大人用紙オムツ・紙パンツとの違い 種類や失敗しない使い方のポイントを専門家が徹底解説
介護生活の必需品である紙オムツ。そもそも紙パンツと紙オムツは何が違うのか?種類や呼び名が複数あり、選び方もわかりにくい。そこでYouTube「はぴなぴチャンネル」で紙オムツや紙パンツの使い方などの情報を発信している看護師の浦田克美さんに、選び方や使い方についての基本を教えてもらった。
大人用の紙オムツの基本を排泄ケアのプロが伝授
「大人用の紙オムツや紙パンツは、商品の種類がたくさんあるので、選び方が難しいかもしれません。間違ったものを使っていて、肌のトラブルをおこしてしまう方も多いんですよ」
こう話すのは、皮膚・排泄ケア認定看護師として、排泄ケアのトラブルに悩む患者をサポートしてきた浦田克美さんだ。
「入院時に紙パンツを用意してきてくださいねとお話したとき、恥ずかしいから店頭で一番先に目に付いたものを買ったら、介護度が高い方向けのテープ式の紙オムツで、腰回りがゴワゴワしていた患者さんもいらっしゃいました。
まずは、どんなタイプがあるのか、どう使うのか、目的を知ることが大切ですね」
紙パンツ、紙オムツ、パッド「種類や用途を知ろう」
排泄トラブルの程度によって、使うアイテムはかわります。
まずは、布パンツに尿を吸収するためのパッドを取り付けて使ことから始めるのが一般的。その後、紙パンツ→テープ式の紙オムツへと移行します。
なお、紙オムツと紙パンツは広い意味では同じものですが、一般的にパンツのようにはくタイプを紙パンツ、テープでとめるタイプを紙オムツと呼ぶのがわかりやすいでしょう」
それぞれ、どんなものか解説してもらった。
・パッド
尿を吸収するためのパッドは、吸水パッドや尿モレパッド、尿取りパッドなど、メーカーによって呼び名がさまざま。
「一般的な下着と、紙パンツ、紙オムツ用では、商品の設計が異なるので、選ぶときに注意が必要です」
■パッドの種類を確認!
【1】下着用(薄型~長時間用)
【2】紙パンツ用(薄型~長時間用)
【3】紙オムツ(テープでとめるタイプ)用(主に長時間用が多い)
【1】は、「ナプキン型尿ケアパッド」「軽失禁パッド」などとも呼ばれる。
「トイレまで間に合わない、くしゃみや笑った時に少しモレる、高齢の男性では排尿後に数滴モレるなどちょっとしたモレの方が対象です。ご自身でパッドを交換できる場合はこちらを使います」
【2】【3】は、「尿取りパッド」「尿パッド」「インナーパッド」などとも呼ばれる。
「紙パンツとテープ式の紙オムツでは、対応する商品が異なり、間違えるとモレの原因になるので注意が必要です」
紙パンツ
パンツのように着脱できるタイプで、リハビリパンツと呼ばれる場合もある。「ひとりで歩ける方、立てる方に向いています」。
紙パンツには、1~2回程度の尿を吸収する薄型のものと、4~5回分を吸収する長時間タイプがある。
「薄型の紙パンツは、フィット感や動きやすさがメリット。普通のパンツと同じ感覚で使えるので、ちょっとしたモレが気になる方やアクティブに動ける人向けになります。
一方、4~5回分を吸収する長時間タイプの紙パンツは、介護度が進んできた方向け。そのまま使う場合と、紙パンツの内側にパッドを貼って使うのが一般的。汚れたらパッドだけ交換すればいいので、コストも軽減できます」
紙オムツ
テープでとめて使うタイプのもので、一般的にQOLが低下してきた場合などに使う。
「寝て過ごすことが多い方に向いています。パッドを併用するとコスト削減にもつながります」
紙オムツや紙パンツはパッドと併用
「それぞれのアイテムを排泄の状況に合わせて単体で使ったり、パッドを組み合わせたりして使います」
利用方法の基本
・下着+パッド(下着用)
・紙パンツ(単体)
・紙パンツ+パッド(紙パンツ用)
活用シーン
・尿モレ対策に最初の一歩
→下着+パッドを取り替えて使用
・尿モレ対策をしっかりしたい
→薄型の紙パンツ+パッドを取り替えて使用
→吸収力が高い紙パンツを取り替えて使用
・QOLが低下した場合の排泄ケアに
→テープタイプの紙オムツ
「ちょっとしたモレが心配という人や、紙パンツには抵抗があるという人は、まずは、下着に貼り付けるタイプの“パッド”からはじめるのがいいでしょう。紙パンツも進化していて、見た目のデザインが下着のようなものや薄型でアウターに響きにくいものも。
また、生理用品を使い慣れている女性と違い、男性は尿モレケア用品を肌に当てるのに抵抗を感じる方も多いように思います。男性の方はナプキンになじみのない男性にも、パッドよりも薄型のパンツのほうが抵抗はないという方もいらっしゃいました。
女性用トイレには、生理用品を捨てるためのサニタリーボックスがありますが、男性用トイレにはないこともあり、捨てる場所に困るという声も。交換の可能性がある場合は、消臭機能つきのゴミ袋やエチケット袋などを携帯することをおすすめしています」