ウイルスの侵入を防ぐ正しい歯磨き|口腔ケアもコロナ予防のカギ
正しい歯磨きが、あなたの健康を守る手段になるかもしれない。歯磨きをはじめとするオーラルケアを行うことで、脳梗塞や糖尿病などさまざまな病気を引き起こす要因を減らすことができるという。
だが、小さいころから行っている歯磨きも、きちんと磨けているつもりでも、汚れが残っている人も多い。そこで、正しい歯磨きや口腔ケア方法をお教えします!
新型コロナウイルスに歯磨きでも対策
世界中を恐怖に陥れている新型コロナウイルスも、口腔内の環境に罹患リスクが左右される。歯科衛生士の濵田真理子さんは「適切な歯磨きをして口腔内の環境を整えれば、新型コロナ対策になる」と話す。
「歯に付着したプラークに含まれる細菌は、ウイルスの侵入を誘発するプロテアーゼと呼ばれる酵素を排出します。つまり、口腔にプラークがたまれば感染症にかかりやすく、重症化を招くと考えられる。インフルエンザは適切な口腔ケアで、発症率が10分の1におさえられたというデータもあり、新型コロナウイルスも同じ視点で対策を取ることが得策でしょう」(濵田さん)
つまり、正しいオーラルケアをすれば万病を遠ざけ、健康を守ることができるということ。では、どうやって磨けば効果的なのか。
食事直後の歯磨きはNG。食事の30分後が理想
濵田さんは「食後すぐの歯磨きは避けるべし」と言う。
「食後すぐは、口腔内が酸性の状態になりやすく研磨剤や界面活性剤が入った歯磨剤で歯磨きをするとエナメル質を傷つけてしまう。食事から30分後に歯磨きをするのが理想ですが、会社勤めなどで昼食後は歯磨きの時間がとれないこともある。そんな場合は口をすすいで、歯間ブラシやデンタルフロスなどでプラークがたまりやすい歯の間だけ最低限のケアをして夜にしっかり磨くことをおすすめしています」
1回につき何分磨くか
それでは、1回につき何分ほど行えばいいのだろうか。
「“○分磨けばいい”という目安を作るのではなく、歯の状態や生活習慣に合わせて、自分に合った時間や回数を考えた方がいい。歯間ブラシやデンタルフロス、歯ブラシを使った徹底したセルフケアを1日1回行えば、あとは食後に軽く歯ブラシを当てるだけでも口腔内のトラブルは充分予防できます」(濱田さん)
起床後すぐと寝る前は丁寧に
草加ファミリー歯科院長、小垣佑一郎さんは、起床後すぐと寝る前は特に丁寧に磨く必要があると話す。
「寝ている間は唾液が少なく、菌が繁殖するので、就寝前後に菌を減らす努力をするといい。特に朝は食事の後だけでなく、起きてすぐに磨いた方がいいでしょう。洗面所で立って磨く場合は、歯磨きの時間が少なくなりやすいので、居間やお風呂の中などでゆっくり磨くといいでしょう」
究極の磨き方
「ゆっくり丁寧に」と言われても、闇雲に同じところばかり磨いていては、プラークはたまるばかり。そこで今回、濵田さんに上の歯と下の歯に分けて具体的にどう磨くべきか、「秘訣」を伝授してもらった。
「歯の表面ばかりを磨くのではなく、虫歯になりやすい場所、歯周病になりやすい部分を念入りに。虫歯になりやすのは、臼歯(きゆうし)の溝や奥歯の奥、前歯の裏側、歯並びの悪いところ、一度治療した虫歯の部分。歯周病になりやすいのは、歯と歯の境目、奥歯で毛先が上手に当たらない部分、治療をして冠が被っている部分の歯肉の境目です」
歯周病をシャットアウトする歯磨きの秘訣
いずれも1本ずつ磨いていくイメージで。1本20往復するくらい丁寧に行って。
教えてくれた人
濵田真理子さん/歯科衛生士
小垣佑一郎さん/草加ファミリー歯科院長。
イラスト/飛鳥幸子
※女性セブン2020年4月9日号