99才が最年長のアイドルグループ「KBG84」長寿10の秘訣
沖縄本島から遠く離れた石垣島のさらに先の小浜島(沖縄県竹富町小浜)に、海外からも注目をあびている史上最高齢のアイドルグループ『KBG84』がいる。KBGは小浜島ばあちゃん合唱団の頭文字。平均年齢は84才。“天国にいちばん近いアイドル”として、2015年に『Come on and Dance(カモナダンス)小浜島』でメジャーデビューを果たしている。
そんなKBGのメンバーは本当によく笑う。集まってはゆんたく(おしゃべり)し、盛り上がれば歌も出る。歩くときには楽しそうに手もつなぐ。みんな小さい頃から顔見知り。若い頃は石垣や台湾に働きに出ていたが、みんな故郷に帰ってきた。
小浜で生まれ育ったおばあたちが、長生きし互いを敬い、ずっと仲よくしていられる秘訣は一体何なのか。そこには10項目の“掟”があった。
1:いつ何どきでも目上を敬う
KBGの最年長は山城ハルさん(99才)。2年前に97才の長寿を祝う沖縄の行事「カジマヤー」を行い、オープンカーでパレードして、全島民から祝福を受けた。そんなハルさんが出席する会合では、自然と上座にハルさんが座る。メンバーの白保夏子さん(86才)が語る。
「これは小浜の伝統。小さい頃から親に言い聞かせられてきたので、体にしみこんでいます。1日でも先に生まれた人を敬う。例えばハルさんが来ることがわかっていたら、その席を空けておきます。突然いらっしゃったら、年齢の順に下の者が席をずれる。これができないと、ものがわからない人だと非難されます」
竹富町の“老人憲章”には「長寿を讃え、老人を愛しましょう」と書かれている。
2:行事は男、女は裏方。島のみんなで神様を崇める
小浜島は、伝統行事が今なお古式ゆかしいままに残っている数少ない島だ。神様に日頃の感謝とお願いをする行事で、特に大きなものは、お盆に観光客にも公開される結願(きつがん)祭だ。
結願祭では、その年の豊作に感謝し、翌年の五穀豊穣、無病息災を願う。2007年には国の重要無形民俗文化財に指定されている。
「島の行事は“願い”」と話すのは山城さんだ。
「行事は、神様に日頃の感謝とお願いをする大事なもの。その願いは島の自然とともにあります。暮らしの節目節目に『願い』がありますから、毎日の暮らしには手抜きが一切できません」
3:一生に一度の出会い。夫を大事にする
知念京子さん(85才)は、竹富島の出身。夫の朝甚さん(91才)とは大恋愛の末、結ばれた。
「結婚までの1年間、海人(漁師)だった夫は、結婚の許可を取るために、夕方になると船でやって来ました。当時21才でしたから、結婚の喜びよりも島を離れるのがつらかった。
長男を出産してからも竹富に帰りたくて、島が見える丘で泣いていたのです。そのときに夫はギターを持ってやって来て歌を歌ってくれました。今があるのは夫のおかげ。円満の秘訣は、常に笑い合うことでしょうか」(知念さん)
親同士が決めた結婚でも、夫を大事にするのは同じ。1年半前に亡くなった夫からは、毎日のようにラブレターをもらったというのは白保さん。
「夫は人の悪口を決して言わなかった。私も大事にしましたが、学ぶことの方が多かったです」