実家の片付けで処分に困るものランキング1位は「写真・思い出の品」対処法を解説
「実家の片付けで処分に困るもの」ランキング調査結果から、それぞれの対処の仕方を専門家に教えてもらいました。本人の気持ちに寄り添いながら、整理を進めるコツの数々はぜひ参考にしてみて。無理せず進められるのでお互いに気持ちよく片付けられるはず!
処分に困るのは、親の人生や価値観を象徴するものたち
子世代の本音は、圧倒的1位は「写真・思い出の品」だ。「実家の片付けで処分に困るものランキング」のアンケート調査を行った買取専門店「ウリエル」代表の竹本泰志さんに聞いた。
「写真や思い出の品は、取り出してみると過去がよみがえり、手放す決断がつきにくいものです。箱いっぱいのプリントした写真を1枚1枚チェックするのは、手間も時間も、残しておくべきかを判断するために頭も使います。
私自身も写真の整理をした際、最初は丁寧に確認していても、数が多くなると面倒になり、細かく見ないまま処分してしまった経験があります。思い出の品には親や家族の気持ち、そしてともに積み重ねてきた歴史が詰まっているため処分しづらい存在です。『見つけるたびに思いがこみ上げて泣けてしまい、片付けが進まない』という回答もありました。処分しづらいものほど、親が生きているうちに判断をしてもらった方がいいと思います」(竹本さん・以下同)
■実家の片付けで処分に困るものランキング
1位 写真・思い出の品 134票
2位 趣味・収集品 107票
3位 家具・家電 105票
4位 仏壇 66票
5位 衣類 65票
6位 食器 56票
7位 着物 46票
8位 宝石・貴金属 21票
9位 その他 ※遺骨・先祖代々 のものなど 11票
※買取専門店「ウリエル」が、20~60代の男女300名に2022年6月3~13日に実施したインターネット調査による(複数回答)。
本人とコミュニケーションを取りながら片付けを
「写真を整理しよう」と言うと、処分が前提となり、言われた側に抵抗感があるかもしれない。それより、「昔の写真を一緒に見てみようよ」と話を持ちかけ、思い出話に花を咲かせながら、飾りたい写真、アルバムなどにまとめたい写真、その他などに仕分けしていけば、本当に必要なものを確認しやすい。
2位は「趣味・収集品」。本人にはかなり思い入れがあるものでも、ほかの家族には価値がわからないこともある。
「大量の古いレコードやCD、押し入れに眠っている手作りのパッチワークなど、『場所をとって困るけれど、親の嗜好や愛着が詰まったものはなかなか捨てられない』というジレンマに悩む人が多く見られます」
手作りの品なら、メルカリなどに出品したり、プレゼントを提案するのもいい。また、興味のない人にはガラクタに見える収集品も、マニアの間では垂涎の的であることも。安易に処分する前に、ネットなどでチェックしてみるのもいいだろう。
処分に抵抗感があるものは専門業者に相談も
3位は「家具・家電」。大きなものは家族だけで移動させるのが難しく、処分にお金がかかるケースも多い。
4位の「仏壇」は、「処分の仕方がわからない」を理由に挙げた人が目立ったという。
「たとえ信心深くなくても、ほかの家具のようにただ処分するのでは抵抗があるでしょう。当社では、魂抜き、お性根抜き、供養をしてから処分をしますので、安心してお預けいただけます」
粗大ゴミとして出すことに抵抗がなければ、各自治体の処分法に従うこと。数百円での廃棄も可能だ。
5位は「衣類」。直接身につけるものだけに、体温が感じられて処分しづらいものだ。
6位の「食器」、7位の「着物」も、数の多さから「処分に困るもの」と認識されているようだ。
処分せずに「仕分け」だけするのも手
「実家の片付け」というと、「捨てる」「処分」が前提になりがちだが、親が生きているうちなら「仕分け」だけでもいいと、竹本さんは言う。
「終活として、銀行の預金通帳や保険証書などは一覧表を作ってまとめておくとよいといわれますが、価値あるものも、わかるようにまとめておくことが大切です。
例えば、骨董が趣味の場合、本人には価値がわかっていても、興味のない子世代には『古ぼけた器』としか認識できず、遺品整理の際に捨ててしまうことも考えられます。思い入れのあるものにまつわる話を聞きながら仕分けをすることができれば、その場では処分できなくても、その後の整理がスムーズに進みます。
いざ遺品整理をすることになったら、まず最初に行ってほしいのは、専門業者に査定をしてもらい、現金化して処分費用を捻出することです。こうすることで金銭的にも心理的にも余裕ができ、残ったものの整理に時間をかけることができるからです。貴金属も、骨董も、蔵書や趣味の収集品も、その分野に強い専門業者に買い取ってもらえば、高額査定に驚くことも多々あります。
ただし、遺品整理業者の中には、掃除&処分が優先で、買い取りに力を入れていないところもありますので、業者のホームページや口コミなどで、何をメインに行っているかを確かめ、業者を決めるといいでしょう」
この夏は、親子の会話の中で、しまい込んだ思い出を引き出してみることから始めると、片付けにつながっていくかもしれない。
取材・文/山下和恵
※女性セブン2022年8月11日
https://josei7.com/
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