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99才が最年長のアイドルグループ「KBG84」長寿10の秘訣

 小浜島は離島とあって、簡易水道ができたのが1963年。それまでは天秤棒をかついで、井戸から水をくんできた。1977年、西表島からの海底水道が完成して、水道をひねると水が出るようになった。電気が通じる前までは、石油ランプで生活していた。台風がくれば5日間停電は当たり前。民放の放送開始は1993年だった。

「ないときは自分で作る」という方針を貫いてきたおばあたち。山城さんが若い頃は電気もガスもないので、みそもしょうゆも塩もすべて自分の手で作ったという。

「小浜は至るところに湧水があったので、米や麦、サトウキビや野菜も、なんでも作ることができました。小浜島は“果報(カフー)の島”といわれますが、いい運を授かっているのかもしれません。今は石垣に出れば何でも手に入りますが、それをうらやましいとは思いません」(山城さん)

 足るを知る。決して贅沢はしない、あるもので我慢するという考えが、この島には根づいている。

5:機織り、掃除、洗濯。自分でできることは何でもする

 小浜の女性たちは、行事で着用する着物を、自らの手で織る。夫、息子、孫のために、と白保さんは、この春から八重山上布を6反織った。多かれ少なかれ、多くの女性たちが機を織る。

 ひとり暮らしでは、自らの手で掃除、洗濯をしなければならないが、息子と暮らしている山城さんは、今でも家事を自らの手で行っている。

「掃除も洗濯も全部自分でやっています。芭蕉(島バナナ)も自分で採れる。ひとりでお風呂も入るし、それが健康の秘訣じゃないかな」(山城さん)

6:嫁、子供や孫を大切にする

 小浜では「お義母さんがかわいがってくれたから感謝している」「お嫁さんはかわいいわね。将来よろしく、ってお願いしていますよ」などという声があちこちから聞こえてくる。嫁姑問題などはどこ吹く風である。

「それは、島の人たちがみんな親せきだから。どの人の親がどの人で、とかみんなわかるから、決して悪口は言わない、嫁は褒めて育てるのが、普通です」(白保さん)

 子供や孫を大事にするのも当然のことという。なぜなら子供や孫は、やー(自分の家)を守っていく大事な後継者。家だけではなく、島の伝統もまた、彼らが継承しなくてはならない。

7:陰口をたたかない

 女性が30人も集まれば、トラブルの連続かと思いきや、小浜島ではさにあらず。そこにはおばあたちが心に留めているルールがあった。

「私はみんなでいるとき、あまり我慢をしませんね」

 そうキッパリ言うのは前出の白保さんだ。

「言いたいことがあるなら、さっさと言います。その代わり、言ったことを後悔しないようにしています。それに隠し事もしません。時々いばる人や悪口を言う人もいるかもしれませんが、島で隠し事をしている人はいないんです」

「小さないざこざはある」「ちょっとしたけんかはあった」──という声も聞こえてはくるが、基本的には、トラブルは当人同士の問題なので、口をはさまない、というのが暗黙のルールだ。

「ちょっとしたいさかいや、変な噂が流れているときには、注意をします。“おばあたち、吉永小百合さんが人の悪口言うか! 主演女優は陰口をたたかないでしょ”と。するとみんなピタッと黙る。そこがまた、おばあたちのかわいいところでもあるんですが」(プロデューサー・つちだきくおさん)

8:人生は80からが楽しい

 センターを務める目仲トミさん(94才)は、60才のとき夫と死別した。生活費や税金などにお金がかかるため、ホテルの従業員として働いた。客室の掃除、皿洗い…。ホテルの人手が足りないと、積極的に仕事に入った。

「お金の心配があったので、働いてないと不安だったんですよ。子供や孫、ひ孫に何もしてあげられないのもいやだった。それで、80才まで働いたんです。仕事も辞めて次に何をするかと考えてたら、合唱団のお誘いが来ました。入ってもお金はもうからないしなあ、と思っていたけど、合唱団に入ったら楽しくて、仲間ができた。それがうれしい」

 目仲さんは、KBGに入ってから、初めて東京に行った。何よりうれしかったのは東京に住む孫やひ孫と会えたこと。

「みんなとわいわいやっているのが楽しいなあ。人生のご褒美だと思いますよ」

9:やっていないことをやってみたい

 普段は小浜島の中。徒歩やシルバーカーでの移動が主で、せいぜい石垣島にフェリーで行くくらい。だからこそ、好奇心は旺盛だ。おばあたちには“面倒くさい”という気持ちが一切ない。

「ばあちゃん合唱団の外地での公演はぜひ参加したいわね。いつも同じメンバーだと話すことも一緒だから、飛行機で隣に座った人と話すだけでも楽しい」(慶田盛さん)

 目仲さんに至っては、「ニューヨークに行ってみたい」「アラスカに行きたい」と、シンガポール公演の次なる海外旅行を狙っている。

「せっかく長生きできたんだもの、みんなにみーはいゆう(ありがとう)って伝えたい」(目仲さん)

 夢は次々広がる。

10:努力は怠らない

 最高齢、山城さんの健康の秘訣は、ゲートボール。日中は30℃を超える暑い日差しの中で練習ができないため、夕方5時から練習に出掛けて汗を流す。さらにばあちゃん合唱団の踊りの演目が決まると、家で自主トレをする。つい数年前までバイクの運転をしていた知念さんは、足が弱っているからと、家の周囲を歩き回って筋力アップを図っている。

「ゆっくり踊るとよろけることがある」と話す白保さんは、ひとりでひそかに特訓も。片足立ちしたり、立ったり座ったりを繰り返すなど、練習に余念がない。みんなが口を揃えて言うのは──。

「ばあちゃん合唱団を、いつまでも続けたいから、そのためなら努力を惜しまない」

※女性セブン2017年7月27日号

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