自宅で最期を迎えるということ|疑問と不安を名医に直撃
小林麻央さんが最期に選んだ在宅医療。ブログには自宅で家族と過ごす喜びと大変さが綴られたが、それはどんなものなのか。新著『なんとめでたいご臨終』で「自宅だからこそ」の奇跡と笑顔のエピソードを明かした日本在宅ホスピス協会会長の小笠原文雄医師が、あなたの疑問・不安に答えます。
あなたの疑問・不安、在宅医療の名医が答えます!
Q:母親は現在、末期がんで入院しています。早く自宅に戻りたいと言い募りますが、病院の先生に伝えると、難しいという返事です。どうしたらいいでしょうか?
A:緊急退院できます。
ぼくは、いつ死んでもおかしくない状態の末期がんの患者さんが、家に帰ることを希望した時は、1日でも早く家に帰れるよう、在宅医が責任をもつ形で「緊急退院」させることがよくあります。
まずはTHP(トータルヘルスプランナー)や在宅医、訪問看護師などと相談し、家で支える体制を整えてください。家に帰ると持ち直して元気になることもあります。仮に帰りのタクシーで亡くなったとしても、ご本人は「家に帰れる」という希望のなかで旅立ったので、それはそれで希望死ではないでしょうか。
Q:どうやって在宅医を探せばいいですか? 小笠原先生のような在宅医療の名医が近所にいればいいですが、うちの近くにはいなさそうで不安です。あきらめるしかありませんか?
A:日本在宅ホスピス協会のサイト(http://n-hha.com/)をご覧ください。
日本在宅ホスピス協会のサイトでは、全国の医療機関にいるTHPの認定施設・認定者のリストがあるので、まずはTHPにご相談ください。また、「末期がんの方の在宅ケアデータベース」では在宅医療を行っている多くの医療機関の取り組みがわかるので参考になると思います。もし、近所に在宅医が見つからなくても、THPや在宅医、訪問看護師に問い合わせてみれば、近所の在宅医を紹介してもらえると思います。
『なんとめでたいご臨終』でも紹介したように、これからは遠隔診療が普及していくはずなので、近所に在宅医がいなくても誰でも在宅ホスピス緩和ケアが受けられる世の中になると思います。最期まで自宅にいたいという願いが叶い、自宅で死を迎えられるようになるでしょう。
人には必ず死が訪れます。どうせ死ぬなら、笑って死にたい。遺された人の役に立って旅立ちたい。そんな“死ねる喜び”を感じられたなら、幸せの極みだと思います。
※女性セブン2017年7月27日号