老後の生活資金調査「持ち家層より賃貸層のほうが不安を感じている」「リースバック、リバースモーゲージの認知率は2割」<調査レポート>
人生100年時代を迎えた今、長い老後生活を考えると様々な不安がつきものだ。中でも住居や老後資金に関する不安を抱える人は多いだろう。「老後の住まいとお金に関する調査」結果から、見えてきたこととは?
持ち家層も賃貸層も抱える老後の不安とは
平均寿命が大きく延び、定年後も長い老後生活が待っている現代日本。その生活について考えると、様々な不安を感じてしまう人も多いだろう。そんな中、ハウスドゥブランドで不動産事業を全国展開するAnd Doホールディングスは、50才以上を対象に、老後の不安や住居、老後資金対策などについて「第3回老後の住まいとお金に関する調査」を実施。その結果から、持ち家層、賃貸層それぞれが老後にどんな不安を抱いているのかをレポートする。
賃貸層の方が「不安を感じる」と回答した人が多い
まず最初に「あなたの老後について、不安に感じる(感じた)ことはありますか」と尋ねたところ、持ち家層で「不安を感じる」「少し不安を感じる」との回答の合計は79.2%という結果に。一方、賃貸層の回答では同合計が85.5%となり、持ち家層も賃貸層も老後への不安を感じている人が多い傾向となった。特に賃貸層では55.0%と過半数が「不安を感じる」と回答しており、賃貸層のほうが老後不安を感じている人が多いことが判明した。
老後不安上位に「老後の生活資金」がランクイン
続いて前述の質問に「不安を感じる」「少し不安を感じる」と回答した人を対象に、「どのようなことに不安を感じますか」という質問を実施。すると持ち家層でも賃貸層でも「自身の健康面」「老後の生活資金」「介護の心配」が上位を占めた。
持ち家層では「自身の健康面」が1位で77.2%、2位に「老後の生活資金」で71.4%となった。一方、賃貸層では「老後の生活資金」の不安が1位で84.8%という結果に。また、44.1%の人が「老後に生活する場所・地域」と回答しており、賃貸層ならではの不安も浮き彫りになっている。
「一人あたりの老後資金」の理想と現実にギャップ
次に、「あなた自身(一人あたり)の“老後資金(金融資産)”は、いくらくらいあれば大丈夫だと思いますか」と尋ねた。その結果、持ち家層は2,000万円台が23.8%で最多、賃貸層は1,000万円台が18.9%で最多(「わからない」を除く)となった。一方で、「わからない」と回答した人が、持ち家層で16.6%、賃貸層で26.0%と一定数存在していることも明らかになった。
しかし、続けて「現在、準備できている一人あたりの老後資金」を尋ねたところ、持ち家層では1,000万円未満が28.3%、賃貸層では1,000万円未満が33.1%と最多で、現実では想定している老後資金まで準備が進んでいないことが判明し、理想と現実のギャップが浮き彫りとなる結果になった。
持ち家層の約7割が老後も現在の家での生活を希望
また、「老後、どこに住もう(生活しよう)とお考えですか」という質問に対しては、持ち家層の72.7%が自宅(現在の住まい)と回答。多くの人が、老後の住居に関しては現在の自宅での生活を望んでいることが見て取れる。
「リースバック」「リバースモーゲージ」の認知度は2割程度
続いて「老後資金の対策(老後資金づくり)として、ご存じのものを教えてください」という質問を実施。すると持ち家層では「貯蓄」75.8%、「投資・資産運用」53.3%、「退職金」50.1%が大きな割合を占める結果となった。自宅を活用した老後資金対策として、自宅を売却後も賃貸で住み続けることができる「リースバック」や、自宅を担保に月々支払いは利息のみの「リバースモーゲージ」があるが、認知度は「リースバック」22.1%、「リバースモーゲージ」20.0%に留まった。
しかし、東京都・大阪府でみると、東京都での認知度は「リースバック」47.6%、「リバースモーゲージ」45.8%、大阪府での認知度は「リースバック」52.2%、「リバースモーゲージ」は57.9%といずれも全国平均を大きく上回っている。その理由としては様々な要因が考えられるが、総じて住宅・土地の流動性が高いことから、自宅を活用した老後資金対策として「リースバック」「リバースモーゲージ」を検討する人が多いことや、各社が老後資金ニーズを見込み積極的なプロモーション活動を推進したことにより、認知度が高まったことなどが推測される。
老後を迎えるにあたって大きな課題となる資金や住居の問題。その一助として自宅を活用した資金づくりも様々なサービスがあるようだ。いざ老後を迎えたときに困らないよう、自分、そして家族に合った方法は何か、早めに子供や家族と相談をして、準備を進めていくことをおすすめする。
【データ】
And Doホールディングス
https://www.housedo.co.jp/and-do/
【調査概要】
調査期間:2024年9月3日~18日
調査方法:インターネット調査
調査数(有効回答数):50才以上の持ち家に居住787人、賃貸に居住169人 合計956人
※And Doホールディングスの発表したプレスリリース(2025年1月21日)を元に記事を作成。
図表/株式会社And Doホールディングス提供 構成・文/秋山莉菜