《サルコペニア防止に》普段のウォーキングを体力低下を食い止める歩き方に変える! 筋肉と心肺機能を鍛える「30秒早歩き」と「30秒大股歩き」
いつまでも自分の足で歩きたい…。そのために防ぎたいのが「サルコペニア」。筋肉量の減少に伴って筋力や身体機能が低下している状態で、転倒や骨折を起こしやすくなり、悪化すると歩くことすらできなくなっていく。さらにサルコペニアが進行すると、心も衰えた「フレイル」の状態にもなりかねない。そこで、『疲れない、回復できる、速く・長く歩ける 体力低下を食い止める30秒習慣』(アスコム)を上梓した、整形外科専門医の吉原潔さんに、自分の足で歩き続けるためにとり入れるべき「30秒習慣」を詳しく教えてもらった。
青信号で渡り切れないなら危険信号
青信号の時間は「1mにつき1秒」という歩行速度に合わせて設定されている。そのため、青信号になってすぐ横断歩道を渡り始めたのに、青信号で渡り切るのがつらい、すぐに赤信号に変わってしまうなどと感じる場合、すでに歩く速度は遅くなっており、体力や身体機能に危険信号が灯っている可能性がある。
「横断歩道は、今のあなたの体力を推し量れる最高のバロメーターです。国は自立した生活を送るためには、1mにつき1秒の速度で歩ける体力が最低限必要と考えているということです(高齢者や、子どもが多く利用する場所については、多少の猶予時間が設けられています)」
歩行速度と体力は比例する
歩く速度が遅いくらいなら大丈夫、と考える場合もあるかもしれないが、「実は、『歩行速度と体力は比例する』という研究報告がたくさんあります」と吉原さん。歩く速度が遅くなるにつれて、生きるための体力も衰えていくのだという。
「『歩けなくなるから体力が落ちる→体力が落ちるからさらに歩けなくなる』という負の連鎖が止まらなくなってしまうからです。横断歩道での歩行速度を体力の衰えの指針にしながら、足がもつれるようなことはなかったか、息切れはしなかったかなど、体の状態をチェックしながら歩いてみるのもおすすめです」
歩くために大切な「大腰筋」と「心肺機能」
歩行速度を維持するために、2つのことを意識するのが大切だ。1つは、すり足を防ぎ、しっかりと足を持ち上げながら歩けるよう大腰筋(だいようきん)を鍛えること。大腰筋が鍛えられると、姿勢が改善され、見た目が若々しくなるというメリットもある。
もう1つが、息切れせず歩けるよう心肺機能を鍛えることだ。
「心肺機能の衰えを食い止め、強化するには、心臓の鼓動が速くなるような状態を1日1回はつくるのが有効です」
大腰筋と心肺機能を鍛える「30秒早歩き」と「30秒大股歩き」
歩行速度維持のために吉原さんがすすめている30秒習慣が、「30秒早歩き」と「30秒大股歩き」だ。少し息が上がるくらいの早歩きといつもよりももを動かす大股歩きを組み合わせることで、普段のウォーキングも体力低下を食い止める歩き方に変わる。
《30秒早歩きと30秒大股歩きのやり方》
【1】背すじを伸ばして、まっすぐ前を見ていつも通りのウォーキングをする。
【2】30秒間、少し息が上がる程度の早歩きをする。このとき、小股になると転びやすいため、歩幅は変えずにスピードだけ速くする。
【3】30秒経ったら再び背すじを伸ばし、いつものウォーキングをする。
【4】30秒間、大股で歩く。
「全体のウォーキングの時間は、15~20分で十分です。その間に、早歩きと大股歩きと、30秒間ずつ行います。1回ずつでもいいですし、くり返してもかまいません」
足の骨を強くするなら「その場ジャンプ」
余裕がある場合に、ウォーキングの途中で行いたいのが「その場ジャンプ」だ。なわとびを行うくらいの感覚で、10回程度、軽くぴょんぴょんとジャンプするもので、骨に刺激を与えて骨を強くする効果がある。筋肉を支える骨が強くなれば、歩くときの蹴る力が増し、蹴る力が増えれば歩くスピードも向上する。
「中高年以降は、骨密度の低下も気になるところ。その場ジャンプをして骨を強くしていきましょう。ウォーキングとセットで行うようにすると、習慣化しやすいです」
教えてくれた人
吉原潔さん/整形外科専門医
よしはら・きよし。整形外科専門医、フィットネストレーナー、医学博士、アレックス脊椎クリニック名誉院長、日本整形外科学会専門医、日整会内視鏡下手術・技術認定医、日本スポーツ協会公認スポーツドクター、全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会(NESTA)公認パーソナルフィットネストレーナー、食生活アドバイザー。運動療法や筋力トレーニングにも精通した医師として、多角的な診療に定評がある。著書に『ドクターズスクワット 医者が考案した「30秒で運動不足を解消する方法」』(アスコム)など。
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