おしゃべりやカラオケは口腔ケアに効果的だった!唾液の分泌量を増やす生活習慣5選
40代になると唾液の分泌量が減り始め、放っておくと虫歯リスクや口臭悪化、免疫力の低下など単なる「口の乾き」に留まらない深刻な連鎖を引き起こす可能性がある。唾液力を取り戻すための生活習慣を専門家に教えてもらった。
教えてくれた人
照山裕子さん/歯科医・BLOOM ORAL CARE Tokyo院長・歯学博士。著書に『“食べる力”を落とさない! 新しい「歯」のトリセツ』(日経BP)など。
槻木(つきのき)恵一さん/神奈川歯科大学副学長。著書に『脳卒中・がん・肌の老化予防から、誤えん性肺炎まで 唾液サラネバ健康法』(主婦と生活社)がある。
唾液の分泌量が減ると虫歯や歯周病、感染症のリスクが増加
「私たちの体を守るために、唾液は重要な役割を果たしています」と、歯学博士の照山裕子さんは説明する。
「唾液には口の中の食べかすを洗い流す自浄作用があり、口腔内を清潔に保っています。虫歯や歯周病から歯を守るのも唾液の自浄作用によるものです」(照山さん)
さらに「唾液にはさまざまな抗菌物質が含まれている」と神奈川歯科大学副学長の槻木恵一さんが続ける。
「唾液に含まれる抗菌物質のIgA(分泌型IgA抗体)やリゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンなどは、細菌の増殖を抑えるだけでなく、虫歯や歯周病予防に加えて誤嚥性(ごえん)肺炎や風邪、インフルエンザなどの感染防御に関与しています。特に含有量が最も多いIgAは腸内環境とも深く関係しています」(槻木さん・以下同)
つまり唾液の分泌量が減ると抗菌物質の働きが弱まり、虫歯や歯周病、感染症などのリスクが高まる。
「健康な成人の場合、1日1〜1.5Lの唾液が分泌されています。加齢やストレス、食生活の乱れなどで唾液量が減ると抗菌物質も減少し、さまざまな健康リスクが発生します。その中で最も怖いのが歯周病で、生活習慣病や一部の全身疾患との関連が指摘されています」
理想的な唾液を分泌するためには、何が必要か。
「食べ物をよく噛むことで唾液が出て、口を動かすことで脳への刺激につながります」
生活習慣や食生活の乱れ、ストレスに加え、人との交流が減ることによる孤立も、唾液の分泌量に影響を与えるという。
唾液を増やすための生活習慣5選
生活習慣の改善で唾液量を増やして口内環境を若返らせ、腸も脳もイキイキさせよう!
【1】正しい歯の磨き方
よい唾液をキープするためには、唾液の分泌だけでなく、口腔内の環境をよくする必要もあると、照山さんは言う。
「歯の汚れから雑菌が繁殖するので、朝と夜の2回しっかりと歯を磨くこと。歯ブラシはペンと同じ持ち方をして、ブラシを小刻みに動かして歯を1本1本ていねいに磨いてください。ただし、歯ブラシだけでは歯の汚れの6〜7割しか落とせないので、フロスや歯間ブラシを使うこと。朝は無理でも、夜は必ず使用してください。フロスや歯間ブラシは歯ブラシで磨く前に使用することで、汚れが落ちやすくなり、効果的です」(照山さん)
<正しいフロスの使い方>
【1】両手の中指にフロスを2〜3回巻きつけ、人差し指を立ててフロスを10〜15cmほど伸ばす。
【2】上の奥歯のすき間からフロスを通す。歯にフロスを沿わせ、上下に動かしながら汚れをとる。
【3】上の歯が終わったら、下の歯に移動。フロスの使用箇所は指に巻きつけ、未使用部分で行う。
【2】唾液を促す食べ物
唾液の量を増やすために、「噛み応えのある食べ物を食べてほしい」と照山さんはすすめる。
「咀嚼(そしゃく)することで唾液の分泌量を増やせます。ごぼうやれんこんなど、よく噛まないと食べられない根菜類を意識して食べましょう」(照山さん)
根菜類は食物繊維が豊富で、質のよい唾液の生成にも効果が期待される。
「食物繊維には腸管を刺激して唾液中のIgAを増やす作用があるとされています。また海藻類に含まれるβグルカンもIgAの分泌を促すことがわかっています」(槻木さん)
【3】水分補給をする
25℃を超える日も増えたが、体が脱水状態になると、唾液も枯渇しカラカラに。
「適切な唾液量をキープするためには、こまめに水分補給をすることです。特に汗をかく時期には、1日に水を1〜1.5Lは飲みましょう」(照山さん)
質のよい唾液を保つために、水に加えて、緑茶を飲むこともおすすめだ。
「緑茶に含まれるエピガロカテキンはIgAを増やす働きが期待されています。エピガロカテキンは熱いお湯ではなく、低温で抽出するとよく出るので、手軽なのは水出し。夏場はパックに入れた茶葉を水出しして飲むといいでしょう」(槻木さん)
【4】口を動かす
口の周りの筋肉を動かすと唾液の分泌もよくなる。
「口の中が乾いたと感じたら、ひと口以上水を飲み、口を大きく動かしながら『あいうえお』と発声するといいですね。それ以外にも、歌を歌う、おしゃべりをするなど、口を動かすことならどんなことでもOKです。
歌うことはストレス発散になり、唾液の分泌を促すよい効果をもたらします。鼻歌ではなく、口を動かして歌うと唾液も多く出て、口の周りの筋肉のリフトアップにもつながり一石二鳥です」(照山さん)
【5】ガムを噛む
リラックスすることで唾液の分泌が促される。
「最も手っ取り早いのはガムを噛むことです。ガムを噛むことによって気分転換やリラックスにつながるとされています。
また、よく噛むことで唾液の分泌量も増えるので、イライラしたときや気分を変えたいときなどに、10分程度ガムを噛んでみてください」(槻木さん)
取材・文/廉屋友美乃 イラスト/坂木浩子(ポルカ)
※女性セブン2026年5月7日・14日号
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