できます」
「藪そば」や「田舎そば」は消化しにくいという欠点はあるが、消化酵素のアミラーゼが豊富な大根と食べることで解消される。さらに、ざるそばと大根おろしの組み合わせは、血糖値が上がりにくく、太りにくいというメリットも。
「肥満も血圧上昇の原因の1つですから、高血圧が気になる人は血糖値を上がりにくくする食べ方を意識しましょう。大根おろしの代わりなら、ビタミンC豊富なブロッコリーやほうれん草、かぼちゃ、トマトなどの野菜や、果糖少なめの柑橘類がおすすめです。お手軽な野菜ジュースのビタミンCは酸化の抑制に働くので、残念ながら栄養素としてのビタミンC効果は期待できません」
ざるそばなら食欲がわかないときでもツルツルっと食べられそう。麺類が食べたくなったら、塩分もカロリーも低めで高血圧を改善できるざるそばを!
取材・文/佐々木めぐみ