《ブロッコリー》4月から指定野菜へ!たんぱく質豊富で高齢者におすすめだが「食べてはいけない人も」理由を管理栄養士が解説
2026年4月1日からブロッコリーが国の「指定野菜」になった。「筋肉の素になるたんぱく質が豊富で高齢者にはおすすめの野菜です」と、介護施設などで栄養相談を行っている管理栄養士の川鍋仁美さん。しかし特定の薬を服用している場合など「食べてはいけない人」もいるという。ブロッコリーの栄養素や食べる際の注意点を解説いただいた。
教えてくれた人/管理栄養士・川鍋仁美さん
管理栄養士。2児の母。大学卒業後、総合病院に勤務。介護食・嚥下食などの献立作成や栄養相談など行ってきた経験を活かし、現在はデイサービスで高齢者の栄養サポートなどを行う。介護する人もされる人も笑顔になれる「介護食作り」を目指し、活動中。「管理栄養士が伝授!いちばんやさしい介護食ガイド」の運営・執筆も手がける。https://eiyousupport.com/
ブロッコリーが52年ぶり「指定野菜」の仲間入り
「指定野菜」とは、年間を通して消費量が多い野菜に限って安定して供給できるよう国が生産や流通を支える仕組みを整えている野菜のことです。指定野菜になると、価格が大きく変動することが少なくなるので私たちの食卓にも安定して届けられるようになります。
指定野菜には、これまでキャベツや大根、玉ねぎ、じゃがいもなどがありましたが、2026年4月から約52年ぶりにブロッコリーが加わりました。
ブロッコリーが選ばれた理由
ブロッコリーが指定野菜になった背景にはいくつか理由があります。
まずは、栄養価の高さです。ブロッコリーは野菜の中でもビタミンCや食物繊維、たんぱく質が豊富で、少量でも効率よく栄養が摂れる野菜です。
加熱調理すればそのまま食べられるので日常的に取り入れる人が増えてきています。また、家庭での利用だけでなく冷凍食品やお惣菜、外食食品にも幅広く使われているので年間を通して安定した需要があります。
こうした需要の増加を受けて、全国的に栽培も広がり生産面でも安定供給が見込める野菜として判断されたことで、指定野菜に加えられました。
指定野菜となったブロッコリーですが、生産・流通が整い価格も安定してくれば今後はこれまで以上に手に取りやすくなり、家庭や介護の現場でも活用しやすくなることが期待されています。
ブロッコリーは高齢者におすすめの野菜
ブロッコリーは栄養価が高い野菜いとして知られていますが、高齢者におすすめのポイントがたくさんあります。
ビタミンCが豊富「免疫力の低下を防ぐ」
ビタミンCは免疫力の維持に関わる栄養素で風邪の予防など体調管理に不可欠です。高齢者は加齢とともに免疫力が低下して、身体の抵抗力が落ちやすいので日々の食事で継続的に補いたい栄養です。
食物繊維が豊富「水溶性・不溶性」
食物繊維には水溶性食物繊維と不溶性食物繊維があります。ブロッコリーには特に不溶性食物繊維が多く含まれています。不溶性食物繊維は腸内環境を整える働きがあり、水に溶けずに水分を吸って腸の中で膨らみ、排便をスムーズにしてくれるので、便秘になりやすい高齢者にとっては心強い存在です。
たんぱく質が豊富「筋力の維持に」
筋力の維持には欠かせない「たんぱく質」が含まれています。肉や魚ほど多くはありませんが、野菜の中では比較的多いので、食事量が減りがちな高齢者にとっては少量でも効率よく栄養を補う助けになります。
ブロッコリーに豊富な「たんぱく質」ほかの野菜と比べると?
ブロッコリーはほうれん草やキャベツなど他の指定野菜に比べてたんぱく質を多く含んでいます。特につぼみの部分(100g)のたんぱく質は5g以上と豊富です。
指定野菜100gあたりのたんぱく質
・ブロッコリー(つぼみ部分)…5.4g
・ほうれん草…2.2g
・じゃがいも…1.8g
・にんじん…1.8g
豆腐や牛乳と比べると?
