「むせやすい」「声が低くなった」50代以上の女性は老化のサイン!週2〜3回の「のどトレーニング」と「全身運動」で誤嚥性肺炎を予防<イラストで図解>
のどの老化を防ぐには、運動と食事が鍵となる。
「飲み込みに使う筋肉を強化するためには、前提として、全身の筋肉を強化する必要があります。そのために効果的なのが、筋肉に負荷をかける動きを繰り返し行うレジスタンス・トレーニングです。最近の研究では、このトレーニングの効果は90代になっても認められたとの報告があります」
さらに、のどまわりの筋肉を集中的に鍛える筋トレは、誤嚥を予防する運動の核心。それが、下記で紹介する西尾さん考案の「のどトレ(のどのレジスタンス・トレーニング)」だ。50才になったら、「全身のレジスタンス・トレーニング」と「のどトレ」を行い、食事にも気を使った方がいい。
「筋肉をつくるためには、質のよいたんぱく質を摂ることが大事。体重1kgあたり1日1.2~1.5gのたんぱく質の摂取が目安です。体重60kgの場合は、1日に72~90g程度となります。たんぱく質の中でも、筋肉の修復や合成を促し、筋力を強くする働きに優れている『ロイシン』を多く含む食材がおすすめ。牛肉、豚肉、鶏肉、いわしやあじの干物、まぐろやかつおなどの赤身魚、鮭、さばなどに多く含まれています」
さらに、牛乳に含まれるホエイたんぱく質が筋肉量、筋力、身体能力を向上させるのに有効であることが判明。運動後に飲むと傷ついた筋肉の回復を早めて筋肉を強くする効果が期待できるという。
運動間隔が1週間あくと筋力は低下するので、週に2~3回を目標に、できることから始めてみよう。
誤嚥性肺炎の予防もできる!50代から始めたい「のどトレ7」
のどの機能回復と誤嚥性肺炎予防のためのトレーニング法「のどトレ」。1~7を各5回実施して1セット。1週間に2~3セットが目標だ。
【1】<舌骨上筋群>ごっくん筋肉のトレーニング
<1>左手のひらをあごの下に添え、右手で左ひじを支えたら、右手を押し上げる。
<2>手の力に抵抗するように口を大きく開き、5秒キープ(左右の手が逆でもOK)。
【2】喉頭のトレーニング
声帯の萎縮を予防するトレーニング。
<1>低い声で「ノー」と発声する。
<2>少しずつ音の高さを上げながら、息が続く限り「ノー」と声を出し続ける。
【3】呼吸のトレーニング
<1>吸気筋トレーニング
500mlの空のペットボトルを口にくわえ、大きく息を吐いてからペットボトルを凹ませるように5秒間吸い続ける。
<2>呼気筋トレーニング
500mlの空のペットボトルの底に、画びょうなどで10個程度の穴をあけ、口にくわえる。息を大きく吸い、穴から息がもれるように5秒間吹き続ける。
【4】口のトレーニング
口を閉じ、右手の親指と人差し指で右側の唇を縦につまむ。「イー」と発声ながら、唇を横に引くと同時に縦に開くよう意識し、5秒間キープ。左側の唇でも同様に行う。
【5】咽頭のトレーニング
舌を前に出し、前歯で舌の先端を軽く噛む。そのまま、唾液もしくは少量の水を飲み込み、その状態を5秒間キープ。
【6】舌のトレーニング
「タ」と発音するときの口の形をつくり、舌を歯茎に向かって強く押し上げ続ける。その状態を5秒間キープしてから「タ」と発音する。
【7】声帯のトレーニング
いすに座り、足は肩幅に開く。両手をイラストのように胸の前で組む。両手を互いに強く引き合いながら「イー」と約5秒間声を出し続ける。