YouTubeがボケ防止に効く!? 視聴方法からお勧め動画まで解説
小学生の「なりたい職業ランキング」にサッカー選手や医師などと並んで、YouTube上で動画を配信することを生業とする“ユーチューバー”が堂々と名を連ねる時代。しかしYouTubeは若者だけのものではない。むしろ介護や仕事に追われる大人にこそ、使うメリットがあるんです。
YouTube視聴の仕方キホンのキ
パソコンから、スマホで、タブレットを使って…。YouTubeを見るための手段は多数あるが、初心者は何を使って視聴すればよいのだろうか。『YouTubeパーフェクトガイド』著者の外村克也さんが解説する。
「立ち上げに時間がかからず手軽に視聴できるスマホがおすすめです。ほとんどの端末にYouTubeのアプリ(※1)が入っているので、それを立ち上げて視聴します。アプリがない場合は、インターネットでYouTubeを検索してください。スマホでの視聴に慣れてきたら、テレビの大画面で楽しむのもおすすめです」
シャープの『AQUOS』など、YouTubeを再生できる機能がもともと備わっているテレビも数多く存在する。
「対応していない場合は、『クロームキャスト』など専用の接続端末を使うと、スマホからテレビに動画を飛ばすことができる。家電量販店などで4000円前後で購入できます」(外村さん)
●Wi-Fiを使う
スマホで視聴する際は、Wi-Fi(※2)がオンになっていることを確かめよう。
「動画は静止画や文字に比べてデータの量が多い。モバイル通信を使うと、種類によるが、約24時間見ただけで通信制限がかかってしまう」(ITジャーナリストの三上洋さん)
●公式チャンネルと関連動画
1分につき100時間分の動画が上がっているとされるYouTube。お気に入りの1本をどう探すべきか。
「好きなアーティストの名前などを入力して検索する『キーワード検索』で見つけるのが主流。音楽レーベルやテレビ局が運営する動画のまとめページの『公式チャンネル』もおすすめです。EXILEや乃木坂46から演歌歌手まで、人気アーティストの新曲を幅広くミュージックビデオと一緒に楽しめます」(外村さん)
再生した動画に関連したおすすめを紹介してくれる『関連動画』という機能も要注目。
「過去の再生動画をもとにランダムで表示されるため、自分の嗜好に合ったものが並ぶようになるし、ときには自分で検索しないような、思いもかけない面白い動画が見つかる楽しみもある」(外村さん)
※1 アプリ…パソコンやスマホに対応した、音楽の再生や電子メールなど、目的に応じて使うソフトウェアのこと。
※2 Wi-Fi…パソコンやスマホなどをインターネットにつなぐ無線またはその技術のこと。
ネットに潜むキケンな動画の見分け方
星の数ほどある投稿動画の中には、落とし穴もある。その1つは、違法アップロードされた動画が少なくないことだ。
「個人がテレビを録画したものや、映画やライブ映像のDVDなどをコピーしたものは、すべて違法です。こうした動画は、アップロード(※3)をすると罪に問われます。視聴するだけならば、今のところ犯罪にはなりませんが、ダウンロードして保持することは違法にあたります。再生しないに越したことはありません」(前出・三上さん)
実際、8月にはバラエティー番組を公開した高校生ら5人が書類送検されるという事件も起きている。
●子供向け動画に注意
子供をターゲットにした悪質なものも紛れ込んでいる。
「とくに最近、『エルサゲート』と呼ばれる動画が危険視されています。『アナと雪の女王』のエルサやミッキーマウスなど、子供に人気のキャラクターを使ってショッキングな映像を見せようとするものです。キーワード検索をすると通常の子供向け動画に交じって出てくるため、見分けることが難しい。子供に見せるアニメの動画はなるべく公式のものを選ぶことをおすすめします」(三上さん)
●広告や外部アドレスはクリックしない
視聴した動画が原因で、ウイルスに感染する危険性も。
「動画の再生中にバナー広告が表示されることがありますが、それをクリックすると、ウイルスに感染したり、個人情報を盗む目的で作られた偽サイトに飛ばされたりするおそれがある。広告でなくても、動画を公開した人のプロフィール欄のホームページアドレスから、そのようなサイトにつながってしまう可能性もある。広告や外部のホームページにつながるアドレスはなるべくクリックしないようにしてください」(三上さん)
※3 アップロード…手元のスマホやパソコンから、動画や写真などをネット上のサーバーに転送すること。
→スマホ超初心者のための用語、使い方解説|シニア世代向け!デジタル悩みをわかりやすく解消
勉強から介護まで!YouTube生活に根ざした使い方
YouTubeの使いどころは、音楽を聴いたりドラマを見たりといった娯楽だけではない。昨今は勉強から介護まで、私たちの生活を助けてくれる動画が数多くアップされているのだ。
●YouTubeで塾要らず
前出の外村さんは、「うちの娘はYouTubeのおかげで塾要らずだった」と振り返る。
「家庭教師や塾の講師が、問題の解き方を解説した動画をアップしています。科学の実験動画を公開している人もいる。これらの動画を使って勉強する児童や生徒が増えています。うちの娘もYouTubeで勉強し、塾には3か月通っただけで中学受験を乗り切りました」(外村さん)
科目も教え方も千差万別で、飽きないように工夫されたものが多い。夏休みの自由研究に関する動画も多数アップされている。
さらに、大人向けに資格試験の勉強を教えるものもある。参考書を買う前に、キーワード検索を試してみるべし!
●介護の知識も動画で仕入れる
介護に関する動画も人気を集めている。車椅子からベッドへの移し方や体に負担をかけない体操の方法など、言葉で説明されてもわかりにくい介護に関するさまざまな知識を詰め込んだ動画が多数アップされているのだ。
『カイゴ大学』は、それらを集めた人気チャンネルの1つだ。運営する株式会社アトンス代表取締役の永井公作さんが言う。
「理学療法士としてリハビリの現場で働いているときに、介護をしている人が知りたいことをすぐに動画で見られる、辞書のようなものを作りたいと考えて、YouTubeにたどり着きました。介護者に必要な知識を短時間で伝えるため、すべて1分台で作っています。また、できるだけ専門用語を使わず、誰にでもわかりやすいようにと心がけました」
現在のところ、動画は300本ほど用意されているという。
「とくに再生回数が多いのは、指だけを使った体操の動画や、ベッドや車椅子などで移動しづらい場所から移動する方法を解説した動画です。見ながら、その場で一緒にやってみるのがおすすめです」(永井さん)
→高齢者の転倒が危険|樹木希林さんも…大腿骨骨折や寝たきりを防ぐリハビリとは【動画あり】
●認知症対策に懐メロがいい
「認知症でほとんど表情がなくなっていた母に、YouTubeで見つけた昔の歌謡曲の動画を見せたら、久しぶりに笑顔を見せてくれたんです。その曲が終わっても、関連動画で次々に懐かしい曲が再生される。次第に顔色もよくなってきて、こんな使い方もあるのか、と嬉しい驚きでした。これからも積極的に使っていきたいです」(50代主婦)
YouTubeで見つけた動画は、ときに認知症にも効果を発揮する。認知症のメカニズムに詳しい阿部メディカルクリニックの阿部聡院長が解説する。
「音楽で脳を刺激され、動画で視覚を刺激された結果、生き生きとした感覚を取り戻したのではないでしょうか。また、歌手が当時の姿で懐メロを歌うなど、懐かしい光景を見ると、昔の記憶もセットで思い出しやすい。年を取ると感情を発露しづらくなるため、動画から昔の楽しい記憶を思い出すのは効果的といえます」
→シニアユーチューバーが熱い!「YouTuber」になってみたら、老後がもっとおもしろくなった
教えてくれた人
『YouTubeパーフェクトガイド』著者の外村克也さん、ITジャーナリストの三上洋さん、株式会社アトンス代表取締役の永井公作さん、阿部メディカルクリニックの阿部聡院長
※女性セブン2018年8月23・30日号
https://josei7.com/