《介護士に転身》岩佐真悠子が語る“トリプルケア”のリアル 仕事・育児をしながら96歳の義祖母と同居して介護 プロだから言える「家での介護は“雑”でも気にしない」
元タレント・俳優で現在は介護士として働く岩佐真悠子さん(39歳)。自身の仕事と子育てに加えて、96歳になる義理の祖母の介護という“トリプルケア”の真っただ中にいる。近所に住む義理の両親と協力しながら家族を支えている岩佐さん。多忙を極める毎日を乗り切るためのコツや、外部サービスとの上手な付き合い方、そして自身の心を守るためのリフレッシュ法について聞いた。【全3回の第3回】
仕事、育児、義祖母の介護。息つく暇もない怒涛のタイムスケジュール
――現在、仕事と育児、そして96歳の認知症の義祖母様の介護というトリプルケアを抱えていらっしゃいます。1日の標準的なタイムスケジュールを教えていただけますか。
岩佐さん:朝は大体6時に起きて、食洗機の中身を片付けたりしながら朝食の準備をします。それから子どもとおばあちゃんを起こして、それぞれ着替えのサポートをします。同じマンションの違うフロアに義理の両親が住んでいるので、そちらへおばあちゃんを送り出してから、子どもに朝ご飯を食べさせて、8時くらいに家を出ます。自転車で保育園に行き、そのまま仕事先のデイサービスに向かいます。
夕方5時半まで働き、即座に保育園へお迎えに行きます。そこからはもう時間との戦いで、騒ぐ子どもをなだめながら買い物を10分で済ませて帰宅します。夕食を作って7時過ぎに食事を済ませたら、子どもをお風呂に入れて、夜10時前には寝かせます。息つく暇もないですね(笑い)。
――義祖母様の介護は、ご主人の両親とどのように協力しているのでしょうか。
岩佐さん:たいていは義母が、おばあちゃんの夕飯を作って私たちの家に持ってきてくれます。夫が仕事で遅い日は、お母さんがそのままうちに残って、私とおしゃべりしながらおばあちゃんの食事の介助をしてくれます。夫がいるときは夫に任せることもありますね。
おばあちゃんは20年ほど認知症を患っているのですが、自分で動けるので、「ばあちゃん、ご飯食べよう」と口頭でうながせば自分で食べてくれます。そんなふうに声をかけながら、私たちも一緒に食事をしています。
そもそも私たちが同居する前はおばあちゃんはひとり暮らしで、義母が通いでおばあちゃんの面倒をみていたんです。おばあちゃんがひとりでいる時間が長いと不安だろうということで、私たち家族がおばあちゃんの家で一緒に住むことになりました。家賃がかかっていないので、マイホーム資金を貯めつつ、「子どもが小学校に入学するまで」と期間を決めています。そうしないと、ズルズル続いてしまいますからね。
家での介護は「雑でいい」。プロだからこそわかる「手抜き」の重要性
――岩佐さんは施設でプロとして介護のお仕事をされていますが、仕事での介護と、ご家庭での介護で、向き合い方やケアの仕方に違いはありますか。
岩佐さん:家での介護は雑になりますね(笑い)。「ま、いっか」みたいな感じで、かなり気を抜いています。例えば、歯磨きをしないまま寝ちゃったとか、ご飯をあまり食べられなかったとか、そういうときもあまり気にしません。特に義母は「ご飯をしっかり食べさせなきゃ」と頑張りすぎてしまうところがあるので、「おばあちゃんはほとんど寝ているだけだから、そんなに食べさせなくていいですよ」「もっと気を抜いていいですよ」と伝えています。
現場で覚えた知識や経験を家庭に持ち込むのは嫌がられるかなとも思ったのですが、やはりプロの言うこととして聞いてくれるので、家族も信用して安心してくれるみたいです。おばあちゃんもデイサービスに行っていますが、施設の方が家族に対して細かく説明してくれるわけではないので、そういうときに「おばあちゃんの今の状態なら、これで十分かもしれないですね」と伝えると、「そっか、もっと気楽でいいんだ」と喜んでもらえます。そういう意味では、一緒に住むようになって良かったなと思います。
――仕事、家事、育児、介護と忙しい日々の中、精神的なゆとりを保つためのリフレッシュ方法はありますか。
岩佐さん:居間で好きな音楽を大音量で流して、ストレスを発散しています。おばあちゃんは耳が遠いので、大音量でも気にしません(笑い)。それと最近、また読書する時間をとれるようになってきたんです。自分の時間を作るには寝る時間を削るしかないのですが、子どもを寝かしつけたあと、お酒を飲みながら本を読むのが今の楽しみですね。
ジャンルは推理小説やハードボイルド系が好きで、純愛ものは少し苦手です。最近だと、遅ればせながら『国宝』を読みました。映画は見ていないんですけど、小説はすごくおもしろかったです。
デイサービスで弾ける笑顔。罪悪感を手放し、外部サービスを頼るべき理由
――外部の介護サービスを利用することに対して、割り切りや工夫されていることはありますか?
岩佐さん:うちのおばあちゃんも週5日でデイサービスに行っているんです。家だとあまりしゃべらなくて、聞かれたことに対して答えるだけという感じです。でもあるとき、私が子どもとお昼寝をしていて、うっかり夕方まで寝てしまったことがあったんです。ちょうどおばあちゃんがデイサービスから帰ってきた時間で、外からすごい楽しそうな声が聞こえてきて、「じゃあ〇〇さん、また来てね!」なんて言っていて。あんなに明るいおばあちゃんの姿を見るのは初めてでした。
家族を施設に預けることに対して、申し訳なく思ったり、罪悪感を抱いたりする方も多いと思いますが、意外と本人は楽しんでいることもあるんです。もし仮にそうじゃなかったとしても、将来、自分が年を重ねて何もわからなくなったり、できなくなったりしたときに、家の中で家族に疎まれて過ごすよりは外に出た方が絶対にいいと、私は思っています。デイサービスに行けば、ありのままを受け入れてくれるプロの人たちがいるわけですから。だから、使えるサービスはどんどん使ったらいいと思っています。
介護をされている方は、毎日のことで本当に疲れると思います。大変なことばかりですが、大抵のことは「ま、いっか」と笑い飛ばしてしまえという気持ちで、お互い頑張りすぎずにやっていきましょう!
◆元俳優、介護福祉士・岩佐真悠子
いわさ・まゆこ/1987年2月24日、東京都生まれ。2003年、16歳で『ミスマガジン』に選出され、タレント・俳優としてドラマや映画、舞台で活躍。2020年に芸能界を引退し、未経験から介護の世界へ転身。2026年、介護福祉士の国家資格を取得。介護タレントの西田美歩とともに「介護士★西田岩佐」として介護の魅力や情報を発信する活動も行っている。
撮影/黒石あみ 取材・文/小山内麗香
