排泄トラブルQ&A|「母がパッドを嫌がり、ティッシュで代用しています」おむつナースが紙おむつのお困りごとにアンサー!【専門家が回答】
介護において「排泄」の悩みは奥深く、人に相談しにくいもの。紙おむつやパッドの使い方など始めて直面することも多いだろう。介護ポストセブン読者から寄せられた排泄にまつわる質問に、皮膚・排泄ケア特定認定看護師・浦田克美さんが回答。トラブル事例から、排泄ケアの基本を学んでおこう。
教えてくれた人
皮膚・排泄ケア特定認定看護師・浦田克美さん
皮膚・排泄ケア特定認定看護師として介護する人・される人に寄り添った活動を続けている。YouTube「チャンネルはぴなぴ」などSNSで情報を発信するほか、講演・セミナーに登壇し、健康や排泄についてやおむつの正しい使い方など介護に役立つ情報を伝える活動を続けている。NHK『クローズアップ現代』への出演ほか、各メディアで活躍中。https://www.youtube.com/channel/UCgonTHiL8Tfnq0M46wcGv5A
排泄のお悩み「トラブルへの対処法」16選
排泄の悩みは『恥ずかしい』という思いもあって、なかなか声を上げられないものですが、それは自然な感情です。どんな些細なことでも気軽に相談して欲しいのですが、話せる場が少ないのも現実ですよね。この記事で少しでも多くのお悩みに答えられたらと思っています。
Q1.排泄のトラブルを防ぐポイントを知りたいです
A.まずトイレへの動線に配慮しましょう
排泄トラブルを防ぐには、以下の3つのポイントがあります。
【1】便意・尿意があるかどうかの確認(感覚が残っているうちに対応する)
【2】歩行・移動などの身体機能を維持すること
【3】トイレまでの動線を整える(手すりの設置・夜間の照明など)
「トイレに行ける環境」を整えることで、自立した排泄を長く続けることができます。
Q2.母がパッドを嫌がり、ティッシュで代用しています
パッドのかわりにトイレットペーパーやティッシュを下着に挟んでいる母。何度注意してもやめず、膀胱炎にもなってしまいます。
A.嫌がる理由を聞いてみてください
尿漏れパッドを嫌がる気持ちの裏には「恥ずかしい」「気づかれたくない」「面倒くさい」などの理由があることが多いです。ご本人になぜ嫌なのか、理由を穏やかに聞けるとよいですね。
膀胱炎はあなどっていると命に関わることもあるため、医療機関を受診し、会陰部の清潔保持(ウォシュレット・シャワー浴)を習慣化することが最優先です。パッドはティッシュよりも通気性・吸収性が良いですし、膀胱炎を防ぐことにもつながります。一度使ってみて「心地良い」と実感されると、その後習慣になることは多いです。
Q3.母が就寝中に尿漏れの疑いが…。本人に直接聞いてもよいものでしょうか?
A.聞き方にひと工夫してみましょう
ご本人に直接聞いても良いのですが、聞き方にひと工夫してみてください。「尿漏れ」という言葉を使うのではなく、まず「夜中に気になっていることない?」「困っていることはない?」「何か手伝えることはある?」とさりげなく聞いてみると、本人から話しをしやすくなると思います。
「お母さんのことが心配だから聞いている」という気持ちが伝わる会話を心がけてみてくださいね。「恥ずかしさ」に配慮した優しい問いかけが大切です。
Q4.尿漏れをしているのにパッドを使ってくれません
A.多彩なパッドを見せて本人に「選んでもらう」
尿漏れパッドを嫌がるかたには「押しつける」ではなく、「選んでもらう」アプローチが効果的です。デザインが下着に近いもの、薄くて目立たないものなど、複数の選択肢を見せて本人に選んでもらいましょう。試供品や無料サンプルを扱っているメーカーもあるので、最初の一歩として色々試してみるのもいいですよ。
旅行に行くときや外出時、「念のためだから」と渡して使ってもらえると、その後も導入してくれることは多いようです。
Q5.素早くキレイに拭き取る方法や順番はありますか?
A.「前から後ろへ」が基本
拭き取りの基本は「前から後ろへ(尿道口から肛門方向へ)」です。尿路感染予防のためにも逆方向はNGです。便が柔らかい・粘土状のときは、シャワーボトルでお湯を流しながら拭くとより清潔に保てます。強くこすらず、やさしく押さえるように拭くのがポイントです。
Q6.紙おむつで皮膚がかぶれてしまいます
A.おむつかぶれの原因は大きく3つあります
【1】排泄物が長時間皮膚に触れている(交換頻度の問題)
【2】おむつの素材や当て方による物理的刺激
【3】過度な洗いすぎや不適切な洗浄方法
清潔に保つことはもちろん大切ですが、おむつかぶれなど皮膚トラブルで特に多いのが「洗浄剤による洗い過ぎ」です。1日2回以上、洗浄剤で洗うと、皮膚の保護膜が壊れてしまうことがあります。
ボディーソープや石鹸など洗浄剤の選び方・洗い方も重要です。弱酸性の洗浄剤を使い、やさしく洗って、しっかり乾燥させることがポイントです。保湿剤などで皮膚を保湿するのもいいでしょう。
Q7.着替える時、脱いだ物を隠してしまいます…
A.「隠さなくても大丈夫」という安心感を伝えられるとよいですね
汚れたものを隠してしまう行動は、「恥ずかしい」「怒られたくない」という羞恥心や、過去に否定されたことへの防衛反応であることが多いです。
責めたり注意したりするのではなく、「気にしないでいいよ」「いい洗剤をみつけたからまかせてね」など”隠さなくて大丈夫”という安心感を繰り返し伝えられるとよいですね。着替えをサポートする際、表情や声のトーンをやわらかく保ち、「着替えに協力してくれてありがとう」など感謝を伝える言葉がけも有効です。
Q8.トイレに頻回に行きたがり、そのたびに転倒しています
毎回付き添いが必要ですし、トイレに行きたがる割には、毎回排泄があるわけではないのですが…。
A.過活動膀胱の可能性も
トイレのたびに転倒リスクがあるのは不安ですね。「過活動膀胱」可能性も考えられます。治療薬で改善できるケースもあるので、主治医や泌尿器科に相談してみてください。
また「ポータブルトイレ」を居室に置いて移動距離を減らし、転倒リスクを下げることも検討してみてください。
Q9.おむつをしていても漏れてしまうのは、なぜでしょうか?
