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暮らし

「捨てることは安心で快適な老後生活を手に入れること」モノが溢れることで起こる大きなデメリット3つ【迷わず捨ててよい品チェックリスト】

 モノが捨てられず、床やテーブルがいつの間にか“置き場所”になってはいないだろうか。こうした“モノが溢れた状態”は、気づかぬうちに老後の暮らしを脅かす危険も。そこで、家事アドバイザーの矢野きくのさんに、モノを放置することで、どのようなリスクが生じるのか、その対策について解説いただいた。

この記事を執筆した専門家

家事の効率化、家庭の省エネを中心にテレビ・講演・連載などで活動。NHK『ごごナマ』準レギュラー他テレビ出演多数。新聞での連載のほか自動車メーカー、家電メーカーなどの企業サイトでコラムの執筆経験も。近年は中高年層の家事アドバイスや家庭でできるSDGsについての講演、SNSでの情報発信でも活動している。著書『シンプルライフの節約リスト』、『「節電女子」の野菜レシピ!』など。https://yanokikuno.jp/

シニア層の家にモノが増えるのはなぜ? 放置すると危険な理由

 テレビの情報番組などで、年金暮らしや老後の生活にまつわるインタビュー企画を見たことがある方も多いのではないでしょうか。その際、取材対象である高齢のかたの自宅が映し出されると、「なぜこんなにモノが多いのだろう」と感じることはありませんか?

 床には新聞や雑誌の束、コード類。テーブルやこたつには読みかけの本、薬、リモコン、書類が山積み。収納棚には、使っているのかわからない食器や雑貨がぎっしり詰まっていたり…。

 もちろん、それが長年築いてきた生活の証であり、暮らしそのものであることは理解できます。しかし、モノが溢れた状態は、特に体力や判断力が衰えがちなシニア世代にとって、経済面と安全面で大きなマイナスをもたらしてしまうのです。

 モノに煩わされ、危険な状態になることを避けるためにも、「今」こそモノを見直し、スッキリと暮らすための準備を始めることを強くお勧めします。

モノが溢れていることによる3つの大きなデメリット

 モノが多い状態を放置することは、年金生活を苦しくし、健康を脅かす直接的な原因となります。

【1】デメリット/経済面:無駄な「重複買い」で家計を圧迫する

 モノが片付いていない部屋では、まず自分が何を持っているかを正確に把握できません。

●「あれ、どこに置いたっけ?」と探す手間が面倒になり、結局「どうせ安いものだし」と同じものを再度購入してしまう。

●ストック品が棚の奥に隠れて見えず、トイレットペーパーや洗剤を余分に買ってしまう。

●賞味期限の切れた食品や使わなくなった化粧品が大量に見つかり、捨てるための費用まで発生することも。

 これは、年金暮らしで節約を心がけているはずなのに、不要なモノの購入という無駄な支出が発生している状態です。部屋がスッキリと片付けば、在庫が一目で分かり、無駄な出費を大幅に減らすことができます。

【2】デメリット/安全面:転倒、怪我のリスクを高め「寝たきり」の原因に

 シニア世代の転倒事故の約半数は自宅内で発生しており、その大きな原因の一つが床に散乱したモノです。

●床に置かれた新聞、雑誌、カバン、コード類が足に引っかかり、つまずいて転倒する。

●骨折から入院・手術となり、そのまま要介護状態や寝たきりへと移行するケースは少なくありません。

●モノが多すぎると、掃除が面倒になり、カビやホコリが溜まって呼吸器系の疾患を引き起こすなど、健康面でのリスクも高まる可能性があります。

●また、モノが通路を塞いでいると、地震や火災などの緊急時にスムーズに避難できない危険性もあります。

 モノを減らし、床をクリアにすることは、命と健康を守るための最も重要なバリアフリー対策なのです。

【3】デメリット/心理・管理面:大切な書類や貴重品の管理が困難になる

 モノが溢れていると、本当に大切なものまで埋もれてしまいます。

●年金や保険、病院の領収書など、必要な書類がすぐに見つからず、手続きが滞る。

●通帳や印鑑、大切な思い出の品などがどこにあるか分からなくなり、探すストレスが常に発生する。

 スッキリと整理された空間は、心の平穏をもたらし、生活をシンプルに管理する基盤となります。

シニア世代の家にありがちな「迷わず捨てていいモノ」【チェックリスト】

 スッキリ暮らすためには、まず「捨てる」ことへの抵抗をなくすことが大切です。「これは迷わず手放して大丈夫」というモノのリストを参考に、安全とお金を守る視点で判断しましょう。

<チェック項目>

□ 古い書類・保証書

 何年も前のDM、家電の保証書(期限切れ)は不要。必要なのは最新の数か月分だけ。

□ 必要な枚数以上のタオル・食器

 頂き物のタオルや、使っていない食器は、収納スペースの無駄。本当に気に入ったものだけを残しましょう。「いつか使うかも」は、概ね必要ではないものです。

□ 読み終えた新聞・雑誌

 読んだらすぐに資源ゴミへ。床やテーブルに積み重なると、転倒や火災の大きな原因になります。

□ 着ていない・サイズが合わない服

 2年以上袖を通していない服は、今後も着ることはありません。衣類はホコリの原因にもなるため、枚数を厳選します。

□ 期限切れの薬・調味料

 救急箱の中の古い薬や、冷蔵庫の奥の賞味期限切れの調味料は、健康を害する可能性があるためすぐに処分を。

 □ 包装紙や紙袋

 こちらも「いつか使うかも」でとっておいたもの。この1年を思い返して包装紙や紙袋を使った回数を思い返してください。おそらく今溜めているものは、むこう10年でも使い切らないのでは? 1年で使いそうな分だけ残してあとは捨てるようにしましょう。

モノを減らすための最初の一歩 

「捨てる」ことに罪悪感を感じる必要はありません。それは、「安心で快適な老後の生活」という最高の価値を手に入れるための投資です。

 まずは、最も危険な「床」から、モノをすべて撤去することから始めましょう。床がクリアになれば、掃除が格段に楽になり、部屋の印象は大きく変わります。

* * *

 モノが減り、整理された空間は、「私は必要なモノをきちんと管理できている」という自信につながり、日々の生活にゆとりを生み出します。安全で経済的なスッキリ生活に向けて、今日から一歩踏み出しましょう

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