《遠距離介護の調査レポート》「6割が片道2時間未満、9割が不安や悩みを抱えている」実態が明らかに
離れて暮らす親が高齢になるにつれ、頭を過るのが介護の問題。自分で親の面倒を見たいと思っていても、仕事や家庭の事情で遠距離介護を選ばざるを得ないという人もいるだろう。そんな遠距離介護者を中心に行われた「介護経験者の実態」に関する調査から、介護者が抱える問題をレポートする。
遠距離介護者を中心に「介護経験者の実態」に関する調査
離れた場所に住みながらも、高齢の親の元へ通って介護を行う「遠距離介護」。親が要介護状態となっても、仕事や家庭の事情から遠距離介護を選ばざるを得ないという人も少なくないのではないだろうか。
そんな中、介護保険外自費サービス「わたしの看護師さん」を運営するN.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社は、遠距離介護者を中心に、介護の経験がある人を対象とした「介護経験者の実態」に関する調査を実施。介護を行う家族の負担や不安感を明らかにしたため、その結果をレポートしていく。
約2割が経験している遠距離介護の実態
まず始めに、「介護先への距離はどれくらいですか」と尋ねたところ、「近・中距離(片道2時間未満)(62.0%)」と回答した人が最も多く、次いで「遠距離(片道2時間以上)(19.1%)」と続く結果となった。これにより要介護者と同居している人よりも離れて暮らしている人が多いことが明らかになり、遠距離介護をしている人も約2割いることが示された。
また、「遠距離(片道2時間以上)」と回答した人を対象に行った「どのくらいの頻度で介護先へ行っていますか」という質問には、「月3~4回(31.4%)」と回答した人が最も多く、次いで「月1~2回(26.2%)」「月5回以上(19.9%)」と続いた。
遠距離介護経験者の9割以上が不安や悩みを抱えている
次に、遠距離介護経験者を対象に「介護について不安や悩みはありますか」と尋ねたところ、「とても強い不安・悩みがある(44.5%)」「やや不安・悩みがある(46.6%)」「あまり不満・悩みはない(6.8%)」「まったく不安・悩みはない(2.1%)」という結果となった。遠距離介護経験者の9割以上が、介護について不安や悩みを抱えていることが判明した。
続けて「とても強い不安・悩みがある」「やや不安・悩みがある」「あまり不満・悩みはない」と回答した人を対象に、「介護をしている中での不安や困りごとを教えてください(複数回答可)」と質問を行った。その結果、「病院付き添いや手続き等による定期的な帰省が負担(46.5%)」と回答した人が最も多く、次いで「お金(39.6%)」「離れて暮らしているため、何かあった時にすぐに対応できない(33.2%)」と続いた。
介護のための移動やお金の問題に負担を感じている人が多く、また、遠く離れているためすぐに駆けつけられないという不安を抱えている人もいるようだ。
遠距離介護が「職場や家族へ影響を与える」という声も
次に、遠距離介護経験者を対象に「介護を始めたことでご自身の職場や家族への影響はありましたか」と尋ねたところ、約8割が「あった(81.7%)」と回答する結果となった。
「介護をはじめたことでどのような影響がありましたか(複数回答可)」という具体的な質問には、「介護の負担により、心身の疲労が溜まっている(34.0%)」と回答した人が最も多く、次いで「介護によって、働く時間が減り、収入が少なくなった(32.7%)」「仕事を休む回数が増加し、昇進機会を逃した(29.5%)」と続き、介護の与える生活や仕事へ影響の大きさが明らかになった。
負担が減るなら保険外サービスも「利用したい」が6割以上
そこで続いては「今の介護に対する気持ちを教えてください」という質問を行った。すると「やる気はあるが気力・体力が追い付かないのでサポートが欲しい(47.6%)」「やる気はあるのでこれまで通り続けていきたい(33.5%)」「負担が大きく、介護をしたい気持ちはあまり湧かない(18.4%)」という回答結果に。
介護についてやる気はあるものの、サポートが欲しいと感じる人は約半数に上り、一方、介護したい気持ちが湧かないという人がいることも明らかになった。サポートを受けられる状況を作ることは、喫緊の課題と言えるだろう。
また、「ご自身の負担を減らせる介護保険外のサービスがあれば利用したいですか」と尋ねたところ、「利用したい(61.8%)」「利用は考えていない(31.4%)」「すでに利用している(6.8%)」という結果となった。
具体的な「どのようなサービスがあれば利用したいですか(複数選択可)」という質問には、「転倒や徘徊、急な体調不良など、有事の際の訪問対応(43.5%)」と回答した人が最も多く、次いで「定期通院や入退院時の病院付き添い(30.4%)」「掃除や洗濯、調理など家事や生活のサポート(27.2%)」と続いた。
そして最後に「遠距離介護に関する情報や相談をどこから得ていますか(複数回答可)」と尋ねたところ、「ケアマネジャー(45.0%)」と回答した人が最も多く、次いで「地域包括支援センター(31.4%)」「ヘルパー(28.8%)」と続く結果となった。
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以上の調査結果から、介護経験者の約2割が遠距離介護をしていることが判明した。また、そのうちの9割以上の人が介護について不安や悩みを抱えており、特に介護先への帰省や移動、お金の問題で悩む人が多いようだ。
また、介護を始めたことで自身の職場や家族への影響を感じている人が8割以上いるだけでなく、介護についてやる気はあるものの、サポートが欲しいと感じる人は約半数いることも明らかに。
そして6割以上の人が、負担が減るのであれば保険外の介護サービスでも利用したいと回答をしており、それほどまでに介護する人の不安や負担は大きいと言えるだろう。無理なく介護を続けていくためにも、ひとりで抱え込み過ぎず、時には専門のサービスを頼ることも必要ではないだろうか。
【データ】
わたしの看護師さん
https://my-nurse.jp/
【調査概要】
調査期間:2024年1月19日(金)~2024年1月20日(土)
調査方法:リンクアンドパートナーズが提供する調査PR「PRIZMA」によるインターネット調査
調査人数:1,003人
調査対象:調査回答時に介護経験者
※近親者(高齢者限定)の介護であり、現在介護中の人が対象であると回答したモニター
調査元:N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社 / モニター提供元:ゼネラルリサーチ
※N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社の発表したプレスリリース(2024年3月19日)を元に記事を作成。
図表/N.K.Cナーシングコアコーポレーション合同会社提供 構成・文/秋山莉菜