A.まず見直すべきなのは「サイズと装着方法」です
【1】サイズが合っているか確認しましょう
【2】装着方法を見直しましょう(ギャザーが倒れている、背中の中心がずれているなど)
【3】吸収量が足りていないか確認しましょう
「お腹がキツそうだから」と、ゆったりめのサイズを選ぶと、足回りから漏れるなどサイズがあっていないかもしれません。おむつはをはく前に「ギャザーを立てる」と足回りにフィットして漏れにくくなります。また、1回の排尿量は約150ccとされているため、2回分など吸収量をアップして試してみてください。
Q10.紙パンツとパッドを併用しているのに布団まで濡れてしまいます
A.細かい部分をチェックしてみましょう
上記【1】~【3】を見直して改善されなければ、さらにチェックしてほしいのが、以下の2つ。
【4】パッドと紙パンツのギャザーが重なっていないかチェックしてみましょう
【5】紙パンツとパッドのメーカーを揃えてみましょう
メーカーが異なる場合、ぴったりフィットせず漏れてしまうことも。同メーカーのものを使ってみてください。
Q11.痩せ気味のためか横から漏れてしまいます
A.ワンサイズ下げて足周りのフィット感を確認してみましょう
横漏れしてしまう原因は、足回りのギャザーがつぶれてしまっていることが多いです。
上記【1】~【5】を確認し、それでも漏れしてしまう場合は、ワンサイズ小さいものを使ってみる、またはテープ型のおむつに変更して細かくフィット感を調整することで改善されるケースがあります。
Q12.認知症の親の排泄ケアの際、ニオイや衛生面が気になります
A.こまめに換気をして空気の入れ替えを
パッドや紙おむつは長時間つけっぱなしにせず、こまめに交換して清潔を保持したいものです。入浴・シャワーもできるだけ習慣化できるとよいでしょう。
在宅介護の場合、こまめに部屋の換気をして空気を入れ替える、消臭剤や防水シーツなどを活用してニオイが染みつかないようにするなど、工夫が必要です。身体も環境も清潔にしておくことで「心地よさ」を体験いただけるとよいですね。
Q13.認知症の母の「漏れ」対策のコツはありますか?
認知症で感覚が鈍くなっているのか、漏れてしまうことが増えています。排泄の途中でトイレから立ってしまうこともあり困っています。
A.定期的なトイレの誘導を習慣化しましょう
認知症により排泄の感覚が鈍くなり、タイミングがつかめなくなることもあるようです。以下の対策を試してみてください。
【1】定時のトイレ誘導(食後・起床後など決まった時間にトイレへ)
【2】「排泄が終わった」確認は、本人のリラックスした姿勢や表情で判断する
【3】トイレから立つ前に、「もう少しで、さっぱりしますよ」と穏やかに声をかける
【4】日中も吸収量の多い夜用おむつやパッドを活用する
Q14.母がパッドを何枚も重ねて使っています
A.重ねるとかえって漏れやすくなります
パッドを重ねるとゴワゴワして装着感が悪くなり、逆に漏れやすくなることも。漏れ防止ギャザーなどがついたものや、吸収量が多めのパッド1枚に変更するか、パンツ型の紙おむつに切り替えることをおすすめめします。最近の紙パンツは下着に近い感覚で使えるものもあるので、「こういうタイプもあるよ」とおすすめしてみてください。
Q15.衣服を汚してしまったときの手順やサポートのコツはありますか?
A.穏やかなサポートを心がけてみて
ご本人も気にされているはずなので、なるべく穏やかに声をかけながら笑顔でサポートできるとよいですね。
【1】「大丈夫ですよ」と声をかけ安心してもらう
【2】汚れた衣服を脱いでもらう
【3】汚れた部分をおしりふきで取り除く
【4】陰部を前から後ろへ清潔に拭く
【5】着替えを手渡す(着替えをサポ-ト)
【6】汚れた衣服はビニール袋に入れる(その後、洗濯など)
Q16.排泄する際、肛門や便に触れてしまうことがあり困っています
A「すっきり出せる」対策を考えてみましょう
認知症のかたによく見られる行動ですが、「本人なりの理由がある」とも考えらます。肛門に触れ便を出そうとしている場合、「すっきり出せてない」「残っている感じがする」ことが原因かもしれません。対策としては、水分や油分など食事に配慮し、すっきり排泄できる腸内環境を心がけたいですね。医師や看護師、管理栄養士さんに相談してみてください。
また、排泄後にウォシュレットを使ってもらう、排便用の足台を使うことで便を出しやすくなることもあります。
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排泄ケアに関するトラブルは、人それぞれであり、共通の対策や正解がないともいえます。困っているかたの話を聞き、対策を試していくことで、一歩ずつ解決に向かっていくと思います。まずは情報を「知ること」が最初の一歩。ご本人もサポートする側もなるべくストレスを減らし、心地よく過ごせる工夫をしてみてくださいね。
撮影/横田紋子 構成/介護ポストセブン編集部
