「笑って、健康」の実証データが続々!日常に笑いを取り入れる3つの方法
笑いのカギは日常・筋肉・自虐にアリ!
佐藤さんがこの実験をしようと思い立ったのは、2015年国勢調査の結果を知って、日本の将来を不安に感じたからだった。
「2015年10月1日時点で、75才以上の後期高齢者の人口が、初めて14才以下の子供を上回りました。今はもっと増えているでしょう。
もともと、子供は笑うから幼稚園や保育園は活気があるけれど、老人ホームの高齢者は笑わないといわれています。高齢者が多い時代なのに、その人たちが笑わなかったら、世の中が真っ暗になってしまいます」
だけど、私たちの周りには、桑原師匠のように、周囲にいつも面白い話をしてくれる仲間がいるわけではない。テレビを見て笑おうとしても、内容についていけないことだってある。
「佐藤愛子さんも『九十歳。何がめでたい』(小学館)で書いていらっしゃったけれど、年を取るとバラエティー番組を見ても笑いにくくなる。早口の漫才は聞き取りづらいし、最近の話題についていけない。どこがおかしいか、わからないんですよ」(佐藤さん)
実際“笑わせる側”の吉田も、世代間での笑いのツボの違いを肌で感じている。
「若いお客さんなら早いテンポについてこられますが、年配のお客さんを意識して多少ゆっくりしゃべるときもあります。ただ、『乳首ドリル』のネタに関しては、年配用にゆっくりしゃべることができないから、笑ってもらえるまでやり続けたこともありました。
若いお客さんは、棒を乳首に押しつけていることに笑っているんですが、年配のかたになると、同じことをいつまでもやっていることで笑うんです。あまりにもしつこくやるから桑原師匠に“お前、いつまでやっとんねん!”って怒られたり…(笑い)」
日常に笑いを取り入れる3つの提案
では、私たちが日常にどうやって笑いを取り入れるか。前出の佐藤さんが提案するのは3つ。
「まず、今までと同じものの中に新しいものを探すこと。大人になるとあらゆる経験が2回目になりますが、“この人の名字、よく考えたら面白い”とか新たな発見を日々探すこと。
2つ目は、表情筋を意識することです。顔の表情筋は意識しないとたるんできます。恥ずかしくても真面目に、鏡の前で筋トレをしてほしい。そんな自分に、だんだん笑えてくるはずです。
3つ目は、軽い自虐ネタを笑顔で話すこと。例えば“やかんのふたと間違えてきゅうすのふたを使ったから、ふたがやかんの中に落ちちゃった”とか、そういう失敗を笑顔で言って、自分から笑う。そうすれば、相手もつられて笑い出します」
吉田も、「笑いは日常で作れる」と言う。
「いろんなことに興味を持つことで面白さって生まれて来ると思う。いつも電話が鳴って2コールで出るところを3コール目まで待って電話が切れたら、“切れんのかい!”って自分でツッこむとか、わざと夕飯を2回出してみるとか。あまりやりすぎて周囲に心配されても困るけれど(笑い)。日常の生活に変化を加えることによって、楽しさが生まれてくると思います」
笑う門には福だけでなく、人も集まって来る。
「笑いは生命力の源。人間は生きたいという生理的欲求があるから、笑っている人のもとに集まって来る。
また、ミラー現象といって、相手が怖い顔をしていると反射神経が働いて、同じように怖い顔になります。逆に、笑っている人の顔を見ると同じように笑顔になるんです」(佐藤さん)
日々、笑いに包まれる環境に身を置く吉田も、笑いの連鎖を実感している。
「舞台に来てくださるお客さんの笑いの種類もいろいろあるんですよ。おじいちゃん、おばあちゃんは、ネタを見て大声で笑うのとは違って、愛情を感じる奥深い笑顔を浮かべていることがあります。一緒に来ている孫が笑っている姿を見て、幸せな笑みを浮かべている。そんな光景を見ると、ぼくもうれしくなります」(吉田)
まずは表情筋をキュッと上げて、笑顔で外に出てみよう。
※女性セブン2017年3月16日号