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《東国原英夫さんが告白》「あんたは誰だ!」実母に殴られ、両手足を縛って病院へ「妻に丸投げ」「介護のために結婚したのか」とブーイングも…“綺麗事では済まない”認知症の介護事情

「あんたは誰だ!」と実の母親に殴られ、入院を拒む母親の手足を縛ったことも――。「介護を妻に丸投げしている」と非難されながらも、東京で仕事を続けて地元で奮闘する妻と父親を支えた、元宮崎県知事、元衆議院議員でタレントの東国原英夫さん(68歳)が、母親の壮絶な介護体験を語った。

嫌がって暴れる母親の両手足を縛って入院させた

――85歳の母親の介護は、初めは7歳年下の父親が在宅でする老々介護だったそうですね。

東国原さん:ホームヘルパーさんにも来てもらっていましたが、父が母の入浴や排泄の処理をしていました。ぼくも“吊るしてお風呂に入れる介護リフト”を使って母を入浴させたり、排泄の処理をしたり、ヘルパーさんに教わって栄養バランスのいい料理を作ったりしたことはありましたが、基本的には仕事で東京にいるため、父のサポートは妻に頼んでいました。妻は介護ヘルパーの資格を持っていて、知識もあるので安心して任せられました。

――妻の春香さんに介護を任せて、東国原さんは4か月に1度しか実家に戻らなかったとテレビで放送された時には、スタジオは大ブーイングでしたね。

東国原さん:そうなりますよね(苦笑)。両親を東京に呼ぶことも考えましたが、両親に「生まれ故郷を離れたくない、実家がいい」と言われたので、ぼくができることは出稼ぎですよ。ぼくも妻に丸投げしている状況は心苦しかった。「介護のために結婚したのか」と、当時はネットでも叩かれました。

ですから、ぼくも帰れる時はできるだけ実家に戻って、自分なりに両親とコミュニケーションを密にしていたつもりです。印象的なのが、本人が嫌がるなか入院させなければいけない時のことですね。「行きたくない!」と麻酔銃がほしいくらい暴れるので、やむを得ず両手足を縛って、疲れさせてから病院に運んだこともあります。それにも胸を痛めました。

やっと入院させても、病院でも暴れるんです。子供が駄々をこねるように、地面で反り返って「やだやだやだ」って感じで。「介護されるなら死んだ方がましだ」「飛び降りて死にたい」と口走ることもあったので、入院するときは念のため、低層階の部屋にしてもらっていました。入院させても病院を抜け出してしまうので、行方不明になってしまわないか、それも怖かったですね。夜中に徘徊していたら車にひかれるかもしれない、という不安もありました。

母が「あんたは誰だ!」と殴りかかってくる

東国原さん:とにかく精神的に不安定なので、当たり散らすんですよね。それを押さえると、「あんたたちは私を殺す気か!」と言われる。受け入れなきゃいけないと思うんですけど、さすがに心が折れそうになる時がありました。「あんたは誰だ!」と殴りかかってくるんですよ。ぼくは息子なのに、そう言われるのはつらかったですね…。

――ほかに、どんなことが大変でしたか?

東国原さん:事務的な面でも大変でした。認知症になると、どの銀行に口座があるかわからなくなるんです。父と母で計6つぐらい銀行を使っていたのですが、銀行を特定するだけでも骨が折れました。

あとは、家が老朽化していたので、水道管が破裂したとか、台風で瓦が飛んだとか、それを直すのも大変なんです。施設に入る前後ぐらいから自宅を処分しなければいけなかったのですが、なぜか実家が、宅地と農地にまたがって建っていたんです。売却するには農地を宅地に転用する必要があります。この手続きも手間でした。

登記を変更しなきゃいけないのですが、本人たちは認知症で書類の作成はできません。そういう諸々の手続きを妻がしてくれたので、本当に感謝しています。認知症になる前に、財産とかそういうものは、家族や親戚などで話し合っておくべきだと身に沁みました。

お金を渡すと隠して、隠した場所を忘れてしまう

東国原さん:父は通院するのにタクシーを使っていました。すでに免許は返納していましたし、公共交通機関のバスが1日1回しか来ないんです。だから現金を渡しておくんですけど、現金がなくなるんですよ。認知症あるあるですが、隠すんです。そして、どこに隠したのか忘れちゃうんです。これも困りました。

身内がそばにいれば必要な時に渡せばいいのですが、ぼくらは別々に暮らしていましたから。ゴミ箱の中にお金が入っているのを見つけたことがありますが、そこに貯金したと思っているようでした。本人たちは頭がしっかりしてると思ってるんですよ。

「大丈夫だから、5万円預けてくれ」と言われて渡すと、翌日に「お金がないから持ってきてくれないか」と電話がかかってくるんです。妻に持っていってもらうのですが、1日2日で5万円も使うはずがない。「もう使った」「貯金した」と言いますが、隠しているんですよ。

そのうちに、だいたい隠す場所がわかってきました。お札を丸めてベッドのパイプの中に入っていたんですけど、そこは元々母親がへそくりを隠す場所だったらしいです(笑い)。あと仏壇の位牌の後ろとかも、よく隠されるポイントでした。

それに関連して困ったのは、「英夫がお金をくれなくなった」と吹聴するんです。そんなことしていませんから。それで結局、振り込みなどは妻がするようになりました。あらゆる面で気が抜けませんでしたが、本当に妻には助けられました。

◆政治評論家、タレント・東国原英夫

ひがしこくばる・ひでお/1957年9月16日、宮崎県生まれ。1980年よりビートたけしの一番弟子「そのまんま東」として、バラエティ番組を中心に活躍した。2000年早稲田大学第二文学部に入学、2004年卒業。2007年宮崎県知事就任、「どげんかせんといかん」をスローガンに宮崎ブームを牽引した。衆議院議員を経て、現在はタレント、コメンテーターとしてテレビや講演会などで幅広く活動する。

撮影/小山志麻 取材・文/小山内麗香

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