末期がんや神経難病などで在宅や病院での生活が難しい人が安心して暮らせる『ホスピス住宅 ビーズの家 伊都の杜』が開設【福岡県糸島市】
末期がんや神経難病などで在宅や病院での生活が難しい人が、人生の最終段階まで安心してその人らしく過ごせる住宅型施設「ホスピス住宅」。高齢者が望む安心感と自由度の高さが揃っている住宅型有料老人ホームとは?
都心部や空港にアクセスが良く、海も山もある福岡県糸島市にホスピス住宅が誕生
ホスピス住宅とは、主に末期がんや神経難病で、ご自宅や病院での暮らしに不便や心配のある方が、日常の延長として住まうことを選ぶことができ人生の最後まで、その人らしく安心して過ごせる住宅型施設だ。
2025年3月に福岡県糸島市にオープンしたのが『ホスピス住宅 ビーズの家 伊都の杜』。
運営母体は福岡県福岡市に拠点を置くbeads。「一人ひとりが自分らしい人生の最終段階を選択できる未来をつくる」というビジョンを掲げ、地域や多くの人々に安心できる場所を提供している。
糸島市にホスピス住宅が誕生した背景や、施設の魅力に迫った。
人口が増えている地域でも高齢者の地域医療や看取りに課題
糸島は福岡空港から車で約35分、電車で約1時間と交通の利便性に優れており、海と山の豊かな自然に囲まれ、サーフィンや釣り、ハイキングなどさまざまなアクティビティが楽しめる場所として知られている。
だが、「糸島市の年齢階層別人口の推移」によると、過去10年間で総人口が約3%増加しているが、同時期に65才以上の高齢者の割合も約6%増加。地域医療や看取りに関する課題が浮き彫りになっている。
こういった課題の解決策の1つとして、『ホスピス住宅 ビーズの家 伊都の杜』が誕生。訪問看護ステーション・訪問介護ステーションを併設しており、24時間365日体制で入居者を支援する。
さらに、地域の医療機関と連携を取りながら、医療的ケアとその人らしい暮らしに焦点を当てる。看取りに対応しているのも特長だ。
居室数は30部屋。完全個室のプライバシーに配慮された空間で、快適に過ごすことができる。
ナースコールやエアコン、収納家具なども完備。思い出の物や愛用品の持ち込みも可能だ。レイアウトは好みに合わせてカスタマイズでき、バリアフリーにも配慮。
共用部には家族が利用可能なキッチンを常設。目の前で作られた家族の手料理がダイニングスペースですぐに食べられるのも魅力。
家族は24時間いつでも面会が可能で、家族が宿泊できる部屋もある。
共用スペースやカフェスペースは家族や地域住民に開放されており、地域包括ケアにつながる拠点、交流の場として活用していくという。
個浴は3か所あり、寝たままの状態でも入浴できる特浴室も備え、自力での入浴が困難な人も安心。
専用のリフトや福祉用具を有効活用する「抱え上げない、持ち上げない、引きずらない」ノーリフティングケア介護を導入。介護する側・される側両者の負担を軽減し、崩れた姿勢の影響による2次障害を予防。また、ICTを用いた見守りやケアの評価を実践している。
管理栄養士監修の元、健康状態に合わせた食事を提供し、栄養バランスのよい、作りたての食事を楽しめる。
喫煙スペースもあり、酒やタバコなど嗜好品もOK。食事、仕事、面会、外出など時間の過ごし方に制限はなく、入居者一人ひとりが自由にその人らしい日常を過ごすことができる。
入居対象者は、がんやパーキンソン病、筋委縮性側索硬化症(ALS)といった厚生労働大臣が認める疾患の人に加えて、自発呼吸が不十分で気管カニューレを使用している人、在宅緩和ケアを希望している人も申し込みが可能。
病院でも、自宅でもない、これまでのくらしの延長としての家探しをしている人にとって、ホスピス住宅は“自分らしく生きる”場所の選択肢の1つになりそうだ。
【データ】
『ホスピス住宅 ビーズの家 伊都の杜』
https://beads-hospice.jp/residences/215.html
開設予定日:2025年3月
施設タイプ:住宅型有料老人ホーム
住所:福岡県糸島市伊都の杜3-7-28
料金:敷金/7万5000円、月額/12万8000円(管理費・食費・居住費含む)
※医療費、介護費、日用品・介護用品費などは別途自己負担。
※beatsの発表したプレスリリース(2025年1月31日)を元に記事を作成
写真/beats提供 構成・文/松藤浩一
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