めざせ健康長寿!脳から筋肉への指令をよくして”しっかり動く”体になる方法
しっかり動ける健康長寿に必要なのは、筋肉だけではなかった! 花王株式会社 生物科学研究所が、ミルクに含まれる希少成分MFGM(乳脂肪球皮膜)が“動きの質”を改善することを発見。その研究説明会では“動きの質”を実感できる「歩行年齢」「動き年齢」測定も行われた。“しっかり動ける”とはどんなことか、足腰に不安を抱き始めた50代記者が体験し、切実にレポートする。
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気持ちに体がついていかない、足がもつれる…
花王ヘルスケア研究説明会『神経機能に着目した新アプローチによる「動きの質」の向上』会場内で行われた歩行・動き年齢測定会ではまず、事前レクチャーなしで2.0mのシート式圧力センサーの上を“普通に”歩かされる。
研究員さんたちがじっと見ているので、心なしか背筋を伸ばし、さっさと格好良く歩こうとつい意識。意識しすぎたのか、ただ普通に歩くだけなのに「右手と右足が一緒に出てない?」「次に前に出すのは右足? 左足?」と、頭の中は大混乱。危うく足がもつれそうになるのに耐えながら、けっこう必死で歩いた。
歩行年齢65歳! 衝撃の結果が…
結果は「歩行年齢65歳」(実年齢より10才以上の老化度)。これは花王が10年以上にわたり測定した2万人以上のデータを基に、歩幅や脚が地面についている時間などから算出したもので「敏捷性」(素早く正確に足を動かす力)、「正確性」、「筋力」、「筋持久力」、「バランス力」なども評価。記者の結果は歩行速度やピッチ(足を振り出す速さ)でも標準値より遅く、頭が混乱して足がうまく動けなかったことが見事に数値に現れていた。また、いつも重いバッグを右肩ばかりにかけているせいか、「右脚が軸となり、右側へ寄って行ってしまう歩き方です」と、バランスの悪さも指摘された。
次にイスに腰かけた状態で足踏みをする「10秒足踏みテスト」。「10秒間にできるだけ多く」といわれ、足踏みというよりその場で駆け足をする感じ。これもまた必死でがんばったが、今度は意外にスムーズ。「もっと速く! もっと速く!」という気持ちに足が応えてくれいる感じが、内心とても嬉しかった。
続けてイスに腰かけた状態で、足を左右に開閉する「20秒開閉テスト」。「20秒間にできるだけ多く」といわれ、張り切ってスタート。ところがここでまた大混乱。足を横に30cmほど開いて閉じるを繰り返すだけなのだが、2回に1回は足が上下に動いてしまう。頭ではスピーディーに開閉する自分の姿をイメージしているのに足が勝手に違う動きを! 体をコントロールできずにアタフタする自分が恥ずかしくて「キャ~」っと小さな悲鳴を上げると、ちょうど隣で同じ測定をしていた40代と思しき女性も、同じように悲鳴を上げていた。
結果、「動き年齢」の10秒足踏みテストでは実年齢より1ランク若い「40代」! 20秒開閉テストでは年齢相応の「50代」。もともと足腰の筋力には自信はなかったものの、これは年齢相応の衰え具合なのだと少々虚しい納得。
加齢で脳の指令が筋肉に伝わりにくくなる!?
研究説明会に登壇した花王 生物科学研究所・太田宣康さんによると、記者が体験したような“混乱”は、脳からの指令が筋肉にうまく伝わらず、まさに体が気持ちについて来ないことによるものだという。
「人が体を動かすとき、すべて脳からの指令があり、指令が運動神経を通じて筋肉に伝わることで初めて動きます。そして加齢により衰えるのは筋肉だけではなく、この神経から筋肉への“伝わり”も悪くなるのです。脳の指令が筋肉にうまく伝わらないと、動かすだけの筋肉があっても体はついてきません。本人は思うように体が動かないと感じると単に筋肉の衰えと思いがちですが、実は運動神経からの“伝わり”も重要です」(太田さん)
運動神経といえば、たとえば不意に飛んできたボールをサッと動いてキャッチできず、尻もちをついてしまうような人を“運動神経が悪い”などという。つまり素早く正確に体を動かす能力“敏捷性”が、運動神経の伝わり具合を示すひとつの目安になる。
筋肉はあっても、神経からの伝わりが悪いと体が動かない
「当社が行う「現代日本人の体力横断研究」の臨床試験でも、筋量や筋肉の機能は加齢にともない緩やかに低下するのに対し、敏捷性は中高年以降、急激に低下するという結果が出ています。敏捷性が失われることで、特に高齢者などはつまずきや転倒のリスクも高まります。健康長寿をめざすためにも、筋力を鍛えることとともに神経から筋肉への伝わりにも注目してケアしていただきたいですね」(太田さん)
神経から筋肉への伝わりをケアする成分って?