70、80代が全国から集まる大阪の老舗ラブホテル 人気の秘密
巻髪嬢の写真が羅列されたキャバクラを通り過ぎると、パチンコ店の大音響が耳をつんざく。サラリーマンで賑わう立ち飲み居酒屋の向こうで、ドラッグストアやファストフード店に若者が吸い込まれていく。
JRと京阪電鉄、市営地下鉄が乗り入れる大阪・京橋駅周辺は、今日も「雑多」という言葉が似合う。乗降客数は1日57万人。東京の大手町より多い。
老若男女が集う駅前商店街を5分ほど歩き、1本路地裏に入ると、異様な建物が目に飛び込んできた。色の落ちた外壁にさびた円柱。ヨーロッパ調の飾り窓には釘跡が目立つ。長年の風雨で傷んだネオン管の電飾が、力を振り絞るように次の文字を浮かび上がらせる。
『HOTEL 富貴(ふき)』。“昭和遺産”とまで称される伝説のラブホテルの姿である。
70~80代高齢者が全国から集まる伝説のラブホテル
「地元じゃ知らん人おらんよ。何しろ昔のまんま。現代的なリニューアルもせんで、ずーっとやっとるから。今じゃ全国から客が来る。それも70~80代っていう高齢者がよ。理由? 中見りゃわかるよ」(地元住人)
開業して40年。昔ながらのこのホテルが今、セックスから離れて久しいシニア夫婦の癒しの場となっていた。