血圧と血糖値を同時に下げるメソッドを医師が解説「起床後に飲んではいけないもの」ほか食事の鉄則8選【1週間献立付き】
多くの人が悩む血圧と血糖値の改善方法は、これまで別々のアプローチで語られてきた。だが、「2つの数値は連環しており、同時に下げることは可能」と断言する生活習慣病の名医がいる。薬に頼らず一挙両得が可能となる革新メソッドを教えてもらった。
教えてくれた人
矢野宏行さん/やのメディカルクリニック勝どき院長、望月理恵子さん/管理栄養士・健康検定協会理事長
朝のコーヒーは血圧・血糖値の上昇を招く恐れがある
生活習慣の改善で最も基本的かつ重要なのが食生活だ。その実践は、朝起きた時から始まる。
「朝コーヒーを飲む習慣がある人は注意しましょう。起床後の数時間は血圧や血糖値が上がる時間帯です。コーヒーに含まれるカフェインは交感神経を優位にしてアドレナリンの分泌を促進し、血圧・血糖値の上昇を招くため、血圧や血糖値が気になる人の“目覚めのコーヒー”は起床後に上昇した数値をさらに上げる恐れがあります」(やのメディカルクリニック勝どき院長の矢野宏行医師)
朝昼晩の三度の食事で気を付けたいのが「食べ方」だ。
「よく噛まずに短時間で済ませる“早食い”は食後血糖値を急上昇させるだけでなく、インスリンの大量分泌を招いて血圧も上がりやすくなります。食事は1口20〜30回は噛み、15分以上かけるようにしましょう」(同前)
血糖値の急上昇を抑える食べ方として「カーボラスト」(食事で肉・魚や野菜を先に食べ白米などの炭水化物を最後に食べる方法)があるが、これは血圧低下にも効果が期待できるという。
「カーボラストでインスリンの血中濃度の急上昇が抑えられ、血圧も上がりにくくなると考えられます。満腹感を得やすいため無理なく炭水化物の摂取量が抑えられます」
ブロッコリーやダークチョコレートは血圧の上昇を抑える
普段の食事から積極的に摂取したい食材もある。
「キノコや海藻、コンニャクなどに多く含まれる水溶性食物繊維は、ナトリウム(塩分)を排出する働きにより血圧の上昇を抑え、糖質の吸収を遅らせて食後血糖値の急上昇も抑えてくれます。野菜で摂りたいのは、インスリン抵抗性を改善する成分スルフォラファンが豊富なブロッコリー。血圧上昇を抑える効果も期待されます。1食の目安は2房分(30g)です」
間食や晩酌などでも、血圧・血糖値を下げる工夫の余地はある。
「おやつならカカオ含有70%以上のダークチョコレート。カカオポリフェノールにはインスリン分泌を増やす作用や抗酸化作用があり、血糖と血圧上昇を抑える効果が期待できます。晩酌時も、糖質を含まない焼酎やウイスキーを適量に留めるなら、血圧・血糖値ともに上昇を抑えられる可能性があります」
そう話す矢野医師は、「厳しい食事制限は挫折しやすく、リバウンドによる過剰摂取にも繋がるため逆効果となることがある」とも指摘する。
健康検定協会理事長で管理栄養士の望月理恵子さんもこう話す。
「『これを食べてはいけない』との強い制限はストレスに繋がります。とくに、日本人の主食である白米(炭水化物)は最も効率の良いエネルギー源であるため、極端に我慢するのはリスクがあります。食事では特定の栄養素を極端に減らすのではなく、全体のバランスが重要です」
食事の鉄則8選
【朝】
<1>起床直後のコーヒーや栄養ドリンクはご法度
【昼】
<2>3時のおやつはダークチョコ
【夜】
<3>食事は就寝2時間前に済ませる
<4>ブロッコリーを2房食べる
<5>晩酌は焼酎かウイスキーを適量
【食生活全般】
<6>よく噛み、時間をかけて食べる
<7>肉や野菜を先に食べ、炭水化物は最後に
<8>毎日1回、コンニャク、キノコ、海藻を摂取する