・ブロッコリー…5.4g
・豆腐…7.0g
・牛乳…3.3g
たんぱく質のほか、抗酸化作用のある成分も含まれているので、細胞の酸化を抑えながら老化のスピードを緩める助けになります。
介護食や高齢者にブロッコリーがおすすめの理由
ブロッコリーにはさまざまなメリットがあります。
少量でも豊富な栄養がと摂れる
高齢者は食事量が減りやすく、1回の食事で十分な量を食べるのが難しい場合もあります。ブロッコリーなら、ビタミンや食物繊維、たんぱく質など栄養豊富です。少量でも効率よくいろいろな栄養素を補給できます。
いろいろな形にしやすく調理法が多彩
ブロッコリーは柔らかく茹でてそのまま食べるだけでなく、細かく刻む、ペースト状にするなど食べる人の噛む・飲み込む力に合わせて形態を変えやすい野菜です。包丁で簡単に刻むこともでき、ミキサー食やソフト食にも活用できます。アレンジしやすいので介護食にも利用しやすいといえます。
また、ブロッコリーは比較的くせが少ないので他の食材とも合わせやすいのも特徴です。和え物や炒め物、スープにすることもできます。色味も鮮やかな緑なので食欲も増しやすく食事の満足感を高めることにもつながります。
冷凍保存ができる
自宅で茹でて水気を切って冷凍保存もできますし、市販の冷凍ブロッコリーも便利です。冷凍保存しておけば、下処理の手間を減らしながら必要な分だけ少量からでも利用できるので独り暮らしの高齢者や1人分の介護食を作るときにも活用しやすい食材です。
「食べてはいけない人も」ブロッコリー摂取における注意ポイント
栄養価が高く、介護食にも取り入れやすい野菜ですが、高齢者に使うときに少し気を付けておきたいポイントがあります。
繊維が口の中に残りやすい場合がある
ブロッコリーは食物繊維が豊富なのですが、加熱が不十分だとかたさが残りやすく食べる場所によっては繊維が残りやすいこともあります。
噛む力や飲み込む力が弱くなってきているかたに提供する場合は、芯や茎は避け、つぼみ(花蕾)の部分を中心に利用し、柔らかくなるまでしっかり加熱しましょう。
嚥下機能が低下している場合には、細かく刻んだり、ペースト状にしたりと、ひと工夫が必要です。つぼみの部分がバラけて口に残りやすいこともあるため、とろみあんをかけるなど、ある程度まとまりをつくった状態で提供するとよいでしょう。
お腹がはってしまう場合がある
不溶性食物繊維が多い野菜を食べると、体質や体調によっては腸内にガスがたまりやすくなる場合があります。少量であれば問題ありませんが、普段食べなれないかたがいきなり大量に摂取するのは危険なので、少しずつ様子を見ながら提供しましょう。
服用している薬によっては大量に食べてはいけない
ブロッコリーには「ビタミンK」という血液を固まりやすくする働きがある栄養が多く含まれています。そのため、血液をサラサラにする薬(ワルファリンなど)を服用している場合は、摂取量に注意が必要です。
薬を処方される際に医師や薬剤師から説明があると思いますが、気になる場合は医師や薬剤師に改めて相談しておきましょう。
指定野菜「ブロッコリー」を賢く利用して栄養摂取に
ブロッコリーは栄養価も高く、調理しやすい、アレンジしやすい介護食作りの現場でも心強い存在です。少量でも栄養が豊富で、日常的にとり入れやすいので食事量が減ってきている高齢者にこそおすすめです。
市販の冷凍ブロッコリーも栄養価はそこまで落ちないので積極的に活用して欲しいと思います。すでに下処理されているので、加熱時間も短縮できて調理の手間も減らせます。忙しい介護の中だからこそ無理なく続けられる介護食作りのために活用してみてください。
指定野菜になって、より身近になったブロッコリーを日々の食事に無理のない形で取り入れながら体調管理に役立てていきましょう。
