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健康

《座り続ける生活で死亡リスク上昇》運動しても座ることで効果は台無し スイス在住の医師は「1日9時間以上立っている」ことを習慣に

 手先を動かし、動物のような動きをまね、呼吸を意識する──。普段とは違う体の使い方が、脳を活性化させる。しかし、そうした運動の効果も、長時間の座り続けで失われるかもしれない。

 スイス在住の医師・平井麻依子さんが、世界の脳科学のエビデンスを自分の脳で実験したことをまとめた『「脳にいいこと」すべて試して1冊にまとめてみた』(サンマーク出版)より、一部抜粋、再構成してお届けする。

教えてくれた人

医師・平井麻依子さん

東京・新宿区出身。スイス在住の医師。群馬大学医学部卒業、及び、ロンドン大学衛生熱帯医学大学院修了。 修了後、世界保健機関(WHO)に就職。その後、外資系コンサルティングファームで、日本、マレーシア、UAE、イギリス、スイスのオフィスにて勤務。医薬品医療機器分野のイノベーション戦略を担当。本当に患者のためになる新しいイノベーションの原石を探し、その可能性を最大化することにパッションを感じる。患者中心の医療に関する出版物・講演多数。2023年、イギリス出張中に視野に異常をきたし緊急入院。その後、脳腫瘍と診断される。スイス・アメリカにて闘病生活を送る。1年で職場に復帰し、現在、自身の体験をもとに、ヨーロッパ最大の脳腫瘍に関わる非営利機関での活動をしている。趣味は、スイスの湖での水泳と山でのハイキング。

第2の脳である手を動かす効果

 私たちの手というのは、第2の脳とも呼ばれています。

 手や指先などを動かすことで、脳の血流量が多くなり、認知症予防などにも効果があるとされています。

 ただし、脳に刺激を与えるためには、いつも行っている日常的な動作、たとえば食事で箸を使う、何かつかむという程度では効果は得られません。

 普段はしない手や指の動きを意識する必要があるのです。

 ボリウッドダンスやズンバ、盆踊りなど各国の伝統的なダンスは、手を使うものが多く、脳にもいいようです。

 次に、アニマルムーブメント。日本でもだんだん人気が出てきていると聞きましたが、アニマルムーブメントは、動物の動きをまねした運動です。

 私は、退院後に友人の紹介で始めたのですが、最初はまったくお手本の動きができませんでした。

 何せ、動物の動きですから、ほとんどがやったことのない筋肉の動きや体重移動の仕方なので、頭ではわかっていても身体が思うように動かないのです。

 1年ほど気が向いたときに行っていますが、無数に動きがあって飽きません。

 さらに、普段とはまったく異なる動きをするので、少し行うだけでも脳がすっきりします。この他、手を使う趣味の編み物やビーズ細工もいいでしょう。

 最後に、ストレッチやピラティス。

 私がこれらを行うのは、もちろん姿勢を正すなどの身体的な目的もあるのですが、どちらかというと、いつもとは違う呼吸のリズムにするという目的が大きいです。

 普段は呼吸が速くなることはあれ、遅くなることはないと思います。

 そういう意味で、呼吸を遅くして変化をつけることで新しい呼吸の仕方を体験することになりますし、脳の血流量を増やすことにもなります。

 YouTubeにも5〜10分のプログラムが複数あるので、手軽に始められます。私がよく使っているチャンネルは、「Yoga with Kassandra」と「Bailey Brown」です。

 正解はないですが、続けられることを飽きないようにいくつか織り交ぜながらやるのがおすすめです。

座って過ごせば「運動の効果は台無し」という事実

 現代人は、知らず知らずのうちに座って過ごす時間が長くなっています。

 毎日、車や電車で通勤して、その間長く座ったままでいることも。

 デスクワークの場合、椅子に座って一日を過ごし、立ち上がるのはわずかな休憩時間だけということもあります。

 しかし、ここで恐ろしい事実を紹介しましょう。

 長時間座ったままで過ごすことは、どれほど運動していようと、運動の効果を台無しにするのです。

 死亡率は着席時間1時間ごとに2%上がり、一日に8時間以上座っていると8%上昇するといわれています。

 座ってばかりでほとんど動かない生活を長く続けると、脳疾患だけでなく心臓病、高血圧症、糖尿病、肥満症、がんなどほぼすべての慢性疾患のリスクが上がります。

 また、アルツハイマー型認知症との関連もわかりはじめています。

 じっと座ったままでいると、記憶を司る脳の領域(内側側頭葉)が縮むということがわかってきています。

 アメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校の研究チームは、45〜75歳の35人を対象に1週間の身体活動量と座っている時間を調べました。

 そして、MRI検査で新しい記憶が形成される内側側頭葉を調べました。すると、座りっぱなしの生活だと、明らかに内側側頭葉の減少が見られました。

 たった1週間で、です。

 さらに、たとえ活動量が多くても長時間座っていることによる内側側頭葉への悪影響は消えないこともはっきりしました。

 私の場合は、コロナ禍でホームオフィス勤務になってから、環境を整えました。

 メインで使用する机は、座っても使えるスタンディングデスクです。椅子もありますが、基本的にはスタンディングデスクとして使っています。

 座りたいときや疲れたときは、別の場所にある椅子と机を使って作業をします。

 別の場所にすることによって、なるべくスタンディングデスクを使う時間を増やしています。

 スマートウォッチで立っている時間をモニターして、一日9時間以上は立っているようにしています。

 また、カフェなどに行く際にも、なるべく立てる場所があるところに行くようにしています。最初はなれませんでしたし、 すぐに足の裏が痛くなりましたが、半年くらい経つとなれました。

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