定員30名、小規模施設の利点あふれる都心の介護付有料老人ホーム<後編>
シンセリティ千代田一番町
「シンセリティ千代田一番町」は、小規模であることにこだわった介護付有料老人ホームだ。そのポリシーは一貫していて、前編で触れたように「シン建工業株式会社」が運営している他の施設も定員30人前後と小規模。もちろん、ただ小規模にすれば目が行き届いて入居者の満足が上がるというものではない。今回の後編では特に力を入れているという、食事を中心にその魅力を探っていく。
セレクト食で食事を選ぶ楽しさも
高齢者向けの施設における食事は、生活の質を左右する重要な要素の一つだ。また、身体的な面に大きく影響するだけではなく、食事を楽しめているかどうかは精神面にも大きく作用する。施設長の松本光一さんは「酵素を使って肉をやわらかくして食べやすくするなど工夫をしています。少しでも形のある状態のものを召し上がってほしいと思っていますので」と話す。
こちらでは月に数回、「セレクト食の日」が設けられていて、2種類のメイン料理から好きな方を選ぶことができる。この日のセレクトメニューは「銀ダラ煮」と「地鶏親子煮」だった。
銀ダラ煮と地鶏親子煮の両方を試食させてもらったのだが、どちらも味付けが素材と合っていて、手間をかけているのがよく分かる。すまし汁はさっぱりとしていながら出汁がよく効いていて、手作りの温かみを感じることができた。翌週のセレクト食は、「牛肉のタタキ」か「海鮮サラダ」。2週間分の朝昼晩の献立を見ると、同じ料理は全くなく、サンマといった季節のものも取り入れられているので、毎日食事を楽しめそうだ。おいしいだけではなく、管理栄養士が栄養のバランスを考え、咀嚼・嚥下困難な場合はソフト食などにし、安全面にも配慮している。