整形外科医が教える、ひざを痛めない歩き方と簡単トレーニング「階段の下りは要注意」
人生100年時代、健康長寿のカギを握るのがひざだ。ひざは年齢とともに衰えやすく、満足に歩けなくなれば生活の質は一気に下がる。だが、長年高齢者の足腰に向き合ってきた整形外科のスペシャリストは「何才になっても自分の力で歩くことはできる」と断言する。「100年足腰」をつくる簡単メソッドを名医が伝授する。
教えてくれた人
戸田佳孝さん/整形外科医・戸田整形外科リウマチ科クリニック院長。著書に『ひざ痛を自力で治す』(大洋図書)、『100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方』(アルファポリス)など多数
歩く習慣は認知症の予防につながる
高齢になっても自分の足で歩き続けられることは、健康長寿のための重要なテーマだ。
「歩くことで脳への血流も改善し、認知症の原因物質が減少します。また、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの分泌が活性化し、ストレス解消や気分転換になるため、うつ病の予防効果も期待できます。
逆に足腰が弱ると引きこもりがちになり、社会との接点が減って認知症リスクが上がることがわかっています。100才まで元気に過ごすためには、“歩き続けること” “歩くのを習慣にすること”が非常に重要なのです」
そう話すのは、整形外科医で戸田整形外科リウマチ科クリニック院長の戸田佳孝さん。『ひざ痛を自力で治す』(大洋図書)、『100歳まで自分の力で歩ける「ひざ」のつくり方』(アルファポリス)など多数の著書を持つ足腰治療のスペシャリストで、著書累計は50万部を超える。
整形外科医として40年以上にわたって「手術に頼らない治療法」を提唱し続けてきた戸田さんが「自力歩行で最も重要な部位」と話すのが「ひざ」である。
「正常なひざは大腿骨(太股の骨)と脛骨(すねの骨)の間に軟骨があり、クッションの役割をする半月板がぴったりはまっています。しかし加齢とともに軟骨がすり減ると、半月板が損傷してしまう。さらに半月板の破片が横へ押し出されると、ひざの側面にある靱帯を通る神経が圧迫され、痛みが出始めます。これが高齢者に多く見られる変形性ひざ関節症で、症状が進行すると歩くことが困難になります」(戸田医師。以下「」内は同じ)
変形性ひざ関節症を防ぐ「ひざを守る正しい歩き方」
変形性ひざ関節症を予防するには、まず「ひざを守る正しい歩き方」を身につけることが大切だ。
「基本はひざをしっかり伸ばし、かかとから着地すること。着地のときにひざが伸びていれば、地面からの衝撃が股関節や骨盤に分散し、ひざの負担が大幅に軽減されます。顎を引いて顔を正面に向け、背筋を伸ばし、腕は体と平行に前後に振る。歩幅は大きめにするのが理想です」
かかとが地面に着く時には、ひざが若干外向きになるように意識して歩くこともポイントのひとつ。
「正常なひざの場合、歩行中にひざが一番伸びた時に脛骨が少し外側に回転します。これによりひざが横揺れせず、地面からの衝撃を股関節にも分散させて歩くことができるのです」
ひざを守る正しい歩き方
戸田医師は【5】の「着地の時はひざをやや外向きにすることが大切です」と解説する。
<歩くときのポイント>
着地の時にひざが伸びていれば、地面の衝撃が股関節や骨盤に分散し、ひざの負担が大幅に軽減される。
【1】顔を正面に向ける。
【2】体と平行に腕を前後に振る。
【3】かかとから着地する
【4】着地の時にひざをのばす。
【5】着地の時はひざをやや外向きにする。
【要チェック】靴底がすり減った靴はNG
かかとがすり減った靴は歩行が不安定になり、着地で衝撃が加わるたびに体が揺れてしまう。
階段の下りはひざを痛める“鬼門”
また、「足腰の運動になるから」とできるだけ階段を使おうとする人もいるが、「特に階段の下りはひざを痛める“鬼門”です」と戸田医師は注意を促す。
「歩いている時のひざへの負担は体重の2~3倍、階段を下りる時には5~6倍に跳ね上がります。特にひざに痛みがある人は、無理せずエスカレーターやエレベーターを使ってください。階段を避けられない場合は、下りの時にまず痛みのある足を下の段に乗せ、次に反対側の足を乗せていったん両足を揃える。それから次の段に痛みがある足を乗せるのがコツです」
ひざに優しい階段上り下りのコツ
戸田医師直伝!「1段2足」の上り方
痛みがない足を階段に乗せる。次に反対側の痛みがある足を乗せ、両足を揃えてから次の段に上る。これを繰り返す。
<階段を上る時のポイント>
はじめの1歩は痛みや違和感のない足から。
戸田医師直伝!「1段2足」の下り方
痛みがある足を階段に乗せる。次に反対側の痛みがない足を乗せ、両足を揃えてから次の段に下りる。これを繰り返す。
<階段を下る時のポイント>
はじめの1歩は痛みや違和感のある足から。
