《「意味づけ」があなたの気分を決めている》スポーツドクターが解説する「不機嫌」な状態を作り出す脳の仕組み “雨の日は憂鬱”も後天的なもの?
たとえば雨が降っていたとします。傘をさす、という行動がとれるのは認知の脳の働きです。雨を見て、ハサミを持ち上げたら、認知が間違っています。
ここまではよいとして、ではあなたは、雨が降ったらどんな気分になりますか?
「うっとうしい」
「憂鬱だなあ」
「いやだなあ」
と、ちょっとブルーな気分になりませんか?
これが、意味づけペタンコの影響なんです。「雨はブルーなものである」という意味を脳が勝手につくっているんです。
そのせいで心にブルーな感情が生まれてしまうというわけです。
考えてみてください。
雨はただ空から水が降っている現象にすぎないのです。
だって「いやな雨」や「憂鬱な水」が降ってくるわけではありませんから。雨はただ水が空から降ってくる。それだけのことなのに、認知の脳が意味づけをしてしまっているので私たちは雨を見て、憂鬱になってしまう。
その証拠に、もし生まれた日に雨が降っていたらどうでしょう。
雨の日に生まれた赤ちゃんは、
「なんだって。よりによって自分の生まれたこの日に雨が降っているなんて。冗談じゃない」
と思うでしょうか。
きっと思わないはずです。
雨が降ってブルーになるというのは、後天的に認知の脳がつくりだしたことだからです。
この世で起こるすべてのことに意味をつけたのは、あなたの脳なのです。
しかも、この意味づけは死ぬまで続きます。
人間は意味づけによって生きている“意味の生き物”と言えます。
物事の意味はいつも自分がつけている。その自覚がないと、心が外側の出来事に持っていかれてしまい、いつでもきげんが悪いという状態になります。
教えてくれた人
辻秀一さん
スポーツドクター。慶應義塾大学病院内科、同スポーツ医学研究センターを経て独立。応用スポーツ心理学とフロー理論を基にしたメンタル・トレーニングによるごきげんマネジメントが専門。セミナー・講演活動は年間200回以上。年に数回の「人間力ワークショップ」は経営者、アスリート、音楽家、主婦など全国から参加者が集まる。
サポート実績に、EY Japan(株)、積水ハウス(株)、三井不動産(株)、ハウスコム(株)、コマツカスタマーサポート(株)など多数の企業にウェルビーイングやごきげん学を提供している。2024年パリオリンピックでは出場選手12名のメンタルトレーニングを担当し、うち3人が金メダルを獲得。現在は2026年冬季ミラノ・コルティナオリンピックや2028年ロサンゼルスオリンピックを目指すオリンピアンたち、サッカー・大相撲・女子ゴルフなどのプロアスリートをサポートしている。日本バドミントン協会とはメンタルサポート契約を締結し、日本サッカー協会のプロライセンス講座、大学体育会、中高部活、その他にヴァイオリンやピアノなど音楽家や教育界も多数サポート。著書に40万部突破のベストセラーの『スラムダンク勝利学』(集英社インターナショナル)、『「機嫌がいい」というのは最強のビジネススキル』(日本実業出版社)、『チームワークの大原則「あなたが主役」で組織が変わる』(WAVE出版)、『個性を輝かせる子育て、つぶす子育て』(フォレスト出版)など多数。日本代表アスリートたちが子どもたちにごきげん授業をする一般社団法人Dialogue Sports研究所(Dispo)を展開。またライフスキルについて対話し「ごきげん道」を一緒に歩むコミュニティ“BA”を主宰。http://www.doctor-tsuji.com/
