【認知症予防】同窓会は「回想法」と同じ効果が期待できる
近年、徐々に人気が高まっている同窓会。特に70才で同窓会に参加する人の割合は、下の年代に比べてかなり高い。
実は、この同窓会は、認知症を遠ざけるのだという。
同窓会は「社会脳」を磨くいい機会
東京医科歯科大学特任教授で認知症を専門とする朝田隆先生は「同窓会は“社会脳”の機能を高める」と話す。
「人間はもともと社会的な動物で、人とうまくコミュニケーションをとって社会で生きていくために必要な“社会脳”を持っています。
人間は社会で認められているという気持ちが持てれば、自分自身の安心感や愛着の基礎となりますが、逆に70才を超えて孤独になると、鬱や認知症へとつながっていくこともあります。
さまざまな人がいて、『この人とはこういう話をしよう』とか『この人とはこういう思い出がある』と考えながらしゃべる同窓会は、社会脳を磨くいい機会です。その結果、社会脳の機能が高まり、認知症の進行を遅らせる効果が期待できます」
同窓会に出て初恋のことや昔先生に褒められたことを思い出して話すことで、脳の血流が活性化し、認知症の療法として知られる「回想法」と同じ効果が出るとする研究もある。
同窓会を認知症対策に役立てる動きも
同窓会の幹事を代行している『笑屋』の取締役・八木誠さんは「同窓会を、認知症対策に役立てようとする動きもある」と言う。
「高齢者のコミュニティーをもう一度作るために、同窓会をうまく使えないかと考えています。同窓会に参加し、高齢者のつながりが活性化すれば、高齢者の見守りも不要になり、認知症など病気になる前段階で予防ができるかもしれません。まだ実現していませんが、自治体の福祉課に提案した実績もあります」
初出/女性セブン
朝田隆(あさだ・たかし)
「家族みんなで 無くそう逆走」監修。1955年生まれ。メモリークリニックお茶の水院長、筑波大学名誉教授、東京医科歯科大学医学部特任教授、医学博士。数々の認知症実態調査に関わり、軽度認知障害(MCI)のうちに予防を始めることを強く推奨、デイケアプログラムの実施など第一線で活躍中。『効く!「脳トレ」ブック』(三笠書房)など編著書多数。
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