兄がボケました~若年性認知症の家族との暮らし【16回 住所が書けない】
若年性認知症を発症した兄と2人暮らしをするライターのツガエマナミコさん。父、そして認知症の母の死後、兄の病気が発覚し…。それからの日々を振り返りながら2日の暮らしぶりを綴る連載エッセイ。
病気発覚後も勤め続けた会社だったが、このままというわけにもいかず、2人の住まいや今後の生活に頭を悩ますツガエさん。そんな折、兄の病状にも少し変化が起き…
明るく、時にシュールに、でも前向きに認知症を考えます。

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風雲急を告げる!?
兄妹ともに年金は雀のナミダ、退職金もないとわかったからには、なおさらマンションの買い替えは必須案件となりました。とにかく今住んでいる物件を売却して、ローンをキレイに返済し、且つ残ったお金で買えるマンションに住み替えなければ…と。
とはいえ、差し迫った事情もないので「ちょうどいいマンションが出てくるまでじっくり待とう」という気持ちでした。
平成29年の秋、フラッと立ちより、まんまと不動産屋の「鴨ネギ」になったわたくしですが、そもそも立地も間取りも金額も全部満点の物件など都合よく出てこないのです。ましてやいくらで売れるかわかりませんし、売れなければ買うお金がないし、先に売れてしまったら住むところが無くなるわけで、買い替えはなかなか難しいのだと知りました。
めぼしい進展がないまま、あっという間に1年が過ぎてしまった、そんなある日「こり