薬に頼らず生活習慣病に立ち向かう!日本初「薬やめる科」医師が語る、糖尿病・脂質異常症の減薬と断薬の目安
生活習慣病のひとつである糖尿病。血糖コントロールが治療のポイントになるが、薬に頼らず、食生活の改善や適度な運動で血糖値は改善できるという。日本初の「薬やめる科」を開設した医師に、「血糖値が下がる習慣」や「薬を減らす目安」を教えてもらった。
教えてくれた人
松田史彦さん/医師・松田医院和漢堂院長、2012年に日本初「薬やめる科」を開設
薬の副作用リスクを日本唯一の「薬やめる科」医師が警鐘
「化学物質である薬には、効果効能とともに数えきれないほどの副作用リスクがあり、飲む薬の種類が多いほど、副作用のリスクは高まります」
そう話すのは、2012年に日本で初めて「薬やめる科」を開設した松田史彦医師(松田医院和漢堂院長)だ。
「患者さんは症状に応じて循環器内科、糖尿病内科、泌尿器科、整形外科など専門分化した複数の診療科を受診して多くの薬を飲むことになるため、特に加齢で薬を代謝・排出する腎臓や肝臓の機能が低下する高齢者ほど副作用は出やすくなる。不調の原因が薬の副作用であることが見逃され、新たに薬を処方される悪循環に陥るケースも少なくありません」(以下、松田医師)
松田医師が「薬やめる科」を立ち上げたのは、自身が麻酔科出身であることも影響している。
「ほぼ全ての診療科に関わる麻酔科医師として、医療を横断的に見てきました。症状に応じて薬が“足し算”され、多剤併用による副作用の弊害が問題視される医療の現状を前に、薬を減らす“引き算”の視点が大事だと考え『薬やめる科』を立ち上げたのです」
具体的に、どのように薬を「減らし」「やめる」ことができるのか。
緩めの糖質制限からスタート。糖尿病治療薬をやめる3つのステップ
「数値」が薬を飲むか否かを左右する糖尿病について、松田医師はこう指摘する。
「糖尿病は腎不全や神経系疾患など様々な合併症を招く疾患ですが、過去1〜2か月の血糖値を示すHbA1cが10%程度(同6.5%以上で要精密検査・治療)でも、腎機能などに影響がない人もいます。検査で腎臓などの数値を測り、悪化していなければ、厳密な血糖値コントロールは不要な場合があります」
すでに薬を服用中なら、以下のようなステップで糖尿病治療薬を減らせる可能性があるという。
「第1のステップは、糖分や炭水化物、芋類などを減らす、緩めの糖質制限の実践です。ただ、過度な糖質制限は生命活動に必要なエネルギー不足を招くため、例えば糖分を摂るならミネラル豊富なハチミツなど、良質な糖分をほどほどに摂取するようにします」
第2のステップは、生活習慣の改善=適度な有酸素運動だ。
「体内のブドウ糖(血糖)や脂肪をエネルギー源として効率的に消費し、血糖値を下げる効果が期待できます。運動で筋肉への血流が増えれば、血糖値を下げにくくする『インスリン抵抗性』も改善します。もちろん個人差はありますが、食事と運動で血糖値が下がる人は少なくありません」
糖尿病治療薬の減量や減薬、断薬を医師に相談する目安はいつか。
「HbA1cが7〜8%で安定してきたら、複数の種類を服用する人は減薬、1種類なら減量を相談してみましょう。さらに続けて、正常範囲の6%未満で長期間安定したら、第3のステップとして断薬を検討してみてもいいでしょう」
生活習慣の改善をじっくり行ないながら薬を減らしていく降圧剤や糖尿病治療薬と異なり、松田医師が「すぐやめてもいい」と言うのが脂質異常症治療薬だ。
「血中コレステロール値が上がるのは必要があるから。コレステロールは細胞膜の主要材料で、悪玉(LDL)がこれを全身に運び、善玉(HDL)が血管壁の余分なコレステロールを回収して肝臓に戻す働きをしています。
脂質異常症治療薬はそのLDLや中性脂肪を減らす薬ですが、やめても数値が上がる以外の肉体的リバウンドがほぼないため、遺伝的にLDL値が高く若年から動脈硬化・心筋梗塞リスクが著しく高い家族性高コレステロール血症の人を除けば、やめやすい薬です」
ただし、LDLや中性脂肪が増えすぎると血管壁に溜まり、動脈硬化を引き起こす懸念がある。
「動脈硬化が進んでいる場合は、いきなり薬をやめるのではなく、主治医に相談して減薬、薬の減量を始めるのが無難です。食事や運動による生活習慣の改善で血圧や血糖値が正常範囲になり、肥満も改善したら断薬を検討してもいいでしょう」